今年の5月、日本教育公務員弘済会埼玉支部生涯学習実践作文係が読売新聞紙上に載せた作文公募の記事が目にとまった。テーマは「私の生き方〜ともに学び合う実践〜」であって、自身が日々の暮らしの中、学校や職場やサークルなどでの「ともに学び合う実践」について、具体的に述べて頂きたいとあった。原稿締切は8月31日、応募資格は埼玉県に住んでいる人、応募形式は400字詰4枚〜6枚である。入賞は期待していなかったが、応募した結果がなんと佳作という嬉しい報告を昨日受け取った。そこには5,000円のデパート商品券も同封されていたので、天に昇る思いである。国語嫌いで理系に進み、こうした作文は生まれて初め書いた。その応募作文で佳作を得たのでこの上なく嬉しい。
今、ロングステェイクラブに所属しその仲間10人に声がけし、有志が隔週にあつまり英語のお喋りの会をはじめ間もない。この会に関連した記事は、テーマ「ともに学び合う実践」にぴったりなのでどうかと思い応募した。学びはじめて間もないといっても、もう21回目の集まりになる。月に2回開催しているので、おおよそ10ヶ月が過ぎた。この間、仲間(平均年齢70歳)半数がアメリカ大陸を列車と車で横断するという大冒険をし、その旅の話を帰国後に英語でお喋りの会で披露してもらった。言葉の障害があったようで海外旅行での英会話の必要性をあつく語ってくれた。この仲間が留守中には、わずか3人で会を開き片言英語で盛り上がったこともあった。今回、佳作を得た作文は以下の通りである。
“ロングスティ目指し英語でお喋り”
自分の収入に応じて、自分の力で、自分なりの生き甲斐を求めて、海外生活体験情報を交換し、仲間作りをするためのロングスティクラブ(設立1990年、以下LSCという)がある。会員は定年退職した高齢者夫婦が多い。2000年65歳のときにこのLSCに入会し16年が経つ。その当時から海外情報を集め、定年退職後は海外でロングスティを楽しみたいと願っていた。ところが、70歳の定年後も非常勤の仕事が入り、思うような海外ロングスティはできないでいた。76歳のときにハワイオアフ島へツアーで行ったおり、海が見えるコンドミニアムの存在を知る。それ以来、毎年12月にオアフ島で約1ヶ月のロングスティを始め今年で5年目に入る。12月には、ホノルルマラソンと同じ日に「レース・デー・ウォーク(10 km)」、熱帯のクリスマス、ワイキキのカウントダウン花火打ち上げがある。こうした催しと、寒い冬を逃れ1ヶ月でも暖かい所で過ごせると春の訪れが早く感じられる。そのため冬のロングステェイを行っている。
ハワイに行く度に現地の人たちとの交流の輪が広がり、英語で話す機会も増える。その度に楽しく話せる英会話の必要性を痛感する。英会話は前述したLSCに入会以来、CDによる英語を意識的に聴き勉強している。聞く耳は間違いなくよくなっているが、会話能力は伸び悩んでいる。海外出張、海外旅行の経験があるLSCの仲間たちの英会話は上手と思われない。かつては、LSCにイタリア同好会、ドイツ同好会などあった。会員の高齢化に伴い今では、国内で楽しめる卓球、ダンス、ダーツ、歩く会、ランチ会、観劇、ウクレレ同好会が生まれ活発な活動がなされている。
LSCの仲間は海外でロングステェイを楽しみたい人が多く「英語でお喋りする会」の発足が望まれている。市町村、学校、企業が主催する会員制有料の「英語でお喋りする会」はある。LSCの仲間10人で、無料の「英語でお喋り」同好会を試験的に立ち上げた。開催場所は、住宅街にある静かなレストランである。ランチをとることを条件とし2時間ほど「英語でお喋り」する許可を得た。12時からのランチタイムでは一般客も来るの、開始時間を遅らせ午後2時とし、2時間ほど場所を使わせてもらうことにした。レストランの名をとり「クリオの会」と称し、20回目の勉強会を終えたところである。
「クリオの会」は無料だが、コーヒーつき1,000円のランチが会費に相当する。集まる顔ぶれは65歳〜81歳の男女高齢者である。多くの会員は海外の経験はあるが、英語で喋る機会をあまり持てない人たちばかりである。やる気はあって英語で自己紹介は出来るが、お喋りすることは難しいようだ。
「英語でお喋りする会」を10ヶ月前に立ち上げたものの、英会話が上手なリーダーがいない。それに、まとめ役、会話レベル、英語を喋るルールなどの問題が山積している。そこで、この会でわずかな時間でも英語で喋る場を設けると同時に、中学レベルの基礎英語も勉強することとし、ともかく隔週に集まることにした。いずれは、LSC会員のために公にするのだが、今は試験的に英語でお喋りをするために集まっている。
この「クリオの会」を始めた頃は、英語でお喋りを試みたものの発言に苦しむ人がいる。英語で意思の交換をすることは結構難しいことがわかる。そこで話題をあらかじめ決め、1人10分間喋るルールを作った。喋った後、その話について質疑応答することとして、ともかく継続することを心がけ7ヶ月が過ぎた。
お喋りのきっかけとなる話題は、「子供のころ1番印象に残ったこと」、「3月11日午後2時46分に発生した東日本大震災の瞬間はどこで何をしていたか」、「海外旅行で印象に残ったこと」、「海外旅行で事故や盗難にあった経験」などである。提示された話題以外でも英語でうまく言えそうなことなら何でもよく、カンニングペーパを準備してもよろしいということにした。
その後、中学生レベルの英語を改めて勉強することは英会話にとても役立つことに気がついた。多くのLSC会員は大学卒と見うけ、英文はある程度理解できるようだが、喋れないという。語学は読む、書く、喋るが大切であるということは皆が知っている。そこで、「中1英語をひとつひとつわかりやすく(学研教育出版発行)」というテキストを全員が求め、中1の英語基礎も「クリオの会」のプログラムに組み込んだ。といってテキストの最初から始めると時間が足りなくなるので、各単元末にある復習テストを全員で20分ほど費やし解くことにした。テキスト巻末に問題解答を録音したCDが付録にある。その音声解答部分をICレコーダーに録音し、書き終えた英文解答の音声をスピーカーで流し、各自が答合わせをする。この方法で学習すると昔習った英文法を思い出し、英文を書く練習にもなる。同時に英文ヒアリングの勉強にもなる。
「クリオの会」は英会話の勉強が目的で集まるが、仲間と英語でお喋りをし、日本語による雑談に花が咲き時間が経つのを忘れる。この会の努力目標は「中学レベルの英語で英会話が自由にできるようになること」「日本語字幕の洋画は字幕なし、ミュージカルを観て会話の意味を理解し観客と一緒に笑えるようになること」「2020年の東京オリンピックには訪れた外国人の道案内ができること」などである。今は、試験的に10人が集まり英会話の実践を試みている最中だが、近い将来、LSC会員はだれもが英語を喋れ、海外ロングステェイを安心して楽しめ、行動できるようになりたいと願っている。【2016年10月20日】
平成28年10月25日(火) 自宅にて記す