| “iMovie”といっても、普通は分からない人が多い。私もその一人である。今使っているウインドウズ・パソコンからiMacパソコンに移行したら「iMovie」というソフトウエアが組み込まれていることが分かった。このソフトウエアは、ムービー編集ソフトである。DVDやBDディスクにコピーする前の編集(不要箇所を切り取ったりコマーシャルを取り除いたりする作業)はDVDレコーダーで行っている。しかし、自分で撮影したムービーをパソコンで編集したことは一度もない。それは難しそうでやる気にならないからである。デジタルムービーカメラを持っているが、その映像は編集せずに丸ごとDVDにコピーしていた。 過日、Mさんという方が研究打ち合わせに我が家に来られたおり、Macノートパソコンを取り出し、映像を見せてくれた。動画の編集はiMovieを使えば簡単だと教えてくれた。この機会にと思い教わることにした。言われた通りに操作を行うが、Mさんが側にいる間は操作できた。しかし、帰られ一人になったとたん、思うようにいかない。説明してくれた手順を忘れたからだ。聞ききたくてもMさんはいない。しょうがないので、アマゾン通信販売で書籍「はじめてのiMovie」(写真1)を買った。 本を開いたのはいいが、なじみのない用語が次から次に出てくる。例えば、第1章を覗くと、「ムービー・ファイル」「クリップ」「フィルム・ストリップ」「トランジション」「アフレコ」「イベント」「プロジェクト」など、普段馴染みのないこの道の専門用語が続々とでてくる。本の中で取り扱いを説明している写真(写真2)と、現物iMacの表示画面(写真3)をにらめっこしながら、ひとつずつ操作する。本で解説してある通りにクリックしたりドラッグしたりする。○○をクリックせよと指示があるが、その○○ボタンが画面のどこにあるのか探すのに苦労する。2月の第1、第2土曜日であったかと思うが、大雪が2度ほど降った。そのお陰で、外へでることがなく終日パソコンとにらめっこをしていた。そのお陰で、なんとか動画を繋げたり、切り離したりが出来るようになった。初めてから3週間は経つ、今日この頃やっと曲がりながらも思うような編集が出来るようになった。 このようにiMovieを使い熱心にムービー編集をやるのは、4月から始まる看護初学者に対する人間工学の講義を行う準備のためである。看護師は腰痛が多いことはよく知られている。その主な原因は重い患者を持ち上げる、あるいは中腰になってベッドメーキングを行ったりベッド上の患者のケアを行ったりすることが多いからである。腰痛発症の原因は重力があるからとよくいわれる。“モノ”には質量がある。地球上では重力加速度のために質量ある“モノ”には重力(重さ、重量)がかかっている。それが看護師の体に負担をおよぼす。腰痛がなぜ起こるかの原因を説明するために、初歩的な物理や力学の解説が必要になる。質量、重力、重心などの話しをするには、まず無重力のことを説明するとよいと考えた。今では、無重力状態で宇宙飛行士が宇宙空間で様々な物理実験を演示、地球にその様子を送り届けてくれる。 ある日、YouTubeで若狭光一飛行士が宇宙船内で物理実験を行っている様子を紹介しているムービーを見つけた。無重力状態でラジオ体操、ボール蹴り、身体スピン(フィギュアスケートの高速回転)、綱引き、2人向き合い両手で押す、水鉄砲(注射器使用)、絨毯に乗れるかなど多彩な動作や“モノ”を取り扱う実験を紹介しているシーンがあった。このうちの重要な部分を授業で紹介し、重力がなければ腰痛にならないのでは、という議論をする計画を立てているので、前述の映像をムービーカメラで撮影した。この映像を限られた講義時間内で説明出来るように編集するために、前述のiMovieを活用する。4月から始まる講義にはまだ間があるが、目下このよう映像を使い物理現象の理解を深めるための講義資料を作成している最中である。写真4は無重力下で魔法の絨毯?に若狭宇宙飛行士が乗っているシーンである。無重力下であれば、患者さんの重量を感じないので腰痛は起きないことが理解出来る。iMovieを使うと動画上に文字を入れたり、音楽(BGM, Background Music)を挿入したりすることも出来るので、ムービー編集が楽しくなって来た。看護学生に編集したムービーを見せて講義がどの程度理解してもらえたかを知ることも楽しみである。【2014.3.3】 写真1:iMovieの参考書表紙 写真2:iMovieの動作画面の紹介写真 写真3:iMacでiMovieを起動するとこの画面が現れる。動画の切り出しや移動はこの画面上で操作する 写真4:若狭宇宙飛行士が絨毯に乗り移動する映像を取り込めた 2014.3.3 自宅にて記す |