高校生の時は、受験科目には日本史を選択した。英語系の名前が全く覚えられない、という「西洋語苦手症」が原因だったわけだが。なのに、この映画を観て、日本史というけど、近・現代史を自分は全然知らないのか!!と、かなりショックを受けている。終戦間際、事実上のクーデター未遂がなんと6回もあったとは!!クーデターを企てた、その狙いは「玉音放送」とは!この放送、ずうっと、天皇陛下が肉声でしゃべったものだとばかり思っていたのだが、違うんですね。予めレコードに吹き込んで、当日、それを流した。そのレコードを奪ってしまえば、終戦はチャラになる、かつ、再録音できなくなるようにする、には、本人をどうにかするしかない。これを実行しようとした輩がいたわけだ。
それを知っただけでも、この映画を観る価値は充分過ぎる位あったと思う。こういうの、NHKがスペシャルで放送してもいいような内容に思うんだけど。確か、玉音放送自体については特集があったように記憶しているが。
そうした事実を丹念に掘り起こした映画が邦画ではない、というのはどういう事なのか、と。尤も、邦画じゃないから作れたのかもしれない。大変有り難かったのは、脚本の立場が極めて公正であったこと。日本がやったこと、アメリカがやったこと、一つ一つがきちんと描かれている。マッカーサーをはじめとする面々、それぞれの立場もどっちかに傾くことがない。
にしても、結局「正義」なんかないですよね、戦争って。実にバカバカしい行いだという事がよく分かる。人も物も消耗のかぎりを尽くして、結局何も残らない。で、未だに後始末に追われている。多分勝っていても同じだったんじゃないかな。そういうのも含めると、戦争ってなんの国益ももたらさないでしょうね。いい加減、煽るのやめたら?とゴチャゴチャ言ってる連中に言いたい。
そんなわけで、戦争についても改めて色々考えたのだが、天皇制についてもあれこれ考えている。先の地震の時、陛下の出されたビデオレターには凄く感銘を受けたものだが(まだ、覚えているくらいなので)、同時に感じたのは、政治的な軋轢なく権威のみという立場の人がいてくれると、こう言っては失礼極まるが、便利だなあ、と。アメリカだったら、大統領が災害地に行っても、必ず「こういう狙いがあると見られる」とかなんとか、茶々が入るでしょ。そういう事が全くない方がいらっしゃる、というのは、国民としては、なんか凄く有り難い事なんじゃないか。
この映画を観ていて、天皇制を大切に存続させていくのなら、政治から切り離すことは絶対条件かもしれない、と感じた。何かあった時、「国民が選んだ人物」でない人が、総責任を負う、というシステムは酷過ぎる。権威というのは権力とは全く別のシステムで働くもの。終戦後、ギリギリの交渉で一番絶妙な形に収まったんだ、と。よくまあ、この形に持ち込めたものだ、と感じ入ってしまった。とにかく色々考えさせられる。必見と思います。
公式サイトPS.自分の席の隣の空席の隣のおばはん&おっさん。ごそごそ物を持ち込んで食べてた、のはまだいいんだけどさ、ビックリしたのは、一番のクライマックスシーンでおばはんのケータイがジャンジャン鳴る、上に、ケータイ画面を覗き込むから〜〜〜〜!!!「観劇のマナー」CMを観てないのかよ、アンタ!!
アッタマに来たので、思わず手を伸ばして、「やめて下さい!!」と小声でガツンと言ったった。全く、こうしたマナー、いつも悪いのは年配者。あんた達に年金払いたくありません。