まず動く

「動く」と,ものごとが見えてきます。仕事や旅などで動きまわり、そこで経験したことや見聞したことについて述べたいと思っています。ここで、「動く」という意味は身体だけでなく、頭も口もです。  いつまでも元気でありたいと願い、「動き」を実践しています。
 
パッくん2号機

 胃瘻(いろう)からの半固形栄養剤補給時の負担軽減のため、その支援機器「パッくん」を開発中である。これは、以前(8月12日、10月17日に投稿)開発の目的や原理を紹介した装置の改良版で試作2号機のパッくんである。本装置の開発は、Sh、To、Sa看護大学の先生方との共同研究開発である。狭いところであるが自宅を実験室として開放し、皆さんにOラボと称した私の家まで遠路であるが来て頂いている。

 自宅まで来て頂く理由がある。装置そのものはJ製作所で試作して頂いているが、出来あがった装置の性能?や使い勝手を人間工学的に調べるために実験が必要である。その実験とは押し出され容器から出てくる半固形栄養剤の圧力と量(目方)を知る実験である。栄養剤をいきよいよく胃に補給するのはよくないので、チューブから出てくる栄養剤の圧力(いきおい)を測ることが一つ。また、時間とともに胃に栄養剤の量がどのように補給されているのかを知るために、時間とともに変化する栄養剤の量(重さ)を測る。補給開始前と補給後に重量を測っておけば、どれだけの量が胃に補給されたかが分かる。さらにチューブから出てくる栄養剤の重量を電子的に測ることができれば、補給時の栄養剤重量の時間的変化も分かる。
 こうした圧力や重量を電子的に測る技を持っているので、その技を利用して圧力や重量(荷重)測定装置の製作を自宅で行っている。そのために入間まで来て頂くことにしている。

自宅Oラボで実験を行うと都合がよいことがいくつかある。
その一:研究者がOラボに到着するときには、測定準備を完了している。そのため、到着後直ちに実験に入れる。もしも、私が大学に出張するなら移動時間と着いてからの実験準備で時間がかかる。
その二:自宅にある大型テレビをモニタとして利用できるので、全員が同じデータを共有できる。
その三:アシスタントの眞喜子が温かいお茶、昼食の準備をしてくれる。そのため、休憩時間やお昼時間を節約できる。

 半固形栄養剤とひとことで言っても写真1に示すように各社、各種、各サイズのものがある。これらを一つの補助装置パッくんでカバーしきれるかの検討が必要である。写真2は試作2号機である。この装置は厚い栄養剤も扱えるが、メカニズムが複雑になり使用性に問題あることが分かった。また、写真1の長い栄養剤は無理であることも分かった。
 写真3に示すような実験を何回も行い、また、写真4に示すように人間工学的な使用性の問題についての議論も行った。この日は朝9時から、午後4時まで実験と問題点の検討を行った。【2010.12.16】

写真1:各社いろいろな形状と各種の半固形栄養剤
写真2:パッくん試作2号機
写真3:性能確認のための実験風景
写真4:さらなる改良のための検討会
2010.12.23







2010/12/19 11:10:34|研究・教育の思い出
寒い朝、二重窓の効果は?

 11月末より毎朝夕外気温度と室内温度を測っている。測る理由は、今年の春に4か所の二重窓工事をしたことと、蓄熱式暖房装置を我が家に導入する計画をし始めたことによる。蓄熱式暖房装置は、200ボルトの深夜電力を利用するので、12月20日に電気工事を行い、その翌日に蓄熱式暖房装置を設置する予定だ。

 省エネの効果を調べるために、室外1ヵ所(玄関を出たところ)と室内(15ヵ所、2ヶ所はシャッター内側の網戸に取付たのでシャッターを上げると外気温度が測れる)の温度測定を開始して、そろそろ1ヶ月になる。12月18日の朝4時半に外の温度を測ったところ2℃であった。ところが、近所の公園でラジオ体操をして帰った7時に外気の温度計を測ったら、マイナス1℃になっていた。朝の冷え込みで最低温度になるのは日の出直後ぐらいなのであろうか。早速、朝7時に16ヵ所の温度測定を開始したところ、二重窓の室内外の温度差は6℃もあった。改めて二重窓の効果を再認識できた。これまでの室内外の温度測定で4℃の温度差があることは早い時期に分かっていた。外気温度が下がるに従い、その差は5℃とか6℃を示す日が増えてきた。もう少し測定を続けないと確実なことは言えないが、二重窓設置前に2℃ぐらいの温度差があるのではと思っていたので、6℃という実測結果を見て驚いている。

 もう少し温度測定を続け、二重窓の効果と蓄熱式暖房装置の効果を明らかにしたい。今日は、今年に入って一番寒いような気がする。ラジオ体操、ストレッチ、太極拳と30分間公園ですごしたが、静的な動きの太極拳では手袋をしている手が凍え、指を伸ばしていることができず、手袋の中で指をグーの形に曲げて太極拳を終わらせた。
 自宅に戻り、近所の茶畑と畑を一回りし、写真を撮ってきた。冬の朝の太陽により長い人影が見られ、珍しいのでシャッターを押した。【2010.12.18】

写真1:電信柱の影ではありません、長い私の影です
写真2:茶畑にも真っ白な霜が
写真3:野菜畑にも霜が
写真4:遠くに真っ白な富士山が見えた
2010.12.19







2010/12/13 5:31:24|思い出
二重窓は4度も温度差がある!

 北海道をはじめ寒い地方へ行くと家の窓は二重窓になっているということはよく聞く。しかし、室内温度がどのくらい温かく、光熱費がどの程度節約できるのかよくわからない。今年の夏、「窓の断熱リフォーム」に「住宅エコポイント」がつくという知らせがあったので、我が家でもこの機会に二重窓の工事を行った。工事した個所は、居間2ヶ所、寝室2ヶ所の計4か所である。夏場の冷房は、なんとなく効果があるような気がしたがあまり気にせずに11月を迎えた。

 居間には空調設備はあるが、寒くなると毎冬すぐに温まるガスストーブを使う。暖かくなる季節に入るとガス会社にお願いし元栓を切ることにしている。11月に入りやや寒くなり、電気の空調を入れるが例年使っているガスストーブを使わずに済んでいる。12月に入り、住宅会社から蓄熱式暖房装置が温かく深夜電力を使うので暖房費も安いという提案があった。この提案を受け入れるために、先に工事を行った二重窓の効果を調べることにした。さらに蓄熱式暖房装置が入ると、その効果と二重窓の効果でどれほど今年の冬場が例年に比べて快適に過ごせるかに興味を抱いた。住まいの快適性の研究ができる!

 温度の測定には温度センサが必要だ。熱電対を使うと自動計測ができるが、計測のための予算がない。インターネットで安い温度計はどのくらいかと調べてみたら、なんと320円で小型温度計がアマゾンから買えるということが分かったのでまずは5個注文。1週間ほどして、その5個が届いた。このような小型で安い温度計を秋葉原の電気街や大型電気店へ出かけて探してもなかなか見つからない。インターネット・ショッピングの便利さを知った。

 11月28日に5個の温度計が届き、軽くて小さいのでガラス窓や部屋の柱に両面テープで張り付けることができた。5個しかないと二重窓に3個(内、中、外)取り付け、居間と台所に1ずつ取り付けるとおしまい。蓄熱式暖房装置が入ると、寝室、トイレ、風呂場、玄関などの温度も知りたくなる。そこで、さらに10個注文して15ヶ所の室内温度とアルコール温度計が2本あったので玄関の外にそれをぶら下げ、合計16ヶ所の温度測定箇所を決定した。11月29日測定開始。

 台所は立って炊事をするので足場の温度が気になった。そこで床面に置くように設置し、それと食器棚の目の高さにも温度計を取り付けた。二重窓は4か所でそのうち2箇所は大きな窓だ。その2か所の窓の内側(室内側のガラス)、中側(外側のガラスの内面)、外側(網戸)の3か所に温度計を設置した。温度測定を開始し、2週間が経過し、ほぼ確実に言えることが分かってきた。
その結果は、以下のとおりである。

(1) 二重窓内側ガラスの部屋側温度計と外側ガラスの部屋側温度計とでは4度の温度差がある。

   居間(℃)       二重窓温度(℃)
床から50p     内側    中側    外側
平均 17.10℃   14.85℃  10.70℃ 9.10℃
標準偏差 2.20    2.85     3.21   3.51

(2) 台所の目線の高さの温度計と床面の温度計では、4度の温度差がある。

    キッチンの温度(℃)
  目線の温度     床面温度
平均 18.14℃      14.10℃
標準偏差 2.03      1.59

(3) 結露が起こらなくなった。

【2010.12.12】

写真1:広い間口の二重窓
写真2:狭い間口の二重窓と設置した温度計(この内側と外側の温度差が4度〜5度)
写真3:二重窓の内側と外側窓ガラスに設置した温度計
写真4:玄関の下駄箱上部に設置した温度計

2010.12.13








2010/12/05 21:29:12|思い出
2010年度 日本人間工学会 関東支部第40回大会

 平成22年12月4日(土)、5日(日)に「2010年度 日本人間工学会 関東支部第40回大会」が東海大学高輪キャンパスで開催される(写真1)。初日の4日は一般講演発表と卒業研究発表である(写真1)。

 4日(土)、10時からの卒業研究発表を聴講、その後11時より座長を務める。まず、10時からの卒業研究では、在職中にお世話になった埼玉県立大学のS先生の教え子さん2人が「起き上がり動作を助ける補助用具の研究」、「腰かける位置が立ち上がり動作に及ぼす影響について」という演題で発表するので聴講した。前者は、ベッドに寝ている患者さんの起き上がりを補助するための力綱(手ぬぐいを繋いだ綱状の補助具)を使っての動作研究、後者はベッド端に座った患者さんが立位になるとき、足位置で起き上がり易さがどのように変わるかを研究した内容である。2人とも、分かりやすいパワーポイント(昔のスライド)を使って立派な態度で発表を終えた。彼女らは4年生で来年3月に卒業見込み。論文を完成させなければ卒業できない。その論文を発表する場として学会では卒業研究発表会を設けている。いろいろな大学の先生、企業人、学生が聴講する中で、1年間かけて行った人間工学に関する卒業研究を公開し、その論文に関する議論や質問を行うという厳しいものである。

 11時からは、「水平手すり配置が立ち上がり動作に与える影響についての研究」、「座位作業における姿勢変化に関する研究」、「座位・立位可変型作業の有効性に関する実験的研究」、「高齢女性の化粧用コットン使用に関する研究」の4演題の座長を務めた。最初の3演題は人間が日常的に行う姿勢・動作を観察し、人が手すりや椅子と上手に関わる方法を研究した成果の発表である。最後の演題は、高齢女性がお化粧をする際の化粧用コットンの持ち方によってどのように手関節の背屈・掌屈、前腕の回外・回内などの角度が変わるかを評価した研究成果の発表である。いずれも、身近な問題で興味深いものであった。
 人間工学は、上述のように人間の機能に合わせた道具、用具、機械の設計・開発、人間の安全な姿勢や動作のありかたを研究・議論する場である。この学会での発表内容は、全て人間に関わることであるから、面白い研究が沢山聴講できる。

 上述した研究発表の聴講と座長を終えると12時を過ぎた。帰路、前記した卒業研究の発表を終えた埼玉県立大学の学生さんと応援に来ていた2人の学生さんたちと一緒になり、品川駅まで行った。ここで、お腹がすいたので一緒に食事をして帰ることにし、駅前のレストランに入った。ここのランチセットは面白く、メインの食事とスイーツがセットになっている。学生さん達はお腹が減ったと言って入ったはずのレストランだが、10種類ぐらいの写真付きスイーツメニューに目が輝きオーダーを決めるのに苦労する(写真2)。写真3は決まったスイーツのひとつである。スイーツの選択が決まり、出てきたメインの食事を頂きながら、研究発表の反省をし、卒業研究の意義などを議論し終えたところで帰路についた。看護大学の学生さん達の就職はすでに決まったようだ。しかし、年が明けると国家試験が待っていて、それに合格しないと決まった就職はお流れになるという。国家試験が終わるまで卒業論文のまとめと試験の準備とまだ暫らく大変な日々が続くようだ。【2010.12.4】

写真1:東海大学で開催された日本人間工学会 関東支部第40回大会で発表の学生さん
写真2:スイーツ選びでメニューに見入るお2人
写真3:美味しかったスイーツ
写真4:メインの食事の前で
2010.12.5







2010/12/02 19:47:50|思い出
○○歳の誕生日

 11月28日は、眞喜子の誕生日だ。この歳まで、誕生日だからといって正式に祝った記憶はない。今年は後期高齢者の仲間入りをした。そのこともあって、まだその年に達していな眞喜子にこれから支えられる可能性がありそうだと密かに思うようになり、この辺で“よいしょ”しておく必要があると感じた。そのため、半年前から彼女の誕生日になにかしてやろうとプランを立てていた。その事はじめがすでに投稿済みの箱根2泊温泉旅行である。

 もうひとつの誕生祝い準備は、3ヶ月前の8月23日に伊藤音楽事務所からから演奏会案内状が送られてきた演奏会である。それは毎年ペレスプラード楽団やグレンミラー楽団の演奏会にでかけ、その度に主催の伊藤音楽事務所のアンケートに応えていたので、演奏会の案内はがきが送られてくる。それによると、眞喜子の誕生日11月28日にグレンミラー楽団の演奏会が渋谷オーチャードホールであるとの知らせで、8月26日申込開始とあった。ただし、この申込開始日(8月26日)は佐賀の孫に会いに行き博多に着いた日で、その2日後の28日に福岡で講演を依頼されていたので九州に行っていた。

 なぜ、この26日の申し込みにこだわるかというと、申込開始日より遅れるといくらS席であっても後ろか端の方の席になりあまり良い席がとれないからである。これまで何度か申込をして演奏会に出かけたが、これでS席かと思われるようなよくない席しか確保できなかった。今回の演奏会は眞喜子誕生日のためということもあって、なんとしても申込開始日に申込をし良い席を確保したく思い、博多駅から伊藤事務所へ電話を入れた。その結果、前から7番目、中央よりやや右の座席(7列、29番、30番)の予約がとれた。事務所への送金も博多駅で済ませ、無事、孫に会い、講演を済ませたという経緯がある。

 その演奏会が11月28日午後2時から約2時間あった。グレン・ミラー楽団は、若いころ何回か観た映画「グレンミラー物語」の楽団である。曲目は、「茶色の小瓶」、「ペンシルバニア6−5000」、「カラマズーの娘」、「アメリカン・パトロール」、「セントルイス・ブルース・マーチ」、「真珠の首飾り」など思い出深い曲に加え、クリスマスの曲「ジングルベル」、「赤鼻のトナカイ」、「ホワイト・クリスマス」など懐かしい曲を2時間にわたり聴け、時間が経つのを忘れるほどのよい演奏会であった。演奏会は楽しめ、命の洗濯もできた。よい誕生プレゼントであったと眞喜子にも大変喜んでもらえた。

 演奏会を終え、ゆっくり渋谷駅へ、そして池袋へでた。ここで、誕生パーティとまで行かないが、東武デパート15階の“パリの朝市”というレストランで誕生祝いを兼ねたささやかな夕食をとった。

 眞喜子は私より3歳年下。したがって、今日(11月28日)で○○歳になった。子供3人を育て、おまけに彼らの大学院修了まで支援した。私の方は胆嚢除去手術、2回の狭心症手術、両眼白内障手術と何回か病院を出入りするたびに迷惑をかけるとともに世話になった。人生の最終章を2人で楽しく過ごしているが、いつまた世話になるか分からないので、今が恩返しのしどころかと思い、旅行に音楽会に一生懸命「よいしょ、よいしょ」している。【2010.11.28】

写真1:演奏会へ行く途中、池袋で宝くじ購入。当たったら世界一周旅行が実現するか?
写真2:グレンミラー・オーケストラのパンフレッド
写真3:演奏曲目:茶色の小瓶、ペンシルバニア 6-5000、カラマズーの娘など懐かしい曲目が目につく
写真4:パリの朝市で夕食を終えて。これで眞喜子は○○歳になった。
2010.12.2