今年も4月より4つの看護専門学校での講義が始まった。それらの学校が位置する場所は異なり、近いところで埼玉県川口市(済生会川口看護専門学校)、次は千葉県成田市(総合医療センター成田病院の関連施設である二葉看護学院)、その次は千葉県旭市(総合病院 国保旭中央病院の関連施設である旭中央病院付属看護専門学校)、一番遠いところは兵庫県姫路市(独立行政法人国立病院機構姫路医療センター付属看護学校)である。生徒数は多いところで60名、少ないところで30人が定員である。いずれの学校も母体である病院の敷地内もしくは隣接している場所に学校はある。各学校は、駅から歩いていけるところにはなく、車を準備していただいているので、それ利用して学校に入る。
一番遠い看護専門学校は姫路市であるが、この学校は4月初旬と5月中旬の2回の集中講義である。1回目の4月は、他の学校の新学期が始まる以前に講義してきたので、その時点では自宅−姫路の往復である。ところが、他の学校が始まっている5月の場合は、火曜日−川口市、水曜日−成田市、木曜日−旭市、金曜日−姫路市と週の半ばの4日間は場所が変わるため毎日移動する。そのため、川口が終わると成田へ移動し成田駅前のホテルに泊まる。成田が終わると次は旭市へ移動し旭中央病院内のゲストルームに泊めて頂く。そして、翌日の講義が終わるとその足で姫路へ移動し駅前のホテルに泊まる。その翌日、講義を終えると埼玉の自宅に戻る。このようにホテル住まいで講義の旅を楽しんでいる。遠距離移動はグリーン車を利用しているので、学生からの授業評価やレポートは車内で読み終え、それに点数をつける作業が行える。
4日間で移動した鉄道距離はどのくらいになるか興味を持ち調べた。その結果、下記のように自宅を出て再び自宅に戻った場合の鉄道総移動距離は、1601.6kmとなった。1日当たりにして平均400q移動したことになる。
5月13日→狭山ヶ丘−池袋:31.6 km
5月13日→池袋−川口:8.1 km
5月13日→川口−日暮里:10 km
5月13日→日暮里−成田:59.1 km
5月14日→成田−旭:61.4 km
5月15日→旭−東京:102.6 km
5月15日→東京−姫路:644.3 km
5月16日→姫路−品川:637.5 km
5月16日→品川−池袋:15.4 km
5月16日→池袋−狭山ヶ丘:31.6 km
鉄道総移動距離1601.6 km(上記の合計)
講義科目は「人間工学」という科目。工学という名がつくので講義前は学生にとって内容が全く不明で、多くの学生は講義について行けるかどうかの不安を感じている。患者をケアする際の看護師の動作を観察すると、力、重力、圧力、摩擦、慣性など物理や力学に関わることが多い。講義では、物理・力学のことがよくわかるように簡単な物理実験装置や器具を作成し、それを観てもらいながら理屈を解説する。こうした工夫のお陰で、数回の講義後には人間工学は面白い、興味がわいた、看護には人間工学は絶対必要だ、物理を学んでいればよかった、物理が好きになりそうだなどとの声も聞ける。
人間工学は、患者を支援して受ける身体負担、医療機器の操作や手順、医療用具の形・色・サイズ、医療の安全、病院・病棟の環境(温度、湿度、騒音、照明など)、作業能率・効率など人間に関わる広い分野の学問である。姫路の講義は終わったので移動距離は少なくなるが、もうしばらくこうした講義の旅は続く。【2014.5.16】
写真1:雨の日の川口看護専門学校。5月13日(火)午前10時
写真2:昼休みの二葉看護学院。5月14日(水)午後12時半
写真3:帰りがけの旭中央病院付属看護専門学校。5月15日(木)12時50分
写真4:午前10時の姫路医療センター付属看護学校。5月16日(金)10時10分
2014年5月19日 自宅にて記す