まず動く

「動く」と,ものごとが見えてきます。仕事や旅などで動きまわり、そこで経験したことや見聞したことについて述べたいと思っています。ここで、「動く」という意味は身体だけでなく、頭も口もです。  いつまでも元気でありたいと願い、「動き」を実践しています。
 
2014/01/23 11:23:00|思い出
​ラジオ体操とN.W.と映画

 今日(2014.1.18)は土曜日。習慣になっている朝6時半からのラジオ体操・ストレッチ・太極拳に参加する。朝6時20分家を出る。ほんの少しだけ夜明けの明るさは増したような気がするが、まだ、相変わらず暗いし寒い。それもそのはず、玄関に吊してある温度計はマナス5℃を指している。防寒具は、以前に比べ質がよくなり助かるが、指先が冷たい。寒さを凌げる厚手の手袋をして出かけるが指先は冷たい。そのため、手袋を2個使い二重にしている。例年のように元旦にラジオ体操・ストレッチ・太極拳を行った。今年も、できる限りこの朝の運動は続け、健康に気をつけたいと思い張り切っている。
 
 朝食を済ますと、こんどはノルディック・ウォーキング(N.W.)が待っている。こちらは、広い公園でポールを持って早足、大股に歩くので、運動をしたという実感がわく。月一度、城北ノルディック・ウォーキングに参加している。それに加え昨年暮に入間市にもN.W.のクラブがあることを知り会員になり、地元でもN.W.を行える機会ができた。地元のN.W.の名称は「入間市ノルディック・ウォーキング連盟、歩ミング会」という。入間市内に3つほどN.W.会があるそうだが、歩ミング会というN.W.愛好の会が自宅に近いところにあることを知った。この会のリーダーは整形外科関係の先生で、先生の患者さんも何人か参加しているようだ。患者さんは歩行速度を制限されるので、速歩の健常者グループと牛歩のグループに別れて歩く。
 
 今日のN.W.は彩の森入間公園。歩き始める前に、必ず準備体操を行う。この時点で、歩く道順の説明や最初は1qでも回を重ねるにつれて、3q、4q歩くようにと指示がある。歩けば必ず自身の健康につながるという教えをいただく。1時間半ほど歩いた後にはクールダウンの運動を行う。この会にまだ3回しか参加していないが、参加すると会員カードにハンコを押してもらえる。これは夏のラジオ体操で子ども達がカードに出席印を押してもらうのと同じでる。その数が増えていくと励みになるし、楽しみにもなる。カードにハンコがいっぱいになったら、なにかプレゼントがあるとさらにN.W.を行う楽しみが増えるのだが!!N.W.の出席回数は、このハンコの数を見れば直ぐ分かる。N.W.途中で終わる会員もいる。その時は、数人いる指導員の方にN.W.を終える旨を必ず知らせて帰るルールがある。
 
 N.W.を終えた正午に一度自宅に戻り、仮眠後、映画を観るために再び銀座へ。映画の名前は「さよなら、アドルフ」。この映画は、全国の映画館20館でしか放映されていないようで、いつも出かける近くのユナイテッド・シネマ入間では放映していない。そのため、わざわざ銀座のど真ん中にある“シネスイッチ銀座”へ行った。ここは、服部時計店がある銀座4丁目交差点から近く、ちょうど御木本真珠の本店の真裏にある。映画館を見つけにくいと思ったが、御木本真珠店裏ということで、直ぐにわかった。午後4時半からの開始で、六時少し前に終わった。
 
 この映画は、第二次世界大戦で荒れ果てた国内を縦断する赤ちゃんを含む5人の兄弟姉妹の感動物語である。国は異なるが、戦争末期から戦後に同様な悲惨な目にあい、子供時代を送った者にとって共感を覚える。生きてここまで来られたのが不思議なくらいだ。両親は幼い2人の弟を引き連れ、1945年3月9日の夜、火の粉を避けるため濡らした布団を頭にかぶり、亀戸から隅田川の言問橋まで火の粉を避け逃げたという。私はというと、山形県米沢市小野川町の温泉街にある砂屋旅館に集団疎開をし、戦火の恐ろしさを体験していない。終戦後、山形から東京へ戻ったら自宅は空襲で焼かれてないが両親と弟2人は無事、自宅は向島に移っていた。私は直接戦火に見舞われることはなかったが、両親から悲惨な話しを聞かされているので、今日観た映画「さよなら、アドルフ」の主人公や兄弟姉妹の気持ちは分かる。感動の映画であった。【20141.23】
 
写真1:舗装された歩きやすい遊歩道を快走中のMakiko
写真2:美しい冬の池の畔で暫し一休み
写真3:人なついているカモなのか、餌をおねだりしているのか
写真4:夜は映画「さよなら、アドルフ」をシネスイッチ銀座で鑑賞
 
2014.1.23 自宅にて記す







2014/01/19 16:53:18|思い出
​防寒コートの温度効果

 毎朝、近所の公園で行われる朝6時半からのラジオ体操が習慣となり10年続いている。公園まで徒歩で10分かかるので、まだ暗い朝6時20分に我が家をでる。マイナス5℃と低い気温のときもあるので、ここ公園まで行くのにつらい日もある。通常は、写真1のような腰下まで覆うコートを着て、帽子をかぶり、厚い手袋を手にはめ出かける。
 
 ある日、デパートのスポーツ売り場で写真2のような膝下まで隠れる防寒コート(ダウン)を見つけた。このコートは、よくマラソンなど冬の寒い日に行われるスポーツの際に、ランナーを誘導したり折り返し点で監視したりしている競技関係者が身につけている分厚いコートである。テレビでその姿を見るが、あの寒い路上に立っていて耐えられるのであるから防寒効果は抜群であるに違いない。
 
 自宅も結構寒い。最低限の空調設備は整っているが、一昨年、二重窓にしたり、蓄熱暖房器を取り入れたりして寒さ対策をさらに図った。その反面、月額の電気代請求を見ると、11月から徐々に上がり、12月〜2月は結構な電気代を支払う。省エネのためにと、写真2のような、スポーツ監視員が着るような厚手のコート(ダウン)を求めて、自宅で着はじめた。これが、非常に温かいことが分かったので、毎日、身にまといPCの前に座り仕事をしている。外へでかけるには、少々大げさなような気もするので、外へ出るときは写真1のような姿で出かける。
 
 今日は、購入した重厚なコートがどれくらい温かいのかを温度計で測ってみた。温度計は一昨年蓄熱暖房器を導入したときにアマゾンから通信販売で30個求めた小型温度計(¥300)である。なぜ30個も買ったかというと、蓄熱暖房器の効果を見るために、窓の内外、部屋のあちらこちらに点在させ、部屋の温度分布を調べたからである。使い終えた温度計が数個残っていた。その温度計を写真3のようにCDメディアに入っていた透明プラスチック板に貼り付けた。中央に穴があいていることを利用し、身につけたているセーターと防寒コートの中間に紐で吊すような格好でお腹付近に温度計を設置した。写真1、写真2のように胸のあたりに下げた温度計をコートの内側に入れ、吊した状態で温度を測った。
 
 朝6時20分の外気温度0℃であった時、写真1の防寒コートを身にまとい、公園まで歩いた。体操開始直前の温度計の指示を見たら22℃であった。10分間のラジオ体操を終えた時の温度は24℃と2℃上昇していた。体操をしたお陰で2℃温度が上がったことがわかる。
 
 部屋の温度が20℃であった時、写真2の防寒コートを着て30分ほど経過したときに腹部の温度計を見たら31℃と非常に高い値を示していた。さらに、続けて温度計を背中に回し、30分経過後に測ったらやはり32℃を示した。これはコートの外側の温度(室温)より12℃も高いことになる。この防寒コートを身につけないと、身体周辺温度は20℃で寒く感じるが、防寒コートを身につけると身体周辺温度が31℃と非常に高く温かい。これなら、寒さを感じない。あと2ヶ月もすれば、不要になる防寒コートである。防寒コート内側と外側(室温)の温度を測ったところ、10℃とかなりの温度差があることがわかりその温度効果に驚きを感じている。この防寒コートは、部屋の外で着るものであろう。これを室内で着ると温かくて結構なのだが、一回り身体が膨らむので、狭い部屋を歩き回るとあちらこちらの物に当たったり引っかけたりして、物を落してしまうことがある。室内では移動に気をつける必要があるが、その暖かさには勝てず愛用している。
【2014.1.19】
 
写真1:短めの防寒コートを着てラジオ体操から帰ったところ
写真2:室内で着るには少々抵抗を感じる長めの防寒コート(ダウン)。これを着てのラジオ体操はやりにくい(やったことはない)
写真3:長めの防寒コート(ダウン)内側に温度計を挿入するところ
写真4:防寒コート(ダウン)内側の温度は31℃を示した。暖かいはずだ!
 
注:ダウンジャケット(英: down jacket)とは、ダウンフェザー(羽根毛、羽毛、日本語通称:ダウン、英語:down feather)を詰め物として使ったジャンパー・スタイルの防寒着のこと。ガチョウ、アヒル等、鳥の羽毛、綿毛
 
2014.1.19 自宅にて記す







2014/01/14 20:00:00|思い出
​丸の内で“牡蠣づくし”

 1月6日、丸の内MYPLAZA 明治生命館B1「グランド・セントラル・オイスター・バー&丸の内」にて今年最初の第9回「お値打ちランチを食べる会」が開催された。この場所へは、地下鉄千代田線二重橋前駅から徒歩1分、JR東京駅から徒歩5分で行けるという。池袋からJR山の手線に乗り東京駅へ出る予定であった。ところが、人身事故のため山の手線内回り外回りともに運休という。幸いにも、地下鉄丸の内線が東京駅を通るので、それに乗って東京駅まできた。
 
 東京ミチテラス 2013は昨年12月31日まで開催されていた。暮の29日の夜に羽田空港へ孫の出迎え途中にこの東京ミチテラスに立ち寄った。その時は夜だからよく分からなかったが、東京ミチテラスが丁度開催されていたその場所を今歩いている。その夜、光の車窓と題し、光のレールウエイ、光の車輪が展示されていた場所で、ここが「行幸通り」という大通りとは知らなかった。年が変わり1月6日(月)の昼間に来たところ、29日夜に訪れたときと全く様相が異なっている。あの夜の混雑、美しい光のレール、光の車輪を肩越しにここで見たとは思えない。この行幸通りの先には馬場先門、その先に二重橋前という交差点がある。二重橋周辺には皇居前広場が広がっている。馬場先門交差点は日比谷通りと行幸通りとの交差点で、東京駅から歩いて来て、この交差点を左折し日比谷方面へ向かうと3ブロック目に「丸の内MYPLAZA明治生命館」がある。その地下1階に「グランド・セントラル・オイスター・バー&丸の内」がある。
 
 「グランド・セントラル・オイスター・バー&丸の内」は、ニューヨーク・マンハッタン玄関口にある“グランド・セントラル・ステーション”駅構内に1913年に創業されたという老舗のレストランである。約100年の歴史と世界的な知名度を誇り、連日活気に溢れているそうだ。日本国内では、世界2号店として品川駅構内に、第3号店として東京駅に近い明治生命館地下1階に丸の内店がオープンしたと聞く。店内はニューヨーク本店の雰囲気を再現しているようでアメリカ映画で見る古風な雰囲気だ。常時10種類以上のフレッシュ―オイスターをはじめ、新鮮な魚介類を使用した料理の数々を楽しめるという。うわさによると、牡蠣カレーが安くて美味しいと評判。お値段も手頃で安くてそして美味しいと聞くので改めてきてみたい。
 
 「お値打ちランチを食べる会」は今回で第9回目。2回ほど欠席したが、7回出席し頂いたいずれのランチもお値うちといえるものばかりで美味しい。今回のお値うちランチは、生牡蠣、フライ牡蠣、パスタ牡蠣、それに鯛の焼き物、パン、コーヒー、デザートと盛りだくさんの料理を味わえた。生牡蠣は生まれて初めて口にした。美味しいということが分かった。
 
 このレストラン前は日比谷通りであるが、道路は皇居のお堀に沿っている。昼食後、明治生命館前の日比谷通りを日比谷公園方面へ歩く。東京商工会議所、帝国劇場、丸の内警察と続く。やがて、もう一つの生命会社である第一生命保険株式会社のビルにいたる。このビルは元連合国軍司令部(GHQ)があったところで、1945年(昭和20年)に司令部庁舎として接収されていた。マッカーサー元帥が進駐していた有名なところである。第一生命館では、現在でもマッカーサー総司令官室が保存されているそうだが、残念なことに一般公開されていない。威厳ある建物なので中に入りたい。玄関入り口に郵便局が中にある旨の案内があったので、郵便局に用事があるふりをして中に入り様子をうかがう。床・天井・階段などいかめしく、中には守衛がいて、入っただけで肩がこりそうな雰囲気だ。郵便局に入る。孫へ送っても悪くない3Dのミッキーマウス絵はがきが目についたのでそれを買う。
 
 3日前の1月3日に有楽町駅前で火災があった。このとき、丁度孫達が九州へ帰る日でJR山の手線を利用し品川まわりで羽田空港へ行く予定であった。しかし、新幹線も止まるような大火災のようでJRが使えず、羽田空港まで池袋からリムジンバスで行った。当日のニュースでは「東京・千代田区のJR有楽町駅前で3日朝、パチンコ店など4棟が燃える火事があり、東海道新幹線はじめ、山の手線、東海道線などが、ほぼ全線にわたって運行ができない状況となっている」と報道された。
 
 運悪く3日は火災のためJRで羽田空港へ行けず、今回の「お値打ちランチを食べる会」開催の6日は人身事故のためにまたまたJR山の手線では東京駅に行けなかった。運悪く東京に出る都度、2回にわたりJRの電車が利用できず大変な迷惑を被った。【2014.1.6】
 
写真1:「グランド・セントラル・オイスター・バー&丸の内」のしゃれた案内表示版
写真2:最初に出てきたアメリカ産、広島産の生牡蠣
写真3:威厳ある元GHQのあった建物前にて
写真4:有楽町駅前の火災現場(駅周辺と構内は焦げ臭さが漂っている)
 
2014.1. 自宅にて記す







2014/01/13 18:19:35|思い出
​狭山湖と富士山

 山口貯水池は「狭山湖」の通称で呼ばれていて、埼玉県所沢市と入間市に位置している。しかし、東京都水道局が管理しているため、埼玉県の上水道としては供給されていないそうだ。80年前の1934年に完成した人造湖である。自宅より車で20分ほど走ると湖畔まで行けるので、桜の咲く春、紅葉の秋、富士山がよく見える冬によく出かける。
 
 成人の日の連休、昨日12日(日)と今日13日(月)両日、狭山自然公園内の狭山湖の堤体遊歩道へ出かけ、そこから見える富士山の景観を見ながらノルディック・ウォーキングを楽しんで来た。
 
 朝、いつものように6時半からのラジオ体操を終え、簡単な食事を済ませ8時に家を出る。狭山湖そばに駐車場があるので、そこへ駐車しノルディック・ウォーキング・ポールを手に握り歩き出す(写真1)。400mほど歩くと、湖畔に設けられた屋根つきの休憩場がある。ここから富士山がよく見える(写真2)。この休憩場の先は、堤体の歩道になっている。この歩道は約600mの直線で舗装されていて歩きやすい。途中2箇所に椅子が置かれた休憩場があり、湖を訪れる鳥たちの写真、遠方に見える山々の名称が書かれた説明図がある。遊歩道の片側が山口貯水池(狭山湖)で反対側は芝生、運動場、住宅が広がっている。
 
 遊歩道を歩きながらも湖水側の遙か彼方に真っ白い雪でおおわれた富士山の雄姿がよく見える(写真3)。富士山がよく見える時期は、空気の澄みきった寒い冬の日だ。12日と13日の両日とも寒く、朝7時の我が家の玄関先寒暖計の気温はマイナス5℃を指していた。堤体の終わりに近づくと、写真4の取水塔が見える。この周辺の湖上に無数のカモの姿が見えた。
 
 実は、我が家のベランダからも冬になると富士山の裾野がかすかに見える。かすかに見えるというのは、周辺にはまだ林が残っているからで、その林の一部によって富士山が隠されているからである。かすかであるが、富士山の一部が見えると、よく見える狭山湖へ出かけたくなる。ただ見るだけではつまらないので、運動をかねてノルディック・ウォーキングをしながら富士山を見るということ行っている。
 
 こうして、寒い日であったが2日間にわたり狭山湖へでかけ新年早々の美しい富士山を見てきた。同時に健康によいノルディック・ウォーキングも楽しむことができた。【2014.1.13】
 
写真1:狭山湖自然公園内の狭山湖堤体遊歩道へ向かう
写真2:狭山湖堤体にある休憩場から見える富士山
写真3:狭山湖堤体遊歩道から富士山を背景に撮影
写真4:取水塔とカモの群れ
 
2014.1.13 自宅にて記す







​注射針穿刺時の針力測定装置の開発

 毎年のことであるが、4月から7月までの前期は、講義の旅と称して、看護学校を毎日訪れている。昨年の8月から12月の後期は、講義がないので国内外の旅、ノルディック・ウォーキング、お値打ちランチを食べる会、東京歩こう会などに参加し、体をきたえていた。これとは別に、注射針2軸力測定装置の開発研究にも取り組んでいた。暮れになって納得のいく試作6号機の完成をみた。長い間考え試作を繰り返してきた注射針の穿刺時の針の力が測れる装置である。
 
 注射針を穿刺したときの針の力を測りたいと2011年に依頼を受けてから2年以上が過ぎた。その装置を試作した1号機の話しを2011年11月20日のブログに投稿した。それ以来、試作を重ね試作6号機を作った。試作を繰り返した理由は、感度不足であったり、水平力と垂直力同時測定時にそれら2軸力間に干渉があったりしたので改良を重ねた。その結果、感度、干渉ともに良好な試作6号機が完成した。
 
 写真1は、水平力と垂直力が同時に測れる装置の内部構造である。黄色のビニールテープを貼ってある箇所は板バネであってその箇所にひずみゲージを貼付してある。ひずみゲージは金属材料や構造物などの歪みを測るセンサであって一種の電気抵抗体である。歪みを測りたい材料(ここでは板バネ)にこれを貼る。材料が歪むとこのセンサも歪み、同時にセンサの抵抗も変化する。この微弱な抵抗変化を電気量に変換し、さらに増幅し目に見える電気信号(歪み情報)に変換・加工する。板バネはメカ(機械の一部)、ひずみゲージはエレキ(電気要素の一部)であるから、機械系と電気系とが一体になった一種のメカトロニクスのごく簡単なものといえる。
 
 力の測定原理は、我々がよく使うスプリング秤と同様である。スプリングは渦巻き状の長いもので、それに重りを下げると伸びるので、その伸びた量(変位量)を測ることによって重りの重さ(力)が分かる。それに対し、板バネの片端を固定し他端に重りを乗せると板バネは湾曲する。これは飛び込み台の先端に選手が立つと台が湾曲するのと同じ現象である。板バネが重りで湾曲したときの板バネが歪む量はバネの固定端に近いほど大きい。
 
 スプリングにしろ、板バネにしろ、伸びたり湾曲したりしてもそれらに加えた力(重り)を取り除くと伸びや湾曲は元の状態に戻る。この性質はバネ材が弾性体であるからである。元に戻らないような材料(例えば銅やアルミ)でスプリングや板バネを作ると、力がかかると永久変形を起し、変形は元に戻らないので秤として使えない。このように歪んでも力を取り除くと元の状態に戻る弾性体の性質(フックの法則)を利用し、その伸びあるいは歪みを測ることによって逆に力(重さ)を測ることができるのである。バネ材で力が測れるというのは、材料に弾性があるという性質を利用している。ここで開発した力測定装置も、上述の弾性体の性質とひずみゲージというセンサを組み合わせている。
 
 注射針2軸力測定装置は、上述したようにバネの弾性とひずみゲージの抵抗変化という物理の原理を使い水平力と垂直力が測れる装置である。写真2は注射針2軸力測定装置の表面に人の皮膚を模擬したスポンジを貼り、そのスポンジに針を刺す様子を示す。このとき、注射針先端の2軸(水平・垂直)の力が同時に測れる。
 
 写真2のように装置がむきだし状態では装置に不慣れな被験者(看護師)が皮膚モデルに穿刺する場合、違和感を感じる。そこで、写真3に示すように円筒発砲スチロール内部に空洞を設け、写真2の装置を腕状モデル内に収納した。写真4は、完成した注射針2軸力測定装置を使い注射針を穿刺したときに得られた測定例である。
 以上、説明のように注射針2軸力測定装置の6号機を試作し、看護師の注射の手技を数値化出来る見通しがついた。【2013.12.14】
 
写真1:注射針2軸力測定装置とひずみゲージ貼付位置
写真2:針穿刺時の水平・垂直分力の説明写真
写真3:水平・垂直2軸の針先力が測れる腕モデル
写真4:注射針2軸力測定装置を内部収納した腕モデルを使った穿刺の様子
 
2014.1.12 自宅にて記す