原題は「Sorry we missed you」。これ、実は宅配便の不在連絡票の文言なんです。先の見えないお話で、あーこりゃ現代の「自転車泥棒」だなあ、と思いつつ観てました。「自転車泥棒」が指摘した問題が、ちっとも解決できていないって、どういう事なんでしょうかねえ?
かつて江戸時代「百姓は生かさず殺さず」なんて言ったとか言わなかったとか。今はさしずめ「平民は生かさず殺さず」ってなもんでしょうか。そういうアリ地獄にはまってしまった家族の話です。日本でいえばリーマンショックか。そいう事件があって家も金もなくしちゃった家族がいます。とにかく金を稼がないと、でも、そういう仕事は長時間労働で、実入りは結局少なく、自分の身の安全の保障もない、せめて仕事のポリシーは守りたい、でも、そうすると家族にしわ寄せがいっちゃう。
よくあるパターンですが、仕事がゲロきつなのに、このうちの息子さんがあれこれトラブルを起こして、親を振り回します。根本にあるのは絶望。息子が父親に「大学出たからって、まともな仕事なんかないじゃないか」と言う、のは正しい、と思っちゃうんです。
姪っ子が就職した、会社が1つはなんとかファイナンス、一つはなんとかリース、要は金や物を転がす仕事で、そんな仕事、大学出てまでやるもんかい?と思っちゃってねえ。金貸しなんざ、ヤクザだってできるわけで、別に学歴なんか不要でしょうが、と。就活なるものの話も聞いてぶったまげ。200社もエントリーしたって、どういうことなんだ?
仕事って結局何なんだ?で、人にここまで金というプレッシャーをよこす「家族」という組織ってなんなんだ?この映画はテーマも広いんですが、お母さんがやってる「介護士」の仕事の対象になっている人達はちっとも楽しくなさそうで。先進国が手に入れた「長命」が拷問みたいになっている、この現実。なにか、色々とち狂ってる、としか思えない。
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