シネマ日乗

入間アイポットのユナイテッド・シネマ入間で観た映画の感想が中心になります(多分)。 ネタバレになってしまう可能性も・・・・・・。 その辺、ご留意ください。
 
2024/12/18 22:04:19|その他
光る君へ
 このドラマが終わっちゃって、まだ呆然としてます・・・・・・。1年間、凄いものを見せられてた‥、という感じ。

 ちっとも平安じゃない平安時代、と観つつ感じたわけですが、一応源氏物語は読んでいるので、出てくるエピソードに「あ、それそれ!」となる事も多くて。一方、「枕草子」の有名な「香炉峰の雪」等々、これ、古文の授業で習ったよなあ、というのを映像で見せてもらう、ってかなり贅沢だったかも。

 源氏物語については、色々な見方・読み方があると思うのだけど、自分的にはどちらかというと「直木賞」系のお話で、読んでていて興味深いのは、衣食住の心配0の源氏さんなんだけど、しょっちゅう「出家したい〜〜=死にたい」って言ってる。あー日本人て衣食足りて鬱病になるんか、と思ったり。あと、宗教観。1000年前から、日本人の宗教観っていい加減だよなあ、と。出てくる宗教はおおむね仏教と神道っぽい奴(伊勢神宮の斎宮とか)で、仏教がどうもはるかに格上の扱い(出家しちゃった女君には、源氏さんは一切手が出せてないんですよね。斎宮にはそうでもないくせに)なんだけど、重要な神様として、「住吉の神」ってのが出てくる。読んだときは「?」となったもんです。明石の僧都=仏教に帰依している筈の人物が住吉の神なんて土着の変な神様の言う事を聞いちゃうってどゆこと?キリスト教だったら、それこそ「異教だ、サタンだあ〜〜!」ってなりそうなもんなのに。

 という事で、自分は「鬱病小説&宗教観小説」として読んだけど、まあ、色んな読み方ができる、多面性がすごい。そういうお話を1000年前にどうやって書いたのか?というのをフィクションをうまく入れて描く、ドラマに出てくる人物が、みんな魅力があって生々しい、楽しかった〜〜。

 で、「望月の歌」ですが。どうすんだろ?と思ったら、「小右記」に書かれてる状況をそのまま映像化して描いてくれてたので、あー成程、この歌について「だから道長は傲慢不遜な奴」っていうの、「切り取り」の極致じゃないか、と。今もしょっちゅうありますよね、言った事の一部をあげつらって的外れの非難ゴーゴ−って奴。それを1000年もやられてた、道長さんもお気の毒だと思う。「この世」って、多分「この夜」だと思うです、あのシチュエーションだったら。実資さんが書いた記録、別に道長さんが校正したわけでもないしね。

 美術・音楽も秀逸。オープニングは、まんまラフマニノフだなあと思ったのだけど、他の劇中曲も「これはサティ、これはラヴェル、あーこれはロックっぽいよなあ」って楽しくて。

 最終回は、泣かされましたね・・・・・・。
 







2024/12/04 23:18:01|映画 あ行
アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師
 面白かったですねえ〜〜〜〜。

 お話のテイストがちょっと日本離れしている、と思ったら、原作は韓国ドラマだそう。それを、内野聖陽さんをはじめとした芸達者な役者陣がめっちゃスリリングに見せてくれます。

 要するに悪い奴を引掛ける、それに税務署の堅物役人(で、なるべく波風立たないように仕事したいと思ってる)がのせられて片棒担いじゃう、で、敵味方入乱れて大騒動〜〜〜〜。やっぱ、詐欺のお話って面白いよねえ。この映画については、ドラマよりも多分話がすいすい進んで、大団円まで、というテンポ感が気持ちいい。

 名作「スティング」に対するオマージュ的なシーンもあって、見てて楽しくてしょうがなかった。
 それにしても内野聖陽さん、気弱な税務署員かと思ったら葛飾北斎だったり、なんか、スゴイですよ・・・・・・。何やっても違和感ないって、オドロキ!!なんですが、そういう役のつくり方がなぜか描かれてるシーンもあって、それも楽しかったわあ。

公式サイト







2024/11/27 23:06:06|映画 やらわ行
レッド・ワン
 毎年クリスマスイブの時期って、アメリカ空軍(多分)が、「今夜のサンタのそりはこの辺を走ってますから、航空機は注意!」なるサンタトラッキングをやってますね。なんでも、先頭のトナカイの赤鼻をトラックしてるんだとか。それがモチーフになってるお話です。

 そのサンタさんが誘拐されちゃって、クリスマスイブまでに救出してプレゼントを配らにゃ、ということで、大騒動になります。ドウェイン・ジョンソンさんって、そっかー、実はサンタの近衛隊長だったんか〜〜、だから「スカイスクレーパー」でとんでもアクションとかができたんだなあ。

 で、この映画を観て、サンタさんがどうやって、各家庭にプレゼントを配っているのか、が分かってよかったです。ハハ〜〜〜、こういう方法かあ、知らんかった〜〜。確かに、これなら可能だと思う。でも、かなり体力使いそう・・・ということで、訓練怠りないってあたりも面白かったですね。

 あと、ルーシー・リューさんのアクションが久しぶりに見れてよかったわあ。キレキレ!!かなり荒っぽいクリスマス、楽しめる作品と思います。

公式サイト

P.S 最初のシーンは懐かしの「34丁目の奇蹟」のシーンを思わせます。「34丁目の奇蹟」は本当にいい映画で大好きなんだ〜〜。







2024/11/20 23:38:17|映画 さ行
十一人の賊軍
 なんか、疲れる映画だったな・・・・・。

 戦争やってる国があります。どちらにつきますか?これを間違えると大変なことになっちゃう、のは、先の世界大戦で明らかですよね。この件でギリギリの選択を迫られた中央の人が、末端を使い捨てにしてなんとかならんか、その捨て駒にされた連中はしかし、一筋縄ではいかない犯罪者集団という事で、どうなるでしょうか?

 石油がキーの一つで、確かに、新潟では今でも石油を細々と採掘している所があります。住宅街のど真ん中、という場所にはビックリですけど。

 原案者が「仁義なき戦い」をつくった方&「孤狼の血」を撮った監督さんという事で、自分的には全くタイプじゃない映画だったんですが、やっぱり疲れたなあ・・・・。

 観ていて思うに「七人の侍」ってどうやって撮影したんだろ?当時はフィルムだから、現像するまではどんな絵になってるか全然分からないんですもんね。改めて黒沢映画の凄さが見えてくる感じでした。

公式サイト







2024/11/06 18:47:00|映画 は行
八犬伝

 「仁義礼智忠信孝悌」の八文字をぱっと言える人は、NHKの「新八犬伝」なる人形劇を見まくってた人。この人形劇は当時相当な人気だった、筈なんですが、当時は子供の年齢が1つ違うともう、見損ねる、というのが普通にあって(多分そう)、ビデオもないし、再放送されたかも覚えがない。登場人物も数多いこの人形劇がヒットした理由は、多分かなり分かりやすい勧善懲悪ものだった、人形劇ならではのスペクタクル表現が可能だった、悪役がしっかりしてた、それをナレーションで盛り上げてた(玉梓が怨霊〜〜、とか、さもしい浪人網乾左母二郎〜〜、とか)だったんじゃないかと思う。

 そもそも原作はものすごい大長編、それをコンパクトにまとめつつ、実際の滝沢馬琴&葛飾北斎、というビッグネームが語り合う「実」の部分を描いて、ってどうなるかと思ったんですが、めっちゃよかったっす!!脚本&編集&VFXのバランスが実にいい。

 VFXは、「ゴジラー1」の快挙によって、自信がついたのではないか、と思わせる迫力。実の部分については、役所広司さん&内野聖陽さんや寺島しのぶさん等の役者陣のコンビネーションが気持ちいい、一方、「虚」にあたる、八犬伝のストーリーをつくる役者陣のアクションも素晴らしい。若い役者さん達が気合を入れて演じておられるのが分かるんです。登場人物が多い&実際の活躍時間が短め(虚と実の時間はほぼ同等位だと思う)なんだけど、パパっとうまく紹介して、効果的に、原作でも大きな見せ場になっているアクションを入れて、というのが巧い。編集がいいんですね。

 あと、この映画、劇中に歌舞伎の「四谷怪談」が出てきますが、金毘羅歌舞伎の演舞場で中村獅童さん達歌舞伎役者さんが実際に演じておられてて、リアリティーが半端ない。「私の幸せな結婚」でも思ったんですが、最近こういう風に、実際の歴史的な建物での撮影が可能になって、映画自体の格が上がる、ことが増えてきて、嬉しい事です。

 という事で、映画館で観て損なし!の名作と思います。


公式サイト