シネマ日乗

入間アイポットのユナイテッド・シネマ入間で観た映画の感想が中心になります(多分)。 ネタバレになってしまう可能性も・・・・・・。 その辺、ご留意ください。
 
2014/05/17 23:41:00|その他
ロング・グッドバイ
 映画じゃないですけども。このクオリティは映画そのものだと思う。映像も、脚本も、演出も、音楽も。久しぶりに夢中になって観てしまったドラマ。

 レイモンド・チャンドラー、読んだことはないが、しかし名前は知っている。あまりに有名なハードボイルド小説を日本に舞台を置き換えての翻案、主演は浅野忠信。この方が今まで主演やったことなかった、なんて信じられない。すげえかっこよかったっす。

 なんというか、「信義」を語るお話です。正義でもなきゃ、道義でもない。で、最終的には主人公、増沢磐二氏の信義は、徹底的にぶち壊される。1から10、どころじゃない、12まで。でも、その信義を彼は最後まで捨てないし、ぶれない。で、そこまで壊されても全く傷つかない。そういう強さを持つ人、ほぼ絶滅してますよね。

 世の中、メリットテイカーが席巻しているでしょ。なんでもかんでも取引・評価。ヤフーの映画評をたまに読むと、ありゃあ面白いよ。なんか、評価すら、「評価」されてんだよね。評価をその読み手が採点すんの。バッカみたい。その好評価が欲しくて書いてる奴、一人や二人じゃあるまい。そんな下らないことに巻き込まれたくないもんで、ここで書き留めてるんですけどね。まあ、ここも実は評価されてますがね。「アクセス数」でね。で、アクセス数を増やすためにどうこう、とか。鬱陶しいなあ。

 大変苦いお話なんだけど、ここまで酷い幕切れだと、却ってすがすがしい気持ちになります。ああ、この人は大丈夫だ、という。少なくとも、一人は救われたし。彼女はしかし、ある事態をきっかけにして、自ら変わったわけ。人が持ち得る他人に対する影響力って多分そんな程度だし、けど、最終的には一番大きく人を動かすんじゃないか、と思います。そうあってほしい。

 このドラマ中でやたら出てくるもの。煙草と珈琲。これって、どうもセットになりやすいものみたいですけど、この小説の影響かもしれないなあ。ここんとこ、コーヒーが飲みたくなることが多くて。ドラマのシーンを思い出しちゃうんですよ。まあ、タバコは吸わないから。

公式サイト







2014/04/28 23:09:00|映画 あ行
愛さえあれば
 なんとも陳腐な邦名です。もう少ししゃれた題名にならなかったものか・・・・・・・。

 WOWOWで観る。存外印象が強かったので。

 大人の少女マンガ。主人公の最初の出会いから目的地に到着するあたりまでは、まんま少女マンガ!!って感じでやや引いてしまうくらい。しかし、映画が進むにつれ登場人物の抱えるリアルが浮かび上がってくる、不思議な映画です。

 しかしまあ、ピアース・ブロスナンなんて、こんなステキな人に口説かれたら、そりゃあコロッといっちゃいますよね。割と登場人物は多いのだけれど、彼はどうしても目立ちまくる。そりゃそうですよ、なんたって元007なんだから!!おまけに舞台はソレント。こーんな美しい風景をバックにして、いい男ぶりの人物に口説かれたら、誰だってヒロインになっちゃうでしょ。

 なのに、巷の男って、どうしてこう無防備なんだか。アホやなあ、と思うのは、自分が浮気しようがなにしようが、女房が自分から離れっこないって、根拠なく確信してること。んで、自分が捨てられるなんて夢にも思わない、らしいこと。バカじゃないか?女房が自分よりか長生きしてくれて、自分を看病して看取ってくれる、なんてどうして信じられるのかねえ?

 介護してもらえなくなるかも、という危機感、男って自分のことばかり考えてるようですけど、現実はもっとシビアです。男の側の両親を介護なんか、してくれないわけよ。当り前さ、製造元責任というやつがあるでしょ、こんな奴の製造元をどうして介護しなくちゃならんの?っていう。

 美しい映画なんだけどそんな事を書いた新聞記事を思い出しつつ観てしまいました。

 主人公を演じられたトリーネ・ディアホルムが素晴らしいです。微妙な表情の変化で、彼女の気持ちの揺らぎが分かる。大変難しい役だと思うんだけど。で、話を見続けていると、「うわ〜〜〜、少女マンガ!」って思ってた最初のシーンの重要性が分かってくる。誰に対しても一歩引いていた彼女が、初めて言いたい放題言ってる相手がブロスナンなんですよね。これ、かなり重要な伏線だと思います。

公式サイト

 







2014/04/23 22:45:37|映画 た行
探偵はBARにいる
 WOWOWで観る。かなり引き込まれました。

 日本製のハードボイルドって、どこかジトッとしてる話が多いように思うのだけど、これは違いましたね。一種の復讐劇なんだけど、なんとなくからっとしてる、非常に苦い話ではあるのだが。大泉さんと松田龍平君のたたずまいのせいでしょう、おそらくは。あと、ハードボイルドにつきものの「雨」がない。そのかわりに、やたら雪が降ってました。それもからっと感を下支えしてるかもしれない。

 小雪さんがいいです。かなり騙されました。

 「2」を先に観ちゃったのも、よかったかもしれない。これの後に2を観たら、なんか切れ味が悪くなったかな、と思っちゃったかも。こっちを後で観たから感じるのは、こういう苦い話をまた、というのは、きついよなあ、ということ。だから、2はちょっとさばけているんですよね。この話もかなり複雑で、頭の中で整理しきれない上に後半はややドタバタ話が進んじゃう(多分原作をやや畳んでるんでしょう)から、ついてくのが大変だったんですが。

 しかしまあ、高田さん、あの車、もういい加減買い換えた方がいいと思うぞ。1作目からこんなポンコツじゃあ、ヤバいっすよ〜〜〜。

紹介サイト

 







2014/03/21 23:44:01|映画 あ行
偉大なる、しゅららぼん
 なんというか、内向きの映画です。感想を書きづらい・・・・・・・。

 前半はおかしな学園ものみたいで、後半はお家騒動風になるんだけど。それに岡田将生君のヘタクソなトランペットが彩を添えます。
 でね、両家が持ってる「力」について、なんか、大した力じゃないなあ、という感想になっちゃうからまずいのだ。ので、自分が問題解決をするとすれば、出てけ、となれば、ハイハイ出ていきますわ、となって終了になりそう。別段こだわりを持つほどのものでもなさげ、と思いそうで。

 で、M田岳さんなんですが。この人の殿様言葉が志村けんを連想させなかったのはよかったです。半歩間違えれば即「バカ殿」ご降臨、になっちゃう危なさを抱えたセリフの連続だったんだけど、結局映画を観ている間は志村けんを全く思い出さなかったから。

 しかし、どうもピンとこない。となるとこれは原作に当たった方がいいのかなあ。「銀の匙」の原作は、すかさず大人買いして読んで、感嘆したわけなんですけども。でもなあ、この映画の原作にはそれほどそそられないんですよね・・・・。

公式サイト
 







2014/03/12 21:34:00|映画 か行
銀の匙
 これ、いい映画ですね。原作を読みたくなりました。

 王道の青春ムービー、舞台は農業高校。あ〜〜懐かしい〜〜〜〜!!いや自分は大学ですけど、農学部ということで。獣医学科がどの学部に所属するか、東大や北大だと理U、獣医学部獣医学科ってところもあった。で、自分がいたのは農学部獣医学科。これは、よかったよなあ、と思ってる。農学部って、なんかこう泥くさくて、色んな人間が集まっていた。獣医学部とか理Uだったら、視野の狭い、鼻持ちならない人間になってたかもしれない。まあ、今も大した人間じゃあありませんですけどね。

 主人公の男の子は、なーんかひょろひょろしてて、後ろからコウモリ傘でグイとやりたくなるような奴なんだけど、なんだかんだやってるうちに段々たくましくなる。大動物と付き合ってると、どうしたって力仕事に強くなりますけども。

 映画はしかし、ただ牧歌的な話を描いているわけではない。特に酪農をめぐる現実問題は実に厳しいのだが、そうしたなかなか解決のつかない問題がきちんと描かれている。家畜とは何か、ということも。この辺は、ただ肉を食らい、牛乳にいちゃもんをつけたがる消費者の皆様にきっちり認識していただきたいことばかりだ。いつも思っているのだが、動物に関する問題は「可愛い・可哀想」なんてので解決するほど甘くない。これは小動物だって同じだけど、大動物についての問題はとりわけ、その手のハンパな感情が入り込む余地なんかない。その辺、逃げずに描くのはかなり難しいと思うので、それをやり遂げているこの映画は、いろんな方に観ていただきたいなあ、と思う。

 印象的なのが豚の屠畜シーン。実際に屠畜を行って、それを学生が見学するシーンなのだが、役者さんたちの視線や顔色を見てて、ああこれは実際に屠畜を見学しているな、と。その通りだったようです。逃げずに向き合った、若い役者さんたちに拍手!!

公式サイト