最近の単車に装備されるものの一つに,ギアポジションインディケータがある。新種の装備には単車を使い易くするものもあるが,邪魔なものもある。ギアポジションインディケータは,その一つだ。
あっても良いだろうという意見があるが,余計な情報はライディングを邪魔する。走行中どのギアに入っていても,欲しいスロットルレスポンスや巡行に適した回転数を維持するために,実用車のレシプロエンジンならインディケータよりも体感の方が直接的かつ瞬時に判断できるからだ。それなのに,装備が歓迎されている現状は,単車の危機のような気がする。
またインディケータなど無くても,現在どのギアに入っているか,ほぼ間違いなく把握できる。XR600RやDT1にはニュートラルライトすら無かったが,全く問題ないばかりか,誤指示の可能性があるものは,無い方が良い。
ギアポジションインディケータを見て次の操作を行うことより,これから進む道路の傾斜や前方の車の挙動を見て,同じ速度でもギアを下げようとかホールドしようとか判断することの方が,より重要だ。
MTがATよりも優れているのは,事前に状況の変化を把握し,どのような操作を行うべきか判断して次の操作を決定できる点だ。例えば登り坂にさしかかる時,MTなら事前にシフトダウンするだろうが,ATは登り坂を登り始めてからローギアードになる。結果として遅れた動作となる。だから私は,PCXで登り坂にさしかかる場合は,事前に若干速度を上げる。
単車に使われている一般的なトランスミッションは,例えばカブのような遠心クラッチでも,ギアを切り替えるのはライダーだ。AT免許で乗れるからオートマという訳ではない。同じ免許で乗れるカブとPCXの大きな違いだ。
ところでDCTのようなトランスミッションにおいては,ギアポジションインディケータを否定するものではない。ギア選択は機械任せだからだ。
例えば濡れた道路でペイント上を旋回しながら通過する場面において,ギアポジションによってスロットルコントロールを変えるべきだからだ。ぬかるんだ地道でも同様で,濡れていなくてもそれは意識すべきではあるが,濡れている場面では限界に達しやすい。スクーターであれば,スロットルを開けることによりローギアードに変化し,したがってMT以上に駆動力増加率が大きい。
先にXR600RやDT1の例を述べたが,両車で欲しいと思ったのはウインカーのインディケータだ。まあ初期のDT1にはウインカーが装備されていなかったし,XR600Rも後付けだから,インディケータが無いのだろうが。
このように体感で把握するものではないことに関するインディケータは,人間が忘れやすい動物である以上,公道で使うにはある方が良い。
2024.10.7(月) |