まず動く2

ブログ「まず動く」の写真容量が不足したため、ここに改めて「まず動く2」を立ち上げました。以前のブログ同様に、写真付き日記のつもりで投稿します。ご覧いただければ嬉しい限りです。
 
2017/09/04 15:24:00|我が家のこと
小6 Kちゃんの誕生祝い
 佐賀の小学校6年生の孫娘Kちゃん、妹の小学校2年生Sちゃんが両親と共に埼玉の我が家に来た。その4日後に12歳になるKちゃんは誕生日を迎える。この誕生日の前日、さいたま市浦和に住むもう1人の孫娘(娘の子供、KOちゃん)が1人で浦和から途中駅(JR新秋津)まで来るというので、その駅まで出迎えに行く。彼女は小学4年生、学年が佐賀の孫2人の間に入る年齢である。自宅からバスに乗り浦和駅まで、この駅からJRで新秋津駅まで来て下車。この駅で、じじ・ばばが出迎えれば1人で入間の我が家に来ることができる。KOちゃんは、生まれて初めて電車に乗って1人でJR新秋津駅までやって来た。今はSUICA、パスモという電子カードがあるので、電車の切符を買う必要がないので、乗車・下車が楽にできる。それに、緊急時に鳴らせる警報器つき携帯電話を持っていて、何か起こった場合は直ぐに連絡できるので安心だ。このようなわけで、小学4年のKOちゃんが、自宅からバスとJRを乗り継ぎ新秋津駅まで初めて1人でやってきた。

 佐賀の孫娘2人を車に乗せ、新秋津駅まで出迎える。1年ぶりに再会する孫達3人、浦和のKOちゃんは、直ぐ仲間入りができ、3人姉妹のように犬猫(失礼!)のように楽しそうにじゃれ合っている。年長のKちゃんの誕生日にプレゼントする物は、手作りのブックカバーと小さい孫2人で相談して決めていたようだ。それを作るため百円ヒョップで布と飾りつけ部品求めたいという。そこで3人をつれ、近所の百円ヒョップへ出向く。彼らはじじの支払いと知り、買い物カゴ片手に楽しそうに広い店内を嬉しそうに探し回る。ブックカバーという制作品に必要な部材・部品を集めはじめるが、思うような材料が見当たらず悩みはじめる。このような悩みは子供達にとって大切かと思い、暫く見て見ぬふりをしてほっておく。最終的には異なるカラーの小サイズの布を自分達で見つけ、何種類かを買い物カゴに入れる。さらにブックカバーの飾り部品も探し始め、同時にそれらをカバー表面に貼る接着剤が必要であることに気づき、それも探しはじめ、ついに捜し当てる。
 一方、誕生日を迎えるKちゃんは、自分を含め3人のオリジナル指輪を作るといい、部品を集める。こうして買い集めた沢山の部材や部品をレジで精算したが、2,000円でお釣りが来る程度で済んだ。
 帰路、イタリアン・レストランでピザを注文。店長が団子状のピザ生地を押しつぶし薄くする。それを大きな円形にするため生地の中心部を指先に乗せ、くるくる回しながらサイズを大きくしていく技を披露してくれる。おまけに、本物の生地に似た粘土状の練習用生地を持ち出し、孫たちにサイズの大きなピザ円形生地の作り方を教えてくれ、孫たちは大喜びした。
 自宅に戻り、早速KOちゃんとSちゃん2人は、ブックカバーを共同で、Kちゃんは指輪を、それぞれがめいめい目指す作品を作り始める。こうして、彼らが目指す作品が出来上がったところで、誕生日を迎えたKちゃんにKOちゃんとSちゃんからブックカバーが贈呈された。次はKちゃんが手作り指輪を自身も含め全員に手渡す。こうして、誕生祝いの手作りプレゼントの贈呈式を無事に終えることができた。

 KOちゃんは、明日の予定があるというので浦和に帰るという。夕方午後4時半、全員車で朝来たJR新秋津駅まで見送りに出かけ、駅改札口を通過することを見届け別れをおしんだ。明日は、午後4時発の佐賀行き飛行機で2人の孫娘は帰る予定だ。帰るこの日は、Kちゃんの誕生日だ。そこで、ハワイに行って誕生会をすると宣言し、ハワイへ出かけた。場所は所沢市にあるハワイ・パンケーキ・コーヒー店である。ここで、ハワイの料理が食べられるので、少々贅沢な食事を注文し、Kちゃんのために特別な誕生祝いのパンケーキを注文した。Kちゃんお目出とうと書かれた大きな皿にパンケーキが3枚乗っている。こうして、ハワイの気分がでるハワイアンレストランで、Kちゃんの満12歳の誕生日を祝った。誕生の祝い品は、本がいいという。そこで、羽田空港への帰路、池袋西武デパート内にある三省堂に立ち寄り、好きなだけ読みたい本を買うため一時間ほど本屋で時間を過ごす。読み物の本を十冊ほど買い、それを誕生祝いの品とした。

 誕生日を迎えた一番年上のKちゃんは、もう少し埼玉に泊まっていたいらしく残念がっていた。こうして、3泊4日と短い滞在であったが、佐賀の孫たちの夏休み旅行は無事終わった。【2017年8月26日】
 
平成29年9月4日(日) 自宅にて記す
 







2017/09/03 16:08:03|我が家のこと
孫は来てよし、帰ってよし
 年に1-2回、遠くの佐賀から埼玉の実家に孫娘二人をつれ息子夫婦がやってくる。感心にも息子夫婦は実家に帰るその都度、墓参りしたいというので、一緒に墓参する。墓は東京の山墓地で、表参道から歩いて行ける距離にある。そのため、羽田空港まで出迎えに行った帰り道、地下鉄表参道駅構内のコインロッカーに大荷物を預け、息子夫婦と孫二人、それに我々夫婦で墓参りをする。今年も猛暑の日に出かけることになり、蚊に吸われながらの墓参を終えた。

 翌日、朝8時10分発の「はとバス」日帰り日光のツアーを予約しておいた。大きな孫(Kちゃん)は小学6年で来年は中学生、小さい孫(Sちゃん)は小学3年生である。6年の孫Kちゃんは、日本史を習っていて「日光東照宮は、家康のお墓であるとともに家康自身を神さまとして祀っている神社」というようなことはすでに習って知っているようだ。そのためか、日光へ行きたいと我々“じじ・ばば”にリクエストしてきたので予約を入れておいた。
 当日の朝、6時に埼玉の自宅を出発し、東京駅へ向かう。東京は佐賀と異なり人の多さ、電車の混みようで戸惑ったようだ。東京中央郵便局前のはとバス停留所を定刻の8時20分に出発、一路日光へ向かう。

 東北道を順調に走り、日光入り。最初に中禅寺金谷ホテルで昼食だ。このホテルは1873年(明治6年)に開業したというから、箱根の冨士屋ホテル(1878年開業)より古い。このような由緒あるホテルで昼食をとれるとは思わなかったので、昼食を家族6人で堪能することができた。

 1時間ほどで昼食を済ませ、日光華厳の滝へ向かう。この滝は高さ97mの落差であって、茨城県の袋田の滝、和歌山県の那智の滝とともに日本三大名瀑の1つに数えられている。続いて、日光東照宮を訪れ、8枚の絵の中で有名な「見ざる聞かざる言わざる」の絵、「鳴竜(天井の龍の絵の下で拍子木を鳴らすとカ〜ン〜〜〜と響く)」、坂上門に描かれた平和の象徴の「眠り猫」、地震に強い「五重塔(真ん中の心注が少し浮いている、東京スカイツリーにも応用されているとか)」などを見学し、日光に別れを告げる。バスガイドの説明は誠に上手で、往復のバス内の説明で簡単な江戸初期の歴史が分かったような気になる。義理の娘(佐賀人)と孫二人達は、佐賀とはひと味違う都会の風景、山間の景色、日本史に出てくる世界遺産の日光の社寺を見学し、かなり疲れたようだが満たされた1日となったようだ。

 夕方、夕焼けが迫る東京に近づくと薄暗くなった青空に、明かりが一部灯った東京スカイツリーがくっきりと見え始め、東京駅が近いことが分かる。東京駅近所の勝手が分からないので、池袋に移動し、夕食をとることにした。西武デパート8階にあるハンバーガーショップに入り夕食を済ませ、入間の自宅に夜10時近く無事に戻る。我々“じじ・ばば”は、いつもなら2時間ほどの昼寝をする。ところが、この日は朝4時に起き、夜の10時までの18時間起きていて、バスに揺られ、ツアーで1万歩以上歩き回った。明日は、さいたま市に住む孫1人が入間の我が家に来て、佐賀の孫2人と合流する予定だ。そのため、明日は自宅にてのんびり孫たちと遊ぶことできるので楽しみだ。【2017年8月24日】
 
平成29年9月3日(日) 自宅にて記す
 







2017/08/17 18:17:58|運動・趣味
出てきたお腹を筋トレ・マシンで減らす努力に挑戦!
 自分が太っているかそうでないのかを示す指数として、体格指数BMI(Body Mass Index)がある。この指数は適性体重を算出するために用いられていて、体重[kg]と身長[m]が分かっていると次式で求められる。
 
BMI = 体重[kg] ÷(身長[m]×身長[m])
 
 指数BMIの標準は22であって、18.5〜25未満の人は「標準体型」であるといわれる。25を越える人は、「肥満」の範ちゅうに入る。体重73kgf、身長1.72mの私のBMIは、上式で計算すると24.7、ぎりぎりのところで標準体型の中に入っている。しかし、おへそ周りを測る、つまり腹囲を測ると何と105cmもある。今現在、狭心症を患い3本のステントを入れていて頂いた心臓外科医の先生と糖尿病予備軍で内科医の先生にお世話になっている。月々の定期診断時、両先生に腹囲を測ってもらっているが、上記した数値が一向に変わらないので、食事に注意することと運動するようにと言われている。男性腹囲が85cm以上はメタボリック症候群と言われるので、確実にその仲間に入っている。
 
 メタボリック症候群(英:Metabolic syndrome)というのは、内臓脂肪型肥満(内臓肥満、腹部肥満)に高血糖、高血圧、脂質異常症のうち2つ以上の症状が一度に出ている状態であるとう。内臓脂肪型肥満ではあるが、高血糖、高血圧、脂質異常症にはなっていないので注意は必要である。定期的な診断を受け、本格的なメタボにならないよう心がけている。
 
 3ヶ月ほど前、所要で出かけることがあったので、かつて愛用していたズボンを履こうとした。10本ほど試したがいずれも履けない。XLサイズのズボンを改めて買い求め、その場を凌いだ。これまで履いていたズボンが履けなくなり、医者からは外食を避け、「パン、ご飯、うどん」などの白物を控えるよう忠告を受けている。また、「積極的に運動する」ようにともコメントを頂いている。このようなことがあったので、食事の白物は半分に減らし、片道徒歩15分ほどの距離にある近所の公園まで毎朝出かけ、ラジオ体操、ストレッチにはげんでいる。しかし、一向に体重の変化は見られず、腹囲にも変化は現れない。ある日、医師の診断を受けた際、機械の力を借りたらどうかとコメントを頂いた。それは、フィットネスクラブ、スポーツジム、健康センターなどで使われている筋トレ用の機械を利用して腹囲を減らす作戦である。これまで、筋トレ用機械のメカニズムには興味はあったが、筋トレ・マシンは使ったことはない。今思い出すと、一昨年、Jimmyさんというハワイ大学をリタイヤした先生とハワイで知り合いになった。その先生が在籍していた研究室に設置してある身障者の健康増進のために開発したというトレーニングマシンを見学させてくれた。それに座ったことがある程度で、それ以外トレーニングマシンには縁がない。
 
 入間市には健康福祉センターがる。そこにはフィットネスクラブやスポーツジムにあるような筋トレ・マシンが沢山設置されてあり、多くの市民が利用している。問い合わせたところ、狭心症の既往症があるため直ぐには機械を使わせてもらえず、まずは医師の診断書を提出するように言われた。診断書を書いてもらうため、主治医のところに行くと、トレッドミルに乗り、心電図を測る。その検査結果を見て主治医は診断書を作成してくれた。この診断書を提出したところ、健康福祉センターの指導員が、センター内に設置されてある筋トレ・マシンの説明、準備体操のやりかた、機械の扱い方などを親切に教えてくれた。
 
 この説明を受けた翌日から、自由に健康福祉センターを利用出来るようになり、はや2ヶ月が過ぎた。妻Makikoもメタボ傾向なので、一週間ほど遅れて一緒にセンターへ行くようになった。この施設は有料、一回の利用は65歳以上で200円、回数券11回で2,000円、1か月定期券で3,000円、3ヶ月で4,000円である。機械になじめないで止める人もいるようだから、最初は1回200円ごとに利用券を求めて入場したらどうかとコメントを受けた。最初の1、2回は、その都度200円で入場した。直ぐに機械になじめそうだし、汗を流す心地よさを実感出来たので、その後直ぐに1ヶ月の定期券を、そして今では3ヶ月の定期券を求め、センターに通っている。
 
 最初に始めた時は、指導員から準備体操、基本的な「自転車エルゴメーター(ergometer)」、動くベルト上を歩く「トレッドミル(treadmill)」の扱い方を教わった。その他にもあまり聞いたことがない「ローロー(row -row)漕ぐような動作で背中を総合的に鍛える」「アブドミナルクランチ(前屈し腹部を鍛える)」「レッグプレス(スクワット(squat)のように腰と脚部を鍛える)」「アブダクター(両脚を開き股関節周辺部やお尻の横の筋肉(外転筋)を鍛える)」「アダクター(両脚を閉じ股関節周辺部やお尻の横の筋肉(内転筋)を鍛える)」という難しい名前の機械を扱う指導を受けた後、それらの機械に挑戦した。上記した筋トレ・マシンはカタカナと横文字で書かれてあるので何を意味するのかわからない。そこで、マシンに書かれてある名称を調べたところ、ここに示した図の機械であることが分かった。ここで、アブドミナル(abdominal)は腹部、アブダクター(abductor)は外転筋、アダクター(adductor)は内転筋という意味がある。このことから、筋トレ・マシンの一部は筋肉名を使い命名されたと思われる。
 
 入間市健康福祉センターへ通うようになり、上記した機械を使い無理のない範囲でトレーニングを平均週4回行っている。センターは朝9時から午後10時(日曜日は午後5時)まで休みなしで利用できるので、時間の許す限りで出かけるようにしている。午前中は込むと聞いていたので、午後早く、夕方、夜間と出かける時間帯を変え、空いている時間帯を探った。その結果、夕食を済ませて1時間ほど間をあけ、午後8時ごろ出かけると比較的空いていることが明らかになった。この時間帯で1時間半ほど汗を流すのが我々夫婦にとって適切かと思い、夕食後1時間ほど経ったこの時間帯に健康福祉センターへ出かける習慣になった。運動を済ませ、自宅に戻りシャワーを浴びて寝ると、直ぐに深い眠りに入れる。
 
 まだ、出てきたお腹を凹ます成果は顕著に現れない。実感として分かってきたのは、「良く寝られるようになった」、「和室の畳みやフローリングで座った状態からの立ち上がりが楽になった」、「就寝後のトイレ回数が減った」、「階段の上り下りが楽になった」、「足の爪切り時に前屈することが楽になった」などが挙げられる。今のところ血圧、心拍数は良好で、腹囲と体重に目に見える変化はないが、心持ち減ったような気はする。指導員によると、もう少し汗を流すことを続けると腹囲や体重減少の効果が現れるという。もうしばらくこの調子で頑張る予定である。【2017年8月16日】
 
平成29年8月17日(木) 自宅にて記す
 







2017/08/11 19:54:33|思いつくままに
「お値打ちランチを食べる会」と葛飾北斎画 富嶽三十六景
  ロングステェイクラブには通称「ランチ会」、正式には「お値打ちランチを食べる会」という同好会がある。お値打ちで毎月一回、ランチを楽しみましょうということで、この「ランチ会」が始まり、何と52回もの多くの会を迎えた。その52回目の「ランチ会」は、8月10日(木)東京墨田区両国にある江戸東京博物館から徒歩1分という近くの路地裏にある江戸蕎麦「ほそ川」で行われた。このそば屋は、ミシェラン1つ星獲得の人気のお蕎麦屋さんである。開店は11時45分、15分早くに着いたが、もうすでにLSCの仲間と個人客が玄関入り口の椅子にかけ大勢待っている。
 開店近くになると道路には行列ができはじめている。中に入るとそんなに広くなく、古風な感じで薄暗く、日本蕎麦を食べるのにはとてもいいムードである。蕎麦としては少々お高いと思ったが十割蕎麦の穴子天せいろ(2,650円)を注文した。腰があって美味しい。蕎麦湯がこれまで飲んだことのないどろっとした感じでとても美味しい。蕎麦の量を沢山あるような演出なのか、蕎麦を載せるザルが山型になっていて、大盛り蕎麦が出てきたと勘違いする。

 店内から窓越しに外を見ると長い行列が出来ている。ゆっくり食事ができない雰囲気なので、食べ終わると直ぐに会計を済ませて外に出る。あらかじめ幹事さんから、歩いて数分のところに「すみだ北斎美術館」があるので葛飾北斎画を観賞したらどうかと美術館までの地図コピーを配布していただいていた。一般入場は400円、65歳以上のシニア料金は300円、ところが今は特別企画「富嶽三十六景(Thirty-six Views of Mount Fuji)」が開催中(8月20日まで)で、シニア900円である。子供の頃、教科書で何枚かの葛飾北斉の絵は、目にした程度である。

 今回のように大量の素晴らしい絵を直に観たのは初めてである。調べたところ、物のない時代に葛飾北斎は生涯に3万点もの作品を遺したというから、見事で、素晴らしく、すごい作品であるとの一言である。特に今日観た富嶽三十六景は、歩くしか移動の手段のない江戸時代に、静岡、神奈川、東京、埼玉と富士山が見える各場所で富士山を描いた作品を沢山観賞出来た。絵のなかには富士山だけでなく、江戸庶民の生活様式の一端がうかがえ、観ていて飽きない。美味しいランチを食べ、見事な富士の絵を観賞できた、楽しい一日であった。今回も企画していただいた「ランチ会」幹事の皆さんに感謝する。【2017年8月10日】
 
平成29年8月11日(金) 自宅にて記す
 







2017/07/24 10:42:31|研究・教育の思い出
腰部の大きな力が体感できる「力のモーメント体感モデル」
 前傾姿勢で重い物を持ち上げると腰には大きな力がかかるので、このような姿勢で行う重量物持ちあげは腰痛を起こしやすい。このことはよく知られているが、なぜ、大きな力が腰にかかるのかの説明はあまり聞かない。生身の人間体内にある筋肉が発揮する力は測定出来ないので、その力の大きさはわからない。ところが図に示すような装置を使うなら、腰を中心に上体を曲げたときには大きな力がかかるということの理屈を推測、体感できる。その推測は、力のモーメントの原理を利用すると理解できる。
 図左上の写真は、腰部を想定した試作モデル(「力のモーメント体感モデル」)で、この写真以外は試作2号のモデルである。図に見える木製円盤には、紐の先端を固定してあり、紐の他端を引くと円盤は回転するようになっている。その円盤には人の上体を模した竹の30センチ物差しが固定されてあるので、円盤が回ると物差しは上方に向かって上がる。
 竹製物差しは、人の上体(胴体部)を模している。この物差しに薄くて細長い鉄の板が貼り付けてある。この鉄板に直方体の磁石を吸い付けることが出来、その位置を変えることが出来る。磁石は、負荷(120g)であって、この磁石は人が持ち上げる重量物を想定した負荷である。なぜ負荷として磁石を使ったかというと、磁石は鉄板の長さ方向に容易に移動出来るからである。この磁石の位置を物差し先端に移動すると、木製円盤に取り付けた紐を強い力で引かないと、物差しは持ちあがらない。このように、磁石を物差し先端位置に移して持ち上げる場合の力(紐力大)と、木製円盤に近い位置に磁石を移動させて紐を引いた場合の力(紐力小)では、力の違いがかなりあることが体感出来る。
 
 腰を曲げ本を入れたダンボール箱をうっかり持ち上げると腰痛を起こすことがある。こうした姿勢での持ちあげは、腰痛発症の原因のひとつである。看護現場では、ベッド上の重い患者がベッドの壁側に移動していた場合、その患者の位置を直してあげようと持ち上げた場合に腰痛を起こすことがある。つまり、看護師が上体を前傾させて、手を伸ばして重い患者を持ち上げる姿勢が腰痛発症の原因のひとつである。重い物体は身体に近づけてから持ち上げるというボディメカニクスの教えがある。開発した図のモデルは、この教えを体感できるモデルである。使い方としては、垂直な棒を左手で持ち、右手で紐を下方に引く。すると、人の上体を模した竹製の物差しが持ちあがる。このときの紐の力は、負荷である磁石の位置によって大きく変わることが体感出来る。負荷である磁石が物差しの先端に近いほど大きな力を紐に加えないと、物差しは持ちあがらない。看護動作に置き換えると、看護師が前傾姿勢で手を差し伸べ、ベッド上の重い患者(あるいは物体)を持ち上げようとする場合に腰に大きな負担がかかるということがこの「力のモーメント体感モデル」を使うと理解出来る。
 以上は、負荷の重量が変わらず、位置だけを換えた場合の力の差違である。ところが、負荷の重量を換えても当たり前だが、紐の力は大きく変わる。重い負荷を物差し先端に移動させて引く紐の力は非常に大きい。このことを力のモーメント(回そうとする能力)で表現すると(重量)×(腕の長さ)となる。この式から、持ち上げる負荷の重量が重くても、腕の長さ(木製円盤中心位置から負荷の位置までの距離)が長くても力のモーメントは大きいので、その大きな力のモーメントにつり合わせるための紐の力は大きくなることが分かる。

 このモデルは看護専門学校の講義の補助教材として試作した。学生全員に試しもらう時間はない。代表者数人に試してもらうと、試した学生全員が前傾姿勢で手を伸ばして物を持つとどのような筋力が腰に作用するかが推測でき、理解してもらえた。【2017年4月1日】
 
平成29年7月24日(月) 自宅にて記す