まず動く

「動く」と,ものごとが見えてきます。仕事や旅などで動きまわり、そこで経験したことや見聞したことについて述べたいと思っています。ここで、「動く」という意味は身体だけでなく、頭も口もです。  いつまでも元気でありたいと願い、「動き」を実践しています。
 
2015/05/28 6:52:13|思い出
「お値打ちランチを食べる会」 2周年

 日記をつけるつもりでのブログ投稿であったが、半分現役のようなことをやっているので、思うように投稿できずしばらく間があいた。特に4月の年度初めは埼玉、千葉、兵庫と講義の旅を行っていて忙しい。今年は5月の誕生日に傘寿を、Makikoが喜寿を、それに金婚式を迎える年とあって3人の子供たちが孫をつれ狭い我が家に全員が集まり祝ってくれた。このようなこともあって、なにかと忙しい思いをしでブログ投稿を約1ヵ月も怠った。
 
 「お値打ちランチを食べる会」というのはロングステイクラブの同好会である。毎月1回開催されるこの会(ランチ会と呼ぶ)は、今年5月で満2周年を迎える。会の幹事さん達は、毎月欠かさず会場の確保とロングステイクラブ会員への連絡でさぞ大変であったことと推察する。参加する方は、メールで送られるランチ会案内情報の通り時間を間違わずに会場へ出向けばよいわけだから楽である。その陰で、幹事さんたちはご苦労なさっているはずだ。このランチ会が今月5月で2周年を迎える。
 
今年に入ってからのランチ会はすでに5回も開催され、5月で2周年を迎えた。いつどこで何をいくらで食べたかを忘れないためにも、ここに美味しかったランチ、楽しかったその会場をまとめておく。
 
21回 「お値打ちランチを食べる会」
あけましておめでとうございます
年の初めは何を見ても心がときめきます!
 
今年のオープニング「お値打ちランチを食べる会」は、産地直送野菜をはじめ、安心食材を吟味した和食ダイニングでしゃぶしゃぶを頂きます。ほっこりとしながら新しい年の旅のお話をしませんか?
125日(日)11:30  四季七草 (六本木1丁目店)
六本木1-6-1 泉ガーデンタワー 2F  050-5799-6409
地下鉄南北線 六本木一丁目駅 徒歩1分 (駅直結)
しゃぶしゃぶランチ(デザート・コーヒー付) 
2,500
お肉も野菜も一人ずつの別盛りで、お鍋ももちろん自分の陣地です!六本木1丁目駅直結ですので寒い日でも便利です。場所の割に落ち着いた雰囲気で、居心地のよいお店です。
 
第22回 「お値打ちランチを食べる会」
寒い季節にピリ辛鍋でポカポカ、落ち着いた木造りの店内で頂きます
2月は15日 (日)11:30  DRAGON  純豆腐(スンドゥブ) 
港区北青山2-7-29 2F  03-6447-0849
地下鉄銀座線外苑前 A3を出て182m、右角にカフェ・神宮球場方面へ徒歩3分直進
スンドゥブ・キムチ盛り合わせ・海鮮チジミ・コーヒーor紅茶
\1850 
トッピングにチーズが入ります。チーズが苦手な方は受け付けの際にお申し出ください。
 
第23回 「お値打ちランチを食べる会」
イタリアの芸術とまで称賛される本店の味をご賞味下さい。
3月6日(金)11:3015:00  迄利用可能)サバティーニ 銀座店  (ソニービル 7 ) 03-3573-0013  地下鉄銀座駅:徒歩3分,JR有楽町駅:徒歩5分
伝統的なイタリア料理
5,500 
古都フィレンツェの名店の初海外店として開店して以来、伝統的なイタリア料理を提供し続けているレストランです。
 
第24回 「お値打ちランチを食べる会」
とんかつ好きなら外せない、上野御三家の一つです!!(1店は閉店)
4月17日(金)  11:30  蓬莱屋(上野御徒町)
台東区上野3-28-5 (03-3831-5783)
名店のとんかつ「東京物語膳」  
¥2,460 
靴を脱いで、2階の座敷に上がります。短い花の命にしづ心を奪われたとしても年毎に桜には会いたいものですね!大正初年、屋台から営業を始め、以来、池波正太郎。小津安二郎など文人、文化人に愛された「蓬莱屋」。昭和初期の雰囲気に浸れて、タイムスリップしたようなお店で、その名も「東京物語膳」を頂きます。(くしかつ・一口ヒレカツ・メンチカツのセット)
 
第25回 「お値打ちランチを食べる会」 2周年記念
期待を裏切らない、目にも舌にも至福の料理、中村勘三郎さんも足しげく通っていらしたお店です!
5月1日 (金)12:00  蔵(浅草
〒111-0032 東京都台東区浅草1-30-10
地下鉄銀座線 浅草駅 徒歩5分 、東武伊勢崎線浅草駅 徒歩5分 、地下鉄都営浅草線 浅草駅 徒歩5分
炭火会席 
¥4104
 月替わりの昼の小会席はコストパフォーマンスに優れており何度訪れても満足が高い!!おもてなしには是非ともキープしておきたいお店です。
 
 以上は、今年に入ってから毎月参加した「お値打ちランチを食べる会」である。紹介した上記5カ月間のランチ会以前に開催された20回(10回ごとにまとめてある)の場所と内容はロングステイクラブのホームページに掲載されている。
 毎月届く案内には、「お申し込みの方には3日以内に地図の入った詳細案内を送ります。4日過ぎても届かない方は、幹事までメールが届いていない可能性もありますのでお手数ですが、рくださるようお願いいたします」と丁寧な案内と地図を添付していただいている。そのため、会場へは迷わず行け、美味しいランチとおしゃべりができる。おまけにいずれの開催地も“六本木”、“青山”、“銀座”、“上野”、“浅草”と東京のど真ん中である。東京で生まれ育ち、結婚して埼玉に移り住み50年以上が過ぎた。都電が走っていたころは、その都電に乗りでかけたことがあったが、今では都内を散策する機会は皆無である。そのため、「お値打ちランチを食べる会」は、東京見物を兼ねることができるので開催日が他の用事と重ならない限り出席している。それにしても、ランチ会を準備し連絡をしていただく幹事さんにはいつも感謝の気持ちでいっぱいである。【2015.5.1】
 
写真1:いつ行っても賑わいのある浅草仲見世通り(レストラン蔵はこの裏手にある)
写真2:下町のたたずまい「蔵」の正面玄関
写真3:だされた料理のひとつ
写真4:炭火の焼肉で参加者はご満悦
 
2015.5.28 旭中央病院にて記す
 







2015/05/06 20:13:00|研究・教育の思い出
看護学と工学のコラボレーション

 航空宇宙技術研究所、東京工業大学、放送大学(産業と技術)、東京電機大学と理系の職場を渡り歩いてきた。したがって、研究仲間も男性ばかりである。最後の職場となった東京電機大学では、人間工学という分野の研究に重点をおき人間の動作研究を15年ほど行ってきた。それは、東工大時代にロボットの研究を行っていたことに端を発する。人間のようにロボットを動かそうとするなら、まずは人間の動きを研究する必要がある。当時のロボットはぎこちない動きであった。その動きを滑らかにするため人の動作研究、特に人間の滑らかな動きの研究を「サイバネティックス・モーション」と名付け、手の動きをムービーで撮影したり、加速度計を用いて手の加速度を測定したりし動きの滑らかさを追求してきた。
 
 東京電機大学へ移ってから、“看護の現場で腰痛を起こす看護師が多い”と研究指導をしている大学院学生が姉から聞いたことを話してくれた。看護のどのような動作で腰痛を発症するのかに興味を抱き、彼の姉が卒業した自治医科大学看護学部の教授を紹介してもらった。早速、自治医科大学へ出向いて話しを聞き、看護師の腰痛が多いという事実を知った。こうして、看護師の腰痛が多いことを知ってから、看護動作の研究が始まった。初期のころは、腰痛の発症率を調査するため、日本の看護師500名にアンケートを依頼したり、英国スコットランドのアバディーン市へ出かけ、英国の看護師200名の腰痛発症の現状を調査したりした。
 
 その後、床反力計(フォースプレート)を試作し、それに乗り重量物を持ったり移動したりする研究を行った。さらに看護研究の間口が広がり、ギャッチベッドの背上げ時に患者の背部にかかる力の測定、患者移動や移乗時の負担、杖の効果、肘掛けの効果、立ち上がり動作時の床反力など看護に関わる広い分野の研究を手がけてきた。以上のような研究は看護に無関係な理系大学単独ではできない。重量物の持ち上げ動作などは患者持ち上げと共通するところがあるということで、日本人間工学会での発表時に質問や意見をいただくことがよくあった。そのとき意見を頂いた看護学の先生がたと親しくなり共同研究を行うようになった。
 
 看護動作の実験的研究を行うためには、人間が発揮する力や人が動く量(変位や角度)を測定する機器やセンサ技術が要求される。研究室は埼玉県鳩山町にある東京電機大学理工学部であった関係で、県内の大学との共同研究を望んだ結果、埼玉県立大学看護学科の先生がたと研究が行えるようになった。東京電機大学側から看護動作の測定装置開発と測定技術を提供し、埼玉県立大学側からは看護師の介助動作を提供することとし、定年退職に至るまでの15年ほど看護動作の研究を行った。看護動作といってもいろいろある。仰臥位から側臥位への患者体位変換、ベッドから車椅子への移動や移乗動作、患者が杖や肘掛けなどの用具や補助具を使ったときの使用効果、ギャッチベッドの安楽さ、座剤容器や目薬容器の使用性、注射の技(採血や穿刺)などいろいろある。男子校(東京電機大学知能機械工学科)と女子校(埼玉県立大学看護学科)の共同研究(卒業研究)であるから、学生たちはそれなりに仲良く研究ができ楽しかったようだ。異分野の学問が結ばれたのでとてもよい研究環境であったと思う。
 
 計測技術が得意であった関係で、上述の看護研究を実験的に行うことができた。前述した注射手技の研究は今でも続いている。5人家族であった我が家が妻と2人になったので、空き部屋ができた。その2階の2部屋を改造し、研究室もどき部屋とし使っている。注射器のような小物を扱う研究なら、小さな部屋でもできるので、K先生、S先生の「注射手技」に関する研究データを取得するための計測装置と実験部分を担当し、今でも共同研究を続けている。その共同研究打ち合わせ会を、東京池袋東武百貨店11階の「パリの朝市」というレストランで4月初旬に行った。研究打ち合わせはもちろんのこと、上述した昔行ったもろもろの研究話しに花が咲き時間が経つのを忘れるほどであった。
 
  研究所およびいくつかの理系大学を渡り歩いてきたので女性にあまり縁がなく結婚はお見合いである。いずれの職場も男性、教える学生も男子、子供も2人男の子、頑張った末に3人目に女の子に恵まれた。育った環境も男兄弟3人、亡き母親は「我が家には“赤い物”がなくて寂しいね」とよくこぼしていた。ところが、年とった今現在、3人の孫達は全部女の子、研究仲間も女性、教えに行っている看護学校も当然であるがほとんど女性(男子学生は10%ぐらい)である。共同研究を行った大学は主には埼玉県立大学の看護学科の先生方であったが、自治医科大学、東京女子医科大学、昭和大学の看護学科の先生方とも共同研究あるいはベッド周り研究会と名付けて毎月ゼミを行っていた。
 
 こうしておつきあい頂いた女性の先生方、女子学生の皆さんから日頃元気をもらえたお蔭で、あと10日先の5月17日にほぼ現役状態で目出度く80歳の誕生日を迎えようとしている。若い学生さん、研究仲間に感謝である。明日5月7日は旭中央病院付属看護専門学校で講義があるので、今旭中央病院ゲストルームに泊まりにきていて、本ブログを投稿している。【2015.4.11】
 
写真1:美味しかったフランス料理
写真2:3品選べる食後のデザート
写真3:食事開始前にお水で乾杯
写真4:お腹いっぱい、今後の研究に期待し閉会
 
平成27年5月6日(水) 旭中央病院ゲストルームにて記す
 







2015/05/01 0:06:39|研究・教育の思い出
放送大学開学当時の研究仲間
 1985年に開学した放送大学は、今年で30周年記念の年を迎えた。開学当時、助教授として在籍し卒業研究を指導した。第一期生の卒業式は、皇太子殿下、文部大臣、郵政大臣が臨席し、来賓祝辞の後にはNHK交響楽団の演奏会が催されるという他大学では見ることができない立派な卒業式典であった。その卒業生の1人に会社社長のOさんがいた。
 
  当時、学生の皆さんは職を持ちながらの学生で、その平均年齢は40歳ぐらいであった。4年間で卒業できる学生は、全体のわずか8%と極めて卒業が困難な大学であった。当時の放送大学は卒業研究が義務づけられていた。私が指導した卒業研究分野は工学で、「産業と技術コース」に所属していた上記Oさんが卒業研究テーマ「刃物(スケーラー)の切れ味に関する研究」を希望しやってきた。ここでスケーラーというのは、歯石を除去するための医療用具で切れなくなったスケーラーと切れるスケーラー特性を明らかにする研究である。スケーラーを用いて、歯に近い材質のプラスチックや硬い鉛筆の芯などをスケーラーで削る実験装置を開発して研究を行った。この装置には、スケーラーで模擬の歯を削るときの力が測れる工夫がしてある。
 
  歯科に関わる研究をはじめた経緯は、次のようである。放送大学の本部は千葉県幕張駅近くにある。道路を隔て反対側に千葉県立衛生短期大学(現千葉県立保健医療大学)がある。両大学学長の話し合いの中で、放送大学に計測を専門とする教員がいるということを言われたそうだ。その結果、千葉県立衛生短期大学の教員のM先生から連絡を受け、共同研究が始まった。M先生は歯学衛生学科の先生で歯石除去用のスケーラーという刃物の専門家だ。その刃物の挙動を測ることから、切れ味を解明しようとの試みであった。こうして刃物の切れ味の研究が始まり、そのテーマに取り組んだのが上述の放送大学学生のOさんである。
 
  このようにしてお互いが知り合い、刃物の切れ味の研究を続け、Oさんは放送大学を卒業、私は東京電機大学へ移った。M先生は千葉県立保健医療大学に留まり、昨年定年を迎えた。定年を機会に昨年、M先生、Oさん夫婦、私たち夫婦で、神田にあるベルギー料理&ベルギービールの店 「レストラン シャン・ドゥ・ソレイユ」で食事をした。そのときM先生の奥様に会えなかったのが残念であった。そこで、今年は奥さん同伴で会い、食事をしましょうということになり、4月3日午後6時半〜9時、上述のベルギー料理の「レストラン シャン・ドゥ・ソレイユ」で会った。Oさんは相変わらず会社経営をしているが、大学人であった2人は定年で職場を去り、それぞれ違った道を歩んでいる。
 
  上述したように3人は、放送大学に席を置いていたお陰で出会え、誰も行っていない研究を行えたのである。その放送大学の現状を調べたところ、以下のように大きく生長し、多くの人材を世に送り出したことがわかった。
 
  「放送大学は、英語名(The Open University of Japan)から読み取れる様に、誰にでも開かれた大学(公開大学)である。その為、教養学部については入学試験がなく、入学は容易であるが、卒業については、放送大学の卒業生の質を保証させる為、入学後に厳格なチェック体制が敷かれている。1985年度から学部生の受け入れを開始して以来、平成25年度第2学期現在、136万2258人の方々が学生として学び、平成26年度3月末現在、7万9186人の教養学部卒業生、4177人の大学院修士課程修了生を輩出している」
 
  この大学に5年間在籍し、森政弘教授と共同で「基礎計測と制御」、単独で「基礎電子工学」各15巻45分間のテレビ放送授業番組と印刷教材を作成した懐かしい思い出がある。【2015.4.3】
 
写真:誰が先生か生徒かわからない。レストラン シャン・ドゥ・ソレイユにて
 
平成27年4月30日(木) 自宅にて記す
 







2015/04/24 21:33:37|研究・教育の思い出
講義の旅
 今年も学校の新学期が始まり、4月8日木曜日姫路に向かった。この日から今年の「講義の旅」が始まる。まず、9日、10日の2日間、姫路医療センター附属看護学校で集中講義。姫路から帰って土日を自宅で過ごす。次は月曜日、日帰りで埼玉県戸田市の蕨・戸田医師会看護専門学校で講義。その翌日の火曜日から埼玉県川越市の済生会川口看護専門学校、水曜日に千葉県成田市の二葉看護学院、木曜日に千葉県旭市の旭中央病院付属看護専門学校と講義は続く。姫路医療センター附属看護学校へは4月に2日間、5月に1日出かけるが、その他の学校へは月曜日から木曜日まで上述した日程で毎週講義を行う。

  「講義の旅」とは、月曜日から木曜日まで自宅にもどらずに上記した5校の看護学校で連日講義を行うのでそのように名付けた。これまで何回となく医師や看護師に大変お世話になり、この年まで生き延びてこられた。その恩返しのつもりで、健康で元気でいる限り、依頼があればどこへでも看護に関わる人間工学の講義に出かけ、お役にたつよう努力している。
 
 毎年のことだが、姫路医療センター附属看護学校へは他の学校が始まる数日前に出かけている。この学校は姫路城の真ん前にある姫路医療センターという国立病院の中にある。教室からは見えないが、屋上に上ると姫路城が見えるという大変立地のよい学校である。桜が咲くシーズンが過ぎる4月上旬に毎年訪れるのだが、今年は少し満開の時期を過ぎたころに出かけた。まだ、花が綺麗に咲いている講義前日の8日に姫路城公園を訪れた。この日は晴天に恵まれたお蔭で、5年ぶりに姿を現した美しい世界遺産の姫路城を外部から見学できた。午後遅くに姫路に着いたので、お城の内部に入る時間はないが立派に改修された姫路城を間近に見て写真も撮影でき感動。その翌日から雨が降り出し、よい日に姫路城の見学ができた。
 
 2日間の集中講義を無事終え帰宅した後、土日を自宅で過ごし、月曜日は埼玉県戸田市にある蕨戸田医師会看護専門学校へ出向く。こちらの学校は制度を新しくし、3年課程4年修業となって新たに発足した学校である。したがって、今年は1年生だけが在籍しているので、少々寂しい感がする。火曜日は埼玉県川口駅からバスで10分ほどの済生会川口看護専門学校、次は成田市へ移動し、翌水曜日は成田駅からタクシーで10分ほどの成田病院附属の二葉看護学院、そして週の最終講義は千葉県旭市へ移動し、旭駅からタクシーで5分ほどの旭中央病院付属看護専門学校で講義する。旭中央病院は1,000床に近いベッド数を有する大きな病院である。そのためホテルなみのゲストルームがあるのでそこに泊めて頂く。職員が帰ったあとの病院はとても静かだ。最初のころは静かすぎて、気味が悪かったがいまではそれにも慣れ、部屋で学生が提出したレポートの採点を行っている。
 
 以上のような生活が7月まで続く。講義は「人間工学」、基礎分野の科学的思考の基盤の一分野である。この人間工学は、最近、電車のつり革の配置・向き、トンネル内の照明、トイレの洗浄機などに応用されている様子がテレビで紹介され、少しずつ認知度が高まったように思われる。しかし、「人間工学」という言葉を聞いたことがあるかという質問に対し、講義を聴く学生はほとんどが初めてであるという。「人間工学」には工学という2文字が含まれているため、内容については全く想像ができないようだ。しかし、学生の大部分は高校時代に生物を履修し、物理は習っていないという。物理的な話しがでてきて、しかも数式も使う可能性があるので、人間工学は難しそうだと恐れをなしている科目のようだ。そして、この人間工学がどのようにして看護と結びつくのかという疑問を多くの学生はいだいている。
 
 ところが、椅子の座り心地・高さ、机の高さ、ナイフ・ハサミ・消しゴム・ボールペンなどの文房具、冷蔵庫・鍋・炊飯器・電子レンジ・などの台所用品、上述した電車のつり革、トンネル内照明、自動改札機、券売機、ジュースなど自動販売機・・・・・・・・・・・・などの例を挙げれば切りがないほど製品が人間工学的に開発されたものばかりであることを説明する。さらには、看護や介護では患者・利用者を介助するので、その支援・介助のための技術にも人間工学的な課題があり、その一端にボディメカニクスがあることを解説する。このボディメカニクスには、力学原理の説明が含まれるので、ちょっとだけ数式が出てくる。このボディメカニクスを学習すると、患者を介助するときの無理な身体動作の理屈がわかる。そのため、腰痛をはじめとする脊柱障害から身を守ることができると説明する。看護師の70〜80%は業務で腰痛をおかしているという報告があるくらいに、看護師の腰痛発症率は高い。その主な要因は、ベッド回りで作業するため前傾姿勢をとり、その姿勢で患者の体位変換を行うことが多いためである。
 
 以上のような内容の講義を終えると、看護初学者は全員が看護に「人間工学」は絶対必要だという。それなのに人間工学はなぜ広まらないのかといつも疑問に思っている。それは、物理や数学が不得意な女性が多い看護や介護分野では、「工学」という2文字が入った「人間工学」が受け入れ難いからのようである。内容がわかれば、その必要性を理解してもらえることは、これまで講義を行ってきた看護大学や看護専門学校で明らかになっている。【2015.4.23】
 
平成27年4月24日(金) 自宅にて記す







2015/04/12 19:00:00|思い出
認知機能検査パスし高齢者講習終了

  今年5月で傘寿を迎え、免許証の更新時期がきた。認知機能検査と高齢者講習の案内がきたので、ところざわ自動車学校で受講日程の電話を入れた。確か2ヶ月ほど前に連絡ハガキを受けたので、直ぐに自動車学校へ電話した。その結果、3月31日まで予約はいっぱいだという返事だったので、この日に決めた。その日に孫娘が遊びにいきたいという連絡があったので、出迎えできないが、それでいいなら来なさいと連絡しておいた。
 
  認知機能検査と高齢者講習の趣旨は別で、前者は筆記テストで認知の可能性チェック、後者は座学と運転実技のチェックである。まず、15人ほどが同時に受講できる教室に入る。
認知機能検査は、日時を問う検査があるので腕時計を外すことから始まる。検査用紙@に今日の「年・月・日・時」を書く。「今年は何年か?」、「今月はなんという月か?」、「今日は何日か?」、「曜日は?」、「今の時間?」などを何も見ないで書きこむ。
 
 後に続く検査のためだとのことで、「1」〜「9」の数がランダムに羅列された用紙を渡される。「例えば「1」と「2」を指定した数字すべてに斜線をいれなさい」という設問。次ぎに斜線を入れる数字を「3」と「4」と「7」という3つの数字を指定され、それらの数をランダムに並べられた用紙の中からみつけだし斜線を入れる。3分間で終わり。
 
 回答用紙Aでは、提示されたバイクやベッドなど16個のイラスト内容を記憶しておき、時間をおいてから先に提示されたイラスト内容を書きだす。例えば、大砲、オルガン、バイク、ラジオ、ブドウ・・・・・・・・・・・・など16種のイラストを見せられる。いったん別の話題(道路交通法が改正された話題の講義)に入り、その後に改めて先ほど見せられたイラストを思い出し名前を書きだすという設問。16個のイラスト名を用紙に書き出すのだが、その順序は気にせず漢字でもひらがな・カタカナでもよいので回答する。
 
 回答用紙Bでは、前述した問題用紙Aのところで提示された同じイラストを再度ゆっくり提示され、その提示されたイラストと関連した説明を受ける。その直後、イラスト名を受講者全員が声を出して言う。例えば、ブドウというイラストが提示されると、指導員は「これは果物です」というヒントの説明をする。つぎに指導員が果物はなにかと受講者に問うと受講者全員が「ブドウ」と一斉に声をだし応える。ベッドのイラストを提示すると、ベッドは家具であると指導員は説明する。イラストに描かれたベッドは、家具であると関連付けで覚えられるように全員が言葉で口に出す。こうして16のイラストを示し、そのイラストの関係づけを説明し、記憶しやすいように促す。
 
 回答用紙C:この用紙には16の家具、果物、文房具など関連づけの用語(ヒント)が書かれてある。その横に覚えたと思えるイラスト名を列挙する。例えば、覚えたと思われるイラストは、ヒントの家具なら「ベッド」、果物のヒントなら「ブドウ」というように連想すると答がでてくるので、それを回答する。
 
 回答用紙D:白紙のA4用紙に時計をイメージした大きな丸を描く。まず時計の目盛を入れ、その位置に時刻を示す数字を入れる。指導員が11時10分の短針と長針を図に記入しなさいと指示するので、短・長の針を11時10分になるよう描く。
 
以上の講習予備検査(認知機能検査)結果が座学終了後に通知書の形で渡される。総合点で90点合格であった。親しくなったお隣のお年寄りは84歳で私の先輩だ。この方は92点をマークしご機嫌である。
 
  以上の講習を受けると上記したような点数が出てくる。その点数は以下のような意味があるという。
76点以上:記憶力・判断力に心配ありません
49点以上76点未満:記憶力・判断力が少し低くなっています
49点未満:記憶力・判断力が低くなっています
 
 座学が終わると運転適性検査器材の使用による検査と指導が60分間行われる。これは運転シミュレーターによるハンドル操作とアクセル・ブレーキ操作の検査だ。動体視力、左右の見え方(正面を見ながら左右方向何度までものが見えるか)の検査もある。
上記の検査が終わると次は最後の実車による検査と指導だ。実車に3人の受講生が乗り60分間の運転であるから、1人約10分の運転だ。バック、S字走行、クランク走行、停止標識での操作チェック、段差乗り上げ直後に急ブレーキをかける、などの検査を行った。いずれも、合格した。誕生日1ヶ月前に免許更新の案内がくるので、その1ヶ月以内に上記検査終了証明書を持って最寄りの警察へ出向き、新しい免許証を受け取るという段取りだ。高齢者の免許更新期間は3年と短くなるという。講習所要時間3時間、費用は5850円であった。狭い交差点の「停止サイン」では必ず完全に止まりなさいと指導員がいう。これは当たり前のことだ。しかし、それを守らないドライバーがいるため妻Makikoは、昨年春に一時停止を怠った軽自動車にはねられるという事故にあった。打撲の軽傷で済んだため3ヶ月間で治癒した。【2015.3.31】
 
写真1:勘違い・見間違いが多くなった。逆走に注意したい
写真2:怖い交差点の死角。眞喜子の事故もこれに近い
写真3:いつまでも続けたい安全運転【アメリカ大陸横断(ニューヨークからサンフランシスまで)、埼玉県から佐賀県と九州一周を行ったような元気はまだあるのだが】
写真4:高齢者講習終了証明書(これを持って最寄りの警察署へ免許更新に近日中に行く)
 
平成27年4月12日(日) 自宅にて記す