まず動く

「動く」と,ものごとが見えてきます。仕事や旅などで動きまわり、そこで経験したことや見聞したことについて述べたいと思っています。ここで、「動く」という意味は身体だけでなく、頭も口もです。  いつまでも元気でありたいと願い、「動き」を実践しています。
 
2011/04/12 9:25:09|研究・教育の思い出
頑張れ看護学生!

 1ヵ月前の東日本大震災(東北地方地震・津波)発生から今日で丁度1ヶ月が過ぎました。ブログに投稿したい内容はたまりましたが、被災地のことを考えると書く気になれず、3月21日からブログ投稿を休んでいました。
しかし、今日4月11日からD大学を最初にして看護専門学校で新学期の講義が順次始まります。その最初の講義を行った大学ではきれいに桜が咲き誇り、学生からの嬉しい受講感想が聞けたので、やっと書く気になりました。

・先生おじいちゃんみたいでかわいいです。履修ぜったいしまので、これからもよろしくお願いします。
・「人間工学」という授業はもっと堅苦しいものだと思っていたのですが、看護にも使える部分が多く、先生も面白いので興味が出てきました。
・「工学」というのでもっと理系色の濃いものと思っていたのですが、先生の今日の講義はとても楽しく、また、工学は身近にあるものだと知り、文系の私でも興味を持てました。次からもっと講義の内容が看護に関わるものになると思いますので楽しみです。
・とってもおもしろかったです!素敵な先生で、これからの授業が楽しみです。看護の勉強より面白いと思いました(笑)“。工学に物理のイメージがあり、難しそうだなあと思ったのですが、時間があっという間に過ぎてしまいびっくりです。来週またお会いできることを楽しみにしています!本日はありがとうございました。
・難しそうなイメージが強かったのですが、とても楽しい授業で人間工学というものに興味が持てました。ぜひ、友人にも薦めたいです。
・こんなところに人間工学が使われているんだなと、非常に意外性があって面白いと思いました。
・看護に活かせる内容が沢山ありそうだと思いました。
・人間工学は看護に繋がっている授業だなと思いました。

 上記のように学生もやる気、私にもやる気を起こさせるような感想が聞けると、さらにやる気を起こします。次回からは看護に役立ち、分かりやすく面白い講義をしたくより一層張り切ることが出来ます。

 4月からは月曜日に家を出て毎日学校を渡り歩いて講義し、金曜日の夕方自宅に戻るという生活が6月まで続きます。今週は本日11日(月)にD大学で講義し、1日自宅で休養し13日(水)に姫路へ向かい14日(木)と15日(金)にH病院附属看護専門学校で集中講義を行い16日(土)に自宅に戻る予定です。来週18日(月)からは毎日規則正しい講義を異なる学校で行い、学生たちに看護で役立ち、喜ばれる話しをする予定です。

 今日は、玄関を出ると自宅前の桜の木が「いってらっしゃい」(写真1)と送りだし、キャンパスに着くと沢山の桜並木(写真2)に迎えられ、看護学部に着くときれいな桜が「よろしく」と出迎えてくれた。キャンパスに着いたときに目についたドクターヘリ(写真4)であったが、講義を終え帰るときにはこのヘリは見えなかった。今日も緊急患者でドクター共に教え子の先輩看護師がドクターヘリに乗り活躍しています。【2011.4.11】

写真1:自宅前の桜
写真2:D大学キャンパス内の桜
写真3:看護学部前の桜
写真4:キャンパス内のドクターヘリ

2011.4.12







2011/03/21 7:43:13|思い出
上から下からの災害

 東北地方太平洋沖地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。悲惨な災害状況をテレビで見るにつけ、自然の脅威にはどうすることもできないことを知る。災害を被った後の罹災地の人々の行動・行為をみると復興への希望が見られる。遠方にあって、ただただテレビ映像からしか災害の様子がわからない者にとって、直接支援の手はだせない。今現在、唯一遠隔地から支援できることは義捐金かと考え、発生後1週間経った17日、日本赤十字社「東北関東大震災義援金」宛に、百円ショップで求めた大型缶詰様の貯金箱いっぱいになった小銭にプラスαを加え送った。早期復興を心から祈っている。

 丁度今回の地震・津波発生1年前の2010年3月9日から1週間ほど九州を旅していた。3月14日には雲仙岳災害記念館を訪れている。写真1、2は、記念館内に掲示されている災害発生当時報道された記憶に残る生々しい写真である。館内には1991年6月に普賢岳が噴火した当時の様子や生々しい記録・資料が展示され映像も上映されている。今では平成新山として呼ばれている雲仙普賢岳は21年前の1990年11月から1995年の2月まで38回の土石流と7回の大火砕流を起こし、44人(内3名は行方不明)の尊い人命を失った。
昨年の今ごろ(3月)雲仙岳災害記念館を訪れたときに、上から起った自然現象には太刀打ちできないことを実感した。

 あれから丁度1年経ち、自然災害の恐ろしさを忘れかけた今年の3月11日午後、今度は下から起こった東北沖海底地震がもとで発生した大津波が東北・関東太平洋岸の町々を襲い、壊滅状態に陥れた。その大津波は写真3、4のように大型タンクや家までも、まるで大海をさまよう船を押し流すかのように陸上を駆け抜けた。

 「鋸の刃のようにぎざぎざした海岸」はリアス式海岸という。この海岸に津波が襲うと、その地域の被害がなぜ大きくなるかを考えた。三陸海岸のような地形を一続きの鋸の刃に例え、その一部をみると三角形である。裾野が広い三角形の底辺の方から、面積が小さくなる頂点に向けて波が押し寄せることを考える。押し寄せる海水の容量(体積)が変わらないとするならば、頂点に近づくにつれその容積の高さ(浪の高さ)が増すほかない。

 三角形底辺と見立てた海岸付近の海水の塊を、例えば高さ0.1メートル(10センチ)、縦・横100メートル(容積1000立方メートル(100×100×0.1m))であったとする。この塊が三角形底辺から頂点に向けて移動する。頂点に近づくに従い両岸が狭まるので、縦・横100メートルであったものが縦・横10メートル(面積100平方メートル)に狭まったと仮定する。そうすると、前述の海水の塊(容積1000立方メートル)を面積100平方メートルで割れば高さが10メートルと求まる。わずか0.1メートル(10センチ)の高さの浪が岸に近づくとなんと10メートルにもなると推測できる。このように沖にある1000立方メートルの海水の塊が容積を変えずリアス式海岸に押し寄せると、岸に近づくと面積が小さくなるので、水位高さが増すことがわかる。以上、リアス式海岸のような三角形状海岸に向って海水の塊が沖から移動すると、浪の高さが想像以上に大きくなるものと考えた。

 容量が変わらずに移動しているものが、その行く手をさえぎられる、狭められる、細められるとどうなるかは、2車線の道路を順調に走っていた車が1車線になるところで渋滞するとか、朝夕のラッシュ時、狭められた駅改札口付近で人の集団(塊)ができることから理解できる。車や人は上空へは登れない代わりに渋滞とか集団という塊が発生する。大河の水はゆっくり流れているが、川幅が狭められた箇所では激流となる。さらに狭められると氾濫し、水は盛り上がってくる。こうした現象が起こることから、津波の発生メカニズムも予想できる。【2011.3.11】

写真1:上からの災害:山頂から押し寄せる土石流
写真2:上からの災害:押し寄せる土石流から逃れる人と消防車
写真3:下からの災害:押し流されるタンク、家、漁船
写真4:下からの災害:押し流される家と車

2011.3.21 記







2011/03/12 8:32:53|研究・教育の思い出
パッくんの負担軽減用回転補助具

 今日は、大地震が突然起こり、自宅から飛び出て道路上でしばらく様子をうかがっていた。台所のビン類数本が倒れた程度で、大きな被害はない。
先日行ったパッくんの実用への予備実験で、固形化栄養剤を出し切る寸前で力がいるので若干負担が多いという指摘があった。これは、写真1の棒状ハンドルを回す取っ手の部分に改良を加えれば解決する。そのための改良は直ぐに出来ないので、応急的に丸い木製円盤状の板(厚さ15mm)(ここでは回転補助具と呼ぶ)を考案し、その裏にエル型金具4個を取り付けた回転補助具を試作した。これを写真2のように棒状ハンドルにはめ込み回わしたところ、ネジが沈んでいくにつれブリッジ状の金具(女ネジの金具)に当たることが分かった。そこで、写真3のように裏面に取り付けた4個の金具を金鋸で10mmほど切り落とし短くした。

 木製回転補助具を使い写真4のように栄養剤補給実験を行ったところ、回すための負担は少なくなり、栄養剤を押しきることができた。木製回転補助具は不格好であるが、専門家に作ってもらえもう見栄えはよくなるであろう。こうして、写真1でも栄養剤補給は楽に行えるが、写真4のように回転補助具を取りつけ、それを回すとさらに楽に補給が行えることがわかった。直径を大きくし、大きな力のモーメント(トルク)をだせるようにしたお陰だ。【2011.3.11】

写真1:現状のパッくん。
写真2:木製板材の回転補助具裏面に金具4個を取り付け、棒状ハンドルにはめた。しかし、写真のように金具にぶつかることが分かった。
写真3:4個の金具を短くしたところ、栄養剤を押しきるまで回せるようになった。
写真4:木製円盤上の回転補助具に切り込みを入れ回しやすくした。

2011.3.12 記







2011/03/10 10:21:43|研究・教育の思い出
パッくん実用化へ向けて!

 2011年3月1日、都内のある特別養護老人ホームにおいて、パッくん実用化への道を探るため、ホームの看護師さん4人に使っていただいた。ただし、患者さんに栄養剤補給のためではなく、あくまでも装置の感触を探るためである。テストは、パッくんに固形化栄養剤パック(袋)を装着し、チューブを取りつけ、ネジをまわしていただいた(写真1、写真2)。

 すでに実用になっている空気圧を利用した補助具(写真3)、巻き取り方式の用具(写真4)についても行っていただき、その差異を比較した。それぞれ一長一短あるが、パッくんはネジを回すだけであるから楽に使える。しかし、パッくんに栄養剤パックを装着する際に若干手間取るようだが、慣れればこれは問題ない。ネジ力で栄養剤パックを押すので、栄養剤が出つくすころになるとやや力を要する難点がある。

 以上、幾つかの問題点が明らかになった。さらに、実用化へ向けて多くのテストを重ね、出てきた問題点を解決したい。

写真1:使い方を説明しないでテスト開始(枠に手を当てている)
写真2:栄養剤が出つくす寸前の力の入れ方
写真3:空気圧式の固形化栄養剤補給器具
写真4:巻き取り式の固形化栄養剤補給用具







2011/02/28 21:25:12|研究・教育の思い出
授業「看護人間工学」、生徒からの反応!

 今年も看護大学1校、看護専門学校5校、福祉専門学校1校より非常勤講師として講義を依頼された。それに不定期だが大学院からの特別講義、学会講演も依頼された。いずれの学校からの講義も「看護人間工学」という科目名である。講義は4月から7月の前期が大部分であるが、1校だけ9月から翌年2月までの後期にある。

 今年度最後の講義が先週(23日(水))終わった。この後期のW看護専門学校は医師会に所属し、准看護師さんたちが正看護師の資格を取得するために学ぶ学校である。病院に勤務のかたわら学校に通っているので、激務後の勉学ということもあって、授業中にしかたなく頭が机となかよくなってしまう生徒もたまにいる。実務に携わっている生徒たちなので、ME機器や医療用具の知識を若干持っている。また、実際に患者を持ち上げたり、移動させたりして腰痛をおかした経験をもつ生徒もいる。仕事を持つ生徒であるから、人間機能に合わせて安全に扱える物をつくるとか、物の扱い易さ、事故に通じるヒヤリ・ハットなどを学ぶ人間工学、看護師は腰痛をおかしやすいなどということは理解している。それにボディメカニクスのことも知っている。そのため、とっつきにくい人間工学も、比較的容易になじんでもらえ、看護人間工学の重要性も理解してもらえた。

 長い間生きてくるといろいろな面白い経験をする。特に、船、飛行機、自動車、ロケット、ロボットなどに関係した研究、人間の動作研究などと多くの人が興味をもつような分野に席をおいてきたことと、旅行が好きで国内・国外の旅をよくしたので、授業中に学生が退屈してくると脱線しその話しをすることがある。こうした脱線のほうが彼らにとって面白く興味があるということでその脱線は大変人気がある。

 先週授業を終えたばかりの看護専門学校の直ぐ前にかわいいコーヒー店「コモドール」が今年からできた。この学校は埼京線の戸田駅と北戸田駅の中間に位置し、早く着いても時間調整のための場所がこれまでなかった。しかし今年から、この店が出来たお陰で、少々早めについてもここでお茶を飲めるので助かる。毎週、立ち寄り店主とよく話しをするようになった。コーヒーだけでは物足りないので、メニューにはないトースト1枚とコーヒーで特別に350円にしていただいている。本を読みながらの30分〜40分の時間調整をここでできるようになった。

 看護人間工学はどのような授業であったか? その内容を示す生徒の感想を以下にいくつか紹介する。
A:「人間工学の授業がこんなにも看護と繋がっているとは思いませんでした。実際、看護学の基礎分野の教科書に「支持基底面」や「力のモーメント」「テコの原理」などなどが載っている。患者様への安全・安楽の看護人間工学的方法や看護師自身の腰痛軽減など、細かいところで医療と人間工学は密着していた。ME機器も工学者により便利で使用しやすく沢山発明されている。医療器具を現場で見たり、患者様の移乗や移動を行ったりするたびに、先生の授業で教えて頂いたことを思いだし、実践することが最近多くなり、学びにつながっているなあと実感しております。授業で学んだことを今の職場の看護師だけではなく、ヘルパーさんにも伝えて行き、腰痛の軽減や患者様への安全安楽の援助を広げていけるように頑張ります。講義とても楽しかったです。」

B:「看護学校に入学し、人間工学の授業があることを知った時、「人間工学って何だ?」と思いました。そして、正直、「それって看護の勉強に必要なのか?」とも思いました。でも実際に授業を受けてみて、その考えは変わりました。看護の実践において、人間工学との深いつながりがあることが分かりました。患者のためにも自分自身のためにも、教えて頂いた応用を活かして行けたらと思います。先生の体験談を聞くのが、とても楽しみでした。」

C:「人間工学を学んで、一番ためになったのは支持基底面です。姿勢を正す、そして足の位置や手前に患者さんを移動するなど身体に負担がないし、無駄がない不必要な力を入れることはないなどをさまざまなことを学びました。簡単、安全、確実に腰痛が防げることを知りました。物と人、人と人との関わりの大切さを教えて頂きました。」

D:「人間工学がおわって・・・・・、本当初めは、人間工学と看護の結びつきが分からなかったです。しかし、実は密接に関係していたのですね。特に授業で印象に残っていることは「支持基底面」「力のモーメント」「フィードバック制御」です。腰痛予防や、患者の体位変換など楽しく授業ができました。」

E:「人間工学を学ぶことが出来て、先輩看護師が知らないことを沢山学ぶことができたので、皆に広めながら人間工学が浸透していったらいいなあと思います。私達が毎日過ごす中で、様々な人の知恵などが活かされていることを忘れずに生きて行こうと思いました。今後は、この教科書を見ながら勉強しようと思います。」

F:「人間工学を勉強してきて仕事をしていると、いつも人間工学が関わっているのだと思いました。最近腰を痛めたばかりでこの勉強をしてこの姿勢がだめなのだとか、こうすれば患者も自分も楽なんだと考えることができます。人間工学と聞くとどんな難しいことをするのかと考えていましたが、看護の中にも沢山の関連した人間工学があり、分かりやすく学ぶことができました。これからも授業を思いだしながらやって行こうと思います。」

G:「人間工学は私達の生活の中で沢山あり、役立っているのだということを知りました。人間の身体のしくみをいかに活用し、無理のない動きを実現するとても勉強になりました。授業を受けてからいろんなことやものが気なるようになり、便利から人間工学という考え方になりました。病院に車椅子のブレーキをかけずに立ち上がって危険な人が多いです。人間工学で椅子から立ち上がるとブレーキがかかるようなことができないでしょうか。実際に腰痛が防げることを知りました。物と人、人と人との関わりの大切さを教えて頂きました。便利グッツの開発頑張ってください。」【2011.2.23】

写真1:W医師会看護専門学校
写真2:今年から毎週通った学校前の喫茶店
写真3:横から見るとよい雰囲気です
写真4:頑張り屋の生徒たち

2011.2.28 記