シネマ日乗

入間アイポットのユナイテッド・シネマ入間で観た映画の感想が中心になります(多分)。 ネタバレになってしまう可能性も・・・・・・。 その辺、ご留意ください。
 
2018/08/01 22:24:01|映画 さ行
空飛ぶタイヤ
 長瀬君の奥さんが深キョンかあ〜〜、と妙に注目してしまったわけですが。

 池井戸潤原作の映画化。以前は同じ作品をWOWOWで連ドラにしてました。映画となると、色々はしょらなくちゃならない所も出てくるだろうし、どういう風にするんかなあと思ってたんですけど、うまくコンパクトにまとまって、きっちりサスペンスもあるし、感心しました。

 で、思い出すのは。この話は実話が元。三菱自動車の不祥事が元ネタ。三菱自動車といえば、色々ありましたわ、確かに。
 自分が最初に乗ってた車は三菱のRVRだったのだが、最初のリコール隠しの後、お詫びに、ということで全車点検します、ってハガキが来た。へえそうかと思って点検してもらったら、不備が出るわ出るわ、エンジンオイルが漏れてる、というのにはビックリした。で、いつも車検とかをお願いしている自動車屋さんに確かめてもらったら、全然そんなことないという。直すには10万以上って、見積出されたんだよ〜〜、と言ったら「そりゃ金儲けじゃないですか?」だって。
 しばらくして、車買い替えようと思って、また車屋さんに相談したら「三菱だけはやめてくれ。責任持てない」と言われてねえ。このタイヤ事件が起きた直後だったんだけど。そりゃ車屋さんにしたらたまったもんじゃないよね、自分とこのミスを末端に押し付けるなんてさ。

 三菱は、リコール隠しのせいで、日本中の整備屋さんからそっぽ向かれたんだよ。そういう信頼失墜は、延々と響く。今も響いてるんじゃないかな。少なくとも、自分は三菱の車を買うことはない、と思う。

 池井戸作品には、色々言いたいこともあるんですけどね・・・・・。なんとなく昭和っぽい設定とか。家庭での男女の役割分担的な奴、やめたほうがいいと思いますよ。

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2018/07/31 11:39:00|映画 は行
パンク侍 斬られて候
 この映画、原作があるとのこと、どんなんだ?と思ったら、町田康さんだそうで。深く納得してしまいました。だよねえ、でなきゃこんなハチャメチャ映画にならないよなあ。ちなみに、脚本はクドカンです。

 映画館で観てよかったなあと思うのは、TVとかで観たら、途中で観るのやめちゃいそうだから。別につまらない、というわけじゃないんですけど、何かを訴えようとかいう野心のない映画だから。役者さんたちがハイテンションでなんかやってる、のをひたすら見せられました。。。。

 観てて図らずも感じさせられた事は、オウム真理教について。今月死刑囚の死刑が執行されて、被害者の方等々、やっと。。と思われたんじゃないかと思う。で、周りで「いまだ真相が解明されてない」とかバカなことを言ってる連中がいますわね。そう言う人に、この映画を観てもらいたい。多分、ぜーんぜん分かんないだろうと思う。つまりまあ、事件の真相が分かんないと言う人=理解する能力がない人物、ということ。受け取る側の問題が指摘されてないのはおかしい。そういう踏み絵になりそうな映画だな・・・・。

 あと、この映画は、いわゆる「映画的な表現」をとことこんコケにしてる感があります。そういう意味で、あくが強い。

 日本の名だたる役者さんたちが集結して意味なく大騒ぎ、を撮影中延々とやっとったのかあ、という所が一番面白かったです。あれを維持し続けるのは並大抵じゃない。撮影現場はどうだったんでしょうね?

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P.S この映画には、文化庁が助成金を出しているようです。なかなかやるなあ〜〜。センスを感じるぞ。







2018/07/22 22:29:00|映画 た行
ダンガル きっと、つよくなる
 観る前は、インド版「巨人の星」か「エースをねらえ」かね、とかなり警戒してたんですが。いやどうしてどうして、全然違う映画でした。アイポットで観れてよかったです。

 筋立て自体は、確かに「巨人の星」風なんですよ。お父さんはかつてレスリングで相当なところまで行った実力者なんだけど、ぜひ、国際レベルの試合で金メダルが欲しい、でも自分はうまくいかなかった(経済的な理由だったけど。カネがないとスポーツって続けられないのね)ので、じゃあ、自分の子供を、となる。で、息子にレスリングを教えようと思うんだけど、肝心の息子が生まれない。生まれるのは娘ばかり、で、諦めかけてたんだけど、自分の娘が男の子を殴り倒してケンカに勝つ、というのを目の当たりにする。じゃあ、娘を鍛えて夢を実現しようじゃないか、娘二人は当然、何でこんな目に合わにゃならんのか?ということで、色々反抗もするのだけど、ある時、彼女たちの気持ちに、劇的転換が現れて、スイッチが入る。これが、この映画の大きな価値になっています。

 これねえ、今の日本でもはっきりあるわけだけど、女がなにかすりゃ、男どもに小馬鹿にされた挙句、女はおとなしくしてりゃいいんだ、となるでしょ。いくら安倍さんが「女性が輝く」とかなんとか言ったってさ、自民党オヤジの頭ん中は結局「女は黙って子供産んでろ」ってなもんで、この認識がなにかというとポロポロはみ出してくるじゃないですか。こういう認識って、どの国でも同じで、それを外からやいのやいの言ったって、なーんも変わらん。内側からのうねりがないと。そのうねりを現した映画なんです。

 レスリングの試合のシーンが臨場感凄くて。思わず身を乗り出して見てしまいました。分かりにくい競技だと思ってたんだけど、ああ、成程、と見る側が理解しつつ思わず応援してしまう。ライヴ感が半端ないです。

 で、アホなコーチが出てきます。あー日本にもいましたねえ、アホコーチ。「よく俺の前でレスリングができるな」とかなんとか、言った相手が伊調さんだったから表沙汰になったけど。普通の選手だったら、黙殺でしょ。この映画、日本レスリング協会が後援してますけど、へえ〜〜。図々しい、とつい思っちゃうんだよなあ。まあ、後援するということは、もっとまともに選手をサポートします、ってことでしょうけど。

 人に物を教えるとき、とりあえず感じてるのは、それまでその人がやってきたことに敬意を払うべきでしょ、という事。全否定はサイテーです。以前、ある書道家の方(ちなみに女性)が、言っておられたのは「あちこちの流派に行くたびに、今までのことを全部否定されて最初からやり直させられる。バカバカしくなって、自分で立ち上げることにした」って。そりゃそうですよ。でも、これができるのは、自分に自信があって、適切なサポートを受けている人間だけ。「エースをねらえ」は自分に自信が全く持てない人間がコーチにべったり依存する話だし、「巨人の星」では、親が子供にやきもちを焼く、で、そうと分からないようにいじめるし。どっちも、ひたすら気味悪い。日本でも、そろそろ、どういうのが適切な「指導」や「サポート」なのか、考えてもらわないと。

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P.S この映画、さすがインド映画だけあって、歌が随所に挟みこまれてて、これがなかなかナイス!娘さんの歌が面白いです。







2018/07/15 22:30:00|映画 あ行
女と男の観覧車
 ウディ・アレンの映画をアイポットで観れるとは〜〜。と、ワクワクしつつ。

 人って誰しもいたわってもらいたい、大事にされたい、って思うじゃない、けど、人をいたわったり、大事にする、って、余裕がないとできない。そういう人達のお話です。ケイト・ウインスレットさんを観るのは久しぶりなんですが、非常に厄介な中年女で、なんかこう、女の嫌なとこをてんこ盛りに見せられた気分。あーあ。

 この映画は、ライティングや色彩設計がうまいです。最初、日に焼けた風の赤っぽい絵で、そういうレトロ風にするのは映画の時制が1950年代だから。それが時に青白くなったり、冷たい色調になったり、そうやって、登場人物の機微を見せるわけですね。ウディ・アレン、やっぱ監督として超一流だと思う。好きにはなれない映画だったけど。登場人物が絞られているので、この話は舞台向きかも知れません。

 うーん、ウディ・アレンさん、かつてミア・ファローと別れちゃって、他の子とくっついたじゃん、すごい年齢差でしたよねえ。もしかして、結婚生活、うまくいってないの?と、つい心配になってしまいました。そういう話だからさ。だーれも救われないラスト。それでいいの?

 公式サイトでアレンの映画、何が好き?という投票をやっていたようです。私が好きなのは、なんったって「世界中がアイ・ラブ・ユー」ですよ〜〜。幸せな映画だったなー。で、その映画で出てきた「ボラボラ島」、この映画でも出てくるし。ボラボラ島ってそんなにいい場所なの?分から〜ん。

公式サイト  

P.S  個人的には、ケイト・ウインスレットさんよりか、ハンプティ役のジム・ベルーシにビックリしました。ええ〜〜!!という変貌ぶり。。。。「K9」とか好きだったからさあ。ただ、ウディ・アレン映画に出演=役者としての進展を感じます。ハンプティさんはかなり難しい役だと思うので。







2018/07/11 18:59:00|映画 は行
羊と鋼の森
 この映画は、音楽をやってるかどうかで、感想が全然変わっちゃうと思う。音楽映画の難しさというか、やりにくさですね。

 自分はヴァイオリン弾きで、ピアノはそれなりに知ってるけども、この楽器は扱いが難しい。ヴァイオリンやギターは持って歩けますけど、ピアノはほぼ無理、ので、プロのピアノ弾きの人に要求される能力っていうのは、ずばり「対応力」なんですよね。

 作曲家でピアニストでもある、林光さんがかつておっしゃっておられていたのだが、例えばヴァイオリンリサイタルで、ヴァイオリニストが凄い楽器を使っていてもピアノはしょうもないレベルの楽器、というのはしょっちゅうある事で(公民館や学校、あるいはコンサート会場の楽器ですら、手入れがなってないことが多いんですよ)、でも、アンサンブルを成り立たせなくちゃならない、のがプロには要求される、という。これはよく分かる。ヴァイオリンのリサイタルはほぼピアノとの共演になるから。これねえ、ヴァイオリンだけの曲がほぼないからしょうがないんですが、ピアノとヴァイオリンの音ってなかなか合わないんですよ。なぜなら、ピアノは平均律でヴァイオリンはほぼ純正調楽器だから。その辺が語られるのかなと思ったら、完全にスルーだったなー。

 平均律で調律するとなると、例えば、弾き手がよく弾く曲の傾向とかに合わせて調律したりする場合も多い。ドビュッシーとバッハだったら、もう、同じ調律ではダメだ。ドビュッシーの曲には、独自の音階が使われている、一方、バッハはまさに平均律の発明者。かみ合わないのは当たり前で。それを1台の楽器でどう寄せて調律するのか、というような話が出てくるかと思ったのだが。

 姉妹のピアニストのエピソードでは、二人の弾く曲の傾向が全く違うし、その手の話になるのかなあと思ったら、音の質がどうこう、という話になっちゃって。ちょっと違うと思うんだけど。かように、自分の考える話の方向性と映画がずれるので、困りました。

 ということで、主人公のお兄ちゃんが、自分が担当してたピアニストがコンクールで弾けなくなったのをきっかけに全然弾くことができなくなった、のを、自分のせいだってピイピイ言うシーン、深刻なシーンだろうけど自分は笑っちゃった。あのさー、調律師なんぞができることなんか、高が知れてるっての。どんな楽器でも弾けなくちゃ、ピアニストとしてやっていけないんだから。大体、コンクールで使う楽器と、普段の練習楽器は全然違うわけで。じゃあ、調律師は、音楽のどこに、どこまでかかわれるのか?

 音楽って極めて人工的なもので、なのに、人ができることが結構限られているんです。ヴァイオリンだと、ストラドを頂点とした「いい楽器」。金さえ出せば、いい楽器なんかすぐ手に入る。けど、その楽器の性能を引き出せるのかは、弾き手次第。ピアノはより複雑ですけど。造りが精巧なので。

 ので、調律師に要求されるのは、結局、コミュニケーション能力かなあと。お客様のニーズやイメージを掘り出して、その通りの音をつくる。大半の弾き手は、そんなイメージなんかないんだけどね。その辺、この映画ではどう描かれてたかというと、あまりぱっとしなかったけど。主人公のお兄ちゃん、観ていて、あーこういうタイプがオウムとかにはまるんだよなあ、と。マジメはいいいけど視野が狭くて。その人の祖母役の吉行和子さん、一言もセリフはないんだけど、印象が強いです。で、この映画は風景の絵が綺麗です。北海道が舞台なんだけど、四季の一番いいシーンを撮ってます。そのくらいかなあ、やっぱり、音楽やってるから、厳しくなっちゃいますね、どうしても。

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