日本の刑法(明治40年法律第第45号)は実に不思議な法律だ。不思議なのは刑法というよりも,裁判制度に関することかもしれない。
それは例えば,殺人を犯した犯人が,大抵は死刑にならないといった点にある。具体的に,令和元年版犯罪白書によれば,平成30年における殺人罪に関わる地方裁判所の死刑判決は,1%以下だった。
そもそも,検察官からの求刑そのものが死刑未満の例が多い。それは判例から妥当と思われる刑を割り出している面もあるのだろう。
被害者の家族にとってみれば,死刑は最低限の措置だろう。刑法は,私刑を行わずに国が罰を与えるという面がある。法治国家故だ。
しかし判決確定から半年が過ぎても刑が執行されない例が多々ある。これでは法治国家とはいえはい。『眼には眼』が法制上行われないとしたら,私刑に走る者が出てきてもおかしくない。
2025.6.15(日)
PS 今年6月1日,刑法の懲役と禁固を廃止し,代わりに拘禁刑が創設された。理由は種々あるようだが,その一つが再犯の抑制にあるらしい。まあ比較的軽い罪なら,それも適用できる面があるだろう。しかし,再犯率が高いのはそんなところに理由があるとは思えない。 |