鑛一は、大学教員現役の頃、ロボット工学の講義を担当していた。専門は「制御工学」だが、この制御工学の知識がないとロボットは動かない。リラクサイズ武蔵藤沢の床面積は大きいので掃除ロボットを導入することは必然の成り行きかだと思う。鑛一がロボット工学を講義していた1998年(26年前)頃は、ロボット研究は盛んであったが掃除ロボット(2001年発売)はまだ実用になっていなかったと思う。それが今では実用になり、毎日の床掃除に使われていることを知り、技術の発達の素晴らしさを実感している。掃除ロボットが動く様子や障害物に当たった時、ロボットはどのような挙動を示すか、その動きの状況を目前で見学できた26日(水)のデイサービスは、とても有益な日となった。
鑛一は上記大学以前に国立大学の制御工学科で13年間助手をしていた。上司はロボット工学普及に力を注いだ森政弘先生で、NHKのロボコンを開催したロボコン博士である。東工大時代にロボットを人間に役立てるためには、ロボットの動きは人の動きと同じようにしないと、ロボットを扱う人間は違和感を感じ、ロボットは普及しないと森先生は主張していた。そのため鑛一は、水を入れたコップや物体を右左へ移動させた時の物体の動きの研究を行った。この動きに関する研究成果は、5編の原著論文とし学会誌に発表した。
人の動きに関する研究が一段落したころ、KJ法で有名な、元東工大教授の川喜田二郎先生よりネパールで使う自然力ボート(川の流れを使い川を渡るボート)の研究・開発依頼が森政弘教授にあった。開発した自然力ボートはネパールに設置するとのことであった。そこで、助手であった鑛一がネパール技術援助の実験隊長に指名され、東工大で自然力ボートの研究・開発し、ヤマハ発動機がボート製作を担当することで開発を進めた。ネパール政府への開発したボートの説明と実験のため4回にわたりネパールに出かけた。研究は7年間続き、ネパールの川の流れを利用し、川幅100m程度なら渡河できる自然力ボートを完成させた。その成果をネパール政府に報告し、自然力ボートは10年ほどネパールの川で実用に供された。研究成果は博士論文にまとめ、鑛一は、この自然力ボートの研究で東京工業大学から工学博士の学位が授与された。そのお陰で放送大学助教授、東京電機大学教授という地位を経て、70歳定年まで東京電機大学、それ以降、コロナ禍が始まった2020年6月85歳まで非常勤講師として放送大学、看護大学、看護専門学校で看護人間工学の講義を行った。コロナ禍と2回の脳梗塞を患い、残念だが介護される身になり今日に至っている。
2024年7月3日(水)