シネマ日乗

入間アイポットのユナイテッド・シネマ入間で観た映画の感想が中心になります(多分)。 ネタバレになってしまう可能性も・・・・・・。 その辺、ご留意ください。
 
2013/08/21 0:19:38|映画 やらわ行
ワールド・ウォーZ
エンドロール終了後も、しばらく立てませんでした・・・・・。ちょっと腰が抜けちゃって・・・・・・。別にホラーってわけでもないのにこの有様だから、もうね、「貞子シリーズ」なんか絶対ダメ、無理っす・・・・・・。

 一見、ブラピが主演の「バイオハザード」フェイクっぽい話のようだけど、実は違う。と自分は感じたわけですが、それはつまり、自分が医療者だからですね。ある意味非常にリアルがあるんですよ。パンデミックが起きたらどうする?パンデミックという事態は、実は既に起きている。対象が人間じゃなかったから、もうみーんな忘れてるでしょうけどね。

 宮崎の口蹄疫。感染者を皆殺しにして事態を収拾した。殺したのは獣医師。自分も呼ばれる事態になったら行くつもりでいた。大動物の先生方は、あの事態を誰もが深刻に記憶しているんじゃないかと思う。一体どうやって広がっていったのか、どうすれば感染を止められるのか、「可哀そう」なんて言葉に、マジギレしかけてたんですよ。しょっちゅう牛肉食ってるくせしてなに言ってるんだ!!!牛を殺さなくちゃ牛肉にはならんのだよ!!!

 その皆殺しの対象が人間だったら?どうしますか?という話なんです。

 この映画、ブラピが事態の収拾を図る方法を見つけるんですが、ご都合主義、という感想は浅い。人間、切羽詰まると、物凄く頭が回転して、思いがけないアイディアが出てくるもんだ。それを支えるのは、経験と観察と発想。編み出す人に特徴的なのは「よそ者・若者・バカ者」。それをブラピが体現しています。

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2013/08/19 0:22:56|映画 は行
ホワイトハウス・ダウン
 今年のアメリカ製アクション映画、やたらホワイトハウスが舞台になっているような。ついこないだも似たような映画があったような・・・・・・。確か「GIジョー」でも出てきたし、えーと確か、「バイオハザード5」のラストシーンもホワイトハウスだったような・・・・・。
 で、ローランド・エメリッヒですが。この人の映画、観るたびになーんか話が上手くいきすぎで大味だよなあ、あり得んじゃん!とか思うことばかり、今回もそうじゃないか、と大して期待もせず観たんですけど。

 思いがけず、真に迫る内容の映画だったんじゃないか、と思う。

 そうなんですよね、強固過ぎるシステムって、それが破られちゃうと、それが大いにあだになる、という事は確実にある筈で。こうなったらどうしよう?という迫力を感じました。考えてみれば今までのエメリッヒ作品って基本自然が相手で、そのせいでご都合主義でもっていかないと話が成り立たない部分は大きかったかもしれない。今回はそうじゃない、もしかするとありそうな話だ、と。
 実際、軍需産業というのはとにかく究極の使い捨て製品である所の銃器類が売れなくちゃ困る、だから、戦争やってくれないと困る、という事態は充分あり得る話。大統領が戦争やめる、と言い出す=一番困る事態になりそう。こういう事を起こそうとたくらむことはあり得る。

 8月のせいだか、どうも色々考えちゃうんですが。単純にアクション映画としても面白いと思います。とにかくホワイトハウスがメチャクチャになりまして、ぶっ壊しつつのホワイトハウス名所案内的な所もありそう。占拠する側の思惑が二転三転しつつアドバンテージを取り続ける感じもなかなか・・・・で、エメリッヒ監督作品らしい、ヘンなおかしさが突然現れるから・・・・・・。
 大統領のジェイミー・フォックスさん、いい味出してます。最初の頃の字幕に注意!「兵役も経験してないくせに」というのが、かなり後で重要になってくる、なるほどなあ〜〜〜、と。

 この映画を観ていると、アメリカでも、色んな軍事行動に要する決済の手続きは、かなり煩雑だなあ、と。で、自衛隊。他国民を攻撃する可能性についてあれこれやってるけど、自国民に対しては?エジプト見てると、あり得ると思う。軍の良識だけが抑止しているわけで、この件は真剣に考えておいた方がいいんじゃないか、と思いました。

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2013/08/10 11:27:00|映画 やらわ行
ローン・レンジャー
 ジョニデが出てる映画って、どれも原則そこそこのレベルにある、というつもりでいるんですよ。「パイレーツオブカリビアン」のシリーズは観ていないが。で、この映画・・・・・・・。一言で言うと「つまらない」。

 何がいけないんだろう?多分脚本と編集かなあ?編集はお粗末としか言いようがないような。一つ一つのエピソードが全部途中で細切れになってしまってつながりが見えない。この話は老トントが子供にホラ話を聞かせる、みたいな設定になってるんだけど、劇中で子供が突っ込んでるんだもんなあ「どうやって牢屋から出たの?」って。自分も観つつ、そこが面白いんじゃない、どうして描かないんだ?とイラついてました。

 最後の列車のアクションもなにがなんだか・・・・・・。確か馬は、列車の中をドカドカ走ってたじゃないか、どうしていつの間にか列車と並走してるんだ?いつ降りたんだよ〜?列車は2つ出てきて、線路が交差したり並走したり、線路のつくりがよー分からん。こういうの、アクションの前にさりげなくどこかで説明(地図をもってきたり、カメラでパンしたり)を入れなくちゃ理解できませんよ。
 列車アクションの最高峰は、自分が観た範囲では「ポリスストーリー3」!やっぱりチェン様映画が一番!ってなっちゃいます。

 脚本については。とにかく劇中で「インディアン」が連呼されるから・・・・。字幕の林完治さん、しょうがなく「先住民」なんて当ててましたが。今時インディアンはないでしょう。人がバタバタ殺され過ぎる。ディズニー映画でこういうのってどうなんでしょう?この映画の対象は誰なのか?子供だとするとちょっと・・・・・・。
 ジョニデは、手抜きをしていないと思うんですよ。だからねえ、頭の上のヘンなカラスがねえ、なーんか安っぽくて・・・・・・・。

 ということで、今更ネイティブの人達が絡む西部劇という題材がそもそもいけないのかも、と思いました。

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2013/08/06 22:47:05|映画 さ行
終戦のエンペラー
 高校生の時は、受験科目には日本史を選択した。英語系の名前が全く覚えられない、という「西洋語苦手症」が原因だったわけだが。なのに、この映画を観て、日本史というけど、近・現代史を自分は全然知らないのか!!と、かなりショックを受けている。終戦間際、事実上のクーデター未遂がなんと6回もあったとは!!クーデターを企てた、その狙いは「玉音放送」とは!この放送、ずうっと、天皇陛下が肉声でしゃべったものだとばかり思っていたのだが、違うんですね。予めレコードに吹き込んで、当日、それを流した。そのレコードを奪ってしまえば、終戦はチャラになる、かつ、再録音できなくなるようにする、には、本人をどうにかするしかない。これを実行しようとした輩がいたわけだ。

 それを知っただけでも、この映画を観る価値は充分過ぎる位あったと思う。こういうの、NHKがスペシャルで放送してもいいような内容に思うんだけど。確か、玉音放送自体については特集があったように記憶しているが。

 そうした事実を丹念に掘り起こした映画が邦画ではない、というのはどういう事なのか、と。尤も、邦画じゃないから作れたのかもしれない。大変有り難かったのは、脚本の立場が極めて公正であったこと。日本がやったこと、アメリカがやったこと、一つ一つがきちんと描かれている。マッカーサーをはじめとする面々、それぞれの立場もどっちかに傾くことがない。

 にしても、結局「正義」なんかないですよね、戦争って。実にバカバカしい行いだという事がよく分かる。人も物も消耗のかぎりを尽くして、結局何も残らない。で、未だに後始末に追われている。多分勝っていても同じだったんじゃないかな。そういうのも含めると、戦争ってなんの国益ももたらさないでしょうね。いい加減、煽るのやめたら?とゴチャゴチャ言ってる連中に言いたい。

 そんなわけで、戦争についても改めて色々考えたのだが、天皇制についてもあれこれ考えている。先の地震の時、陛下の出されたビデオレターには凄く感銘を受けたものだが(まだ、覚えているくらいなので)、同時に感じたのは、政治的な軋轢なく権威のみという立場の人がいてくれると、こう言っては失礼極まるが、便利だなあ、と。アメリカだったら、大統領が災害地に行っても、必ず「こういう狙いがあると見られる」とかなんとか、茶々が入るでしょ。そういう事が全くない方がいらっしゃる、というのは、国民としては、なんか凄く有り難い事なんじゃないか。

 この映画を観ていて、天皇制を大切に存続させていくのなら、政治から切り離すことは絶対条件かもしれない、と感じた。何かあった時、「国民が選んだ人物」でない人が、総責任を負う、というシステムは酷過ぎる。権威というのは権力とは全く別のシステムで働くもの。終戦後、ギリギリの交渉で一番絶妙な形に収まったんだ、と。よくまあ、この形に持ち込めたものだ、と感じ入ってしまった。とにかく色々考えさせられる。必見と思います。

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PS.自分の席の隣の空席の隣のおばはん&おっさん。ごそごそ物を持ち込んで食べてた、のはまだいいんだけどさ、ビックリしたのは、一番のクライマックスシーンでおばはんのケータイがジャンジャン鳴る、上に、ケータイ画面を覗き込むから〜〜〜〜!!!「観劇のマナー」CMを観てないのかよ、アンタ!!
 アッタマに来たので、思わず手を伸ばして、「やめて下さい!!」と小声でガツンと言ったった。全く、こうしたマナー、いつも悪いのは年配者。あんた達に年金払いたくありません。







2013/07/24 0:19:48|映画 あ行
俺はまだ本気出してないだけ
 日活映画100周年記念作品だそうです。これがそうか・・・・。

 この映画、一番のミスキャストは堤真一さんですよねえ。この方がどう映ってるか、がキモだと思ってて、観てみたらなーるほど!!という事で、かなり楽しんじゃいました。

 本気出すぞ〜〜!!って勉強したくない受験生みたいな事をいい歳してやってるおっさんがいて、なのに、周囲も本人も、なんとなくそれに感化されてしまって、という不思議なお話。変形の自営業礼賛映画といってもいい。自営業者としては、大いに賛同するところあり。以前から、メガ組織で働くって、人間の仕事の仕方としてフィットしてないのでは、と思ってるので。

 にしても、「仕事しろ、働け」ってプレッシャーは、今でも男の方がうんとキツイですよね。男女関わらず、そもそも「定時に出かけて組織の中で気を使いつつ仕事して夜遅く帰る」っていう仕事のあり方が向いてない人ってそこそこいる筈だとも思うし。それなのに、そういう事を拒否すると途端に「引きこもり」になっちゃう。女は「家事手伝い」という究極の逃げ道があるのになあ。内容は引きこもりと同じなんですけどね。そんな事をつらつら考えながら観てました。

 この映画、音楽がいいです。わざとチープ感を出してる感あり、で、でしゃばってこない。センスいいなあ、と思ったら、担当がゴンチチと知って納得。

 最後に出てくるエンドクレジットも笑えました。「実際のファーストキッチンは、劇中とは運営が異なる場合があります」だったっけかなあ?そりゃ、全然違うでしょう!!

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