シネマ日乗

入間アイポットのユナイテッド・シネマ入間で観た映画の感想が中心になります(多分)。 ネタバレになってしまう可能性も・・・・・・。 その辺、ご留意ください。
 
2014/06/24 17:02:00|映画 か行
グランド・ブダベスト・ホテル
 レイフ・ファインズというと、パッと来るのが「シンドラーのリスト」なんですけど。違うタイプの役柄がなあ〜、と思ってて、この映画です。

 ほろ苦い、大人のおとぎ話。劇中劇中劇、みたいな体裁を取ってますけど、まあ、その辺はどうってことない設定だと思う。おとぎ話風だけど、ある程度史実に則っているところもあるらしいので、ヨーロッパの人達にはあれこれ考えさせられる映画なんだろうな。

 観ていると、あれえ、これ、どっかで見たような・・・・、っていうようなシチュエーションだの設定だのがちょこちょこ出てくるんです。昔々のドタバタコメディー風の個所もあるし、脱獄シーンは「ショ−シャンクの空に」みたいだし。ヒッチコックのミステリーみたいなとこもあるし。そうやって、映画の中で遊んでるんでしょうね。そこに、なーんか憎めないヘンな人がいつもいる。ロビーボーイ見習いのゼロ君との凸凹コンビが可笑しいんですよね。

 音楽がいいです。で、ちょっとした役に有名どころの皆さんがいて、なんか、もったいないなあ、と思っちゃうくらい。その中で若い役者さん二人が頑張ってます。ロケ地であるところのゲルリッツって街は魅力的ですねえ。街自体がメルヘンチックで。こういう古いかわいらしい街並みは、ヨーロッパにはあちこちにあるんでしょうけども。

 観る人をちょいと選びそうでな映画ではありますけど(観てる間、いびきも聞こえたし)、面白いレイフ・ファインズを見たい方にはいいんじゃないでしょうか?

公式サイト







2014/06/11 19:40:46|映画 か行
ゴジラ (デジタルリマスター版)
 いや〜〜、やっぱ怖いわ〜〜〜。

 子供の頃はウルトラマンだのなんだののおかげで、怪獣はほぼ週1で街をぶっ壊す生き物としてTVの中では見慣れていた。けど、所沢にあった映画館でゴジラ対モスラ(だったっけか?)を観たときはもうおっかなくて、途中退席。暗闇に現れる大画面の怪獣はとにかく恐ろしい・・・・・、という印象。今回も覆らず。

 この映画は、黒白だからますます怖いんです。暗闇の中でいきなり何かが動いて家が潰れるシーン、なかなかゴジラの全体像が現れないあたり、「出るぞ出るぞ〜〜」がおっかないんですよ。

 で、こういうプロットは、形を変えてあちこちの映画等々に使われている。よく知らないのだが「進撃の巨人」ってありますね。あれもおそらく、とにかくでかいものが襲ってくる、その理由は全く不明、というのが怖さをかき立ててるところはあるのではないか。

 で、いったいどうやって撮影したんだろう?と思うシーンも。例えば、ゴジラの背中の板(?)が光って炎を吐く、背中の板をピカピカさせるのはどうやってたんだ?今ならなんだってできちゃいますけどね、当時の技術を考えると・・・・・・。

 でね、お話を追っていくと、まあ〜〜、人間って、というか、日本人ってぜんっぜん変わらないんですなあ、とうんざりしてしまう。今の国会と同じようなことを言い合ってる。福島の原発事故の時も同じ事を心配して、情報を隠蔽してたような。国民、なめられてるレベルが当時と全然変わってないじゃないですか。
 このお話では、ことは怪獣なんだけど、とかく政治が絡むと話の進み方は遅くなるわ、話はややこしくなるわ、情報の共有ができなくなるわ、今になっても変わってないのはどーして?ということで、ついついSTAP細胞研究のドタバタとかを思い返しつつ観てしまった。

 全体的に、セリフが聞き取りやすいのがよかったです。画面もきれいで見やすくなってて、リマスターに関わった方々の熱意がよく分かります。せっかく大画面なんだから、観ないと損だと思います。

公式サイト







2014/06/01 21:33:00|映画 その他
WOOD JOB! 神去なあなあ日常
 「銀の匙」で農業、ときて、今度は林業。林業紹介映画、と言っていいのかなあ?ああそういえば、大学に林学科ってありましたね。

 作家の小池真理子さんと藤田宜永さん、お二人が軽井沢に移住して、で、しばらくたって毎日新聞にリレーエッセイを書かれた。結構面白い話が。軽井沢というけれど、当時坪3万という移住先の土地はどういう場所かというと、とんでもない山のてっぺんで、特に冬はサバイバルゲームチックになる、という。自然環境の厳しさ、そんなところに住み着いてると、なんとなく男女での役割分担ができてきた、藤田さんは別にマッチョな人でも何でもないのだけれど、いつの間にか除雪等々外回りの仕事、小池さんは炊事や洗濯みたいな家仕事っていう風に。で、藤田さん曰く「大したことをやっているわけではないんだけど、『俺は男だ!』という気分を満喫できてストレス解消」って。

 そういう分業が成り立っちゃいそうな村のお話。

 で、そういう場所、わたしゃ嫌いなんだ。ヤなんですよ、ぐちゃぐちゃあれこれ噂されたりするの。

 あとねえ、普通に就職先の業種の1つとして考えたりすると、研修を受けても定着しない、「どーせ出てくんでしょ」ってセリフでも出てきますけど、定着しないのが普通じゃないでしょうか、と。自分がやってる動物病院の仕事だって、定着率は低いっすよ。専門性が高い仕事だから、そこそこやる気のある奴が来るはずなんだけど。その上、住環境が激変したりしたら、そりゃあいつかないっしょ。そんなもんだ、で、そういうのをどう改善しようかとか、そういう「魅力的な業種にしようとする努力」を感じない、横着じゃないでしょうか、と思うんですよ。

 第1次産業が抱えている問題は多々あるけど、その閉鎖性が「どーせ」というセリフに集約されてる感じがしてねえ。

 面白いし、伊藤英明さんが演じている男のアクの強さなんかは相当魅力的ではあったんですが。

 ちなみに、林業に対する自分のイメージは=「白ろう病」なんです。これ、小学生の時の社会科で副読本かなんかに書かれてた(で、患者の真っ白な手の写真も見た)病気?で、確かチェーンソーを使い過ぎてこうなる、みたいな解説があったような。当時の社会科の教科書だったか副読本だったか、なんでもかんでも「あれが問題だ、これがいけないんだ」ばっかりだったですね。おかげで新潟=出稼ぎ=ちっとも儲からないビンボー農家、っていう連想になっちゃったりしてさ。
 今になってみれば、そんなもん、チェーンソーの性能がダメだったからで、性能がUPすれば解決します、という話を全く聞けなかったのはなぜなんだろう?当時の大人どもの問題解決能力のなさ(問題云々は、ガキじゃなくて大人が解決するべきものでしょうが)を示唆していたような。とにかく第1次産業について、悪い話ばかり吹き込まれましたよ。あれは何だ?実に不愉快だ。

公式サイト







2014/05/25 23:32:01|映画 た行
テルマエ・ロマエU
 続編ってなかなか難しいなあ、と思わされる。

 面白いは面白いんですけども・・・・・。全体的にエピソードがバラバラになっちゃって。餃子の話なんか、途中でどっかに行っちゃっうし。

 ということで、阿部寛さんを堪能する映画です。これはですね、実に目の保養になるんです。いいなあ、役得じゃないですかあ!と言いたくなるお姉さま方多数で、羨ましいったら!!
 ちなみに、琴欧州関の出演時間は、多分1秒くらいじゃなかったっけ?もっと出ればいいのに〜〜〜。

 今回のお話は、ケイオニウスさんの名誉回復という感じのエピソードが中心です。北村一輝さんががんばってます。あの衣装、実に決まってました!

 そうですね、一番観てほしいなあと思ったのは、安倍さんですね。集団的自衛権は結構ですけど、実際にそういう騒ぎになったら、日本は確実に滅亡しますんで、そうならないように外交で頑張る、しかないんですよ、今の日本の進む方向って。そんなことを考えてしまいました。戦争の悪影響ってすさまじいじゃない、大体花粉症だって戦争のせいだぞ。戦争がなけりゃ、杉を山ほど植えるっていう暴挙はなかったでしょ。もっとそういう長い目でいろんなことを考えるべきなのでは?ローマ帝国も、結局は滅亡しちゃったわけだし。ということを考える、コメディーになり切れなかったなあ・・・・・・。

公式サイト







2014/05/21 17:33:00|映画 あ行
アナと雪の女王
 最初2D字幕版で観たんですけども、特に前フリの短編が、こりゃどう考えても3Dを意識して作ってるよね、という作品だったので、3Dを観たかったんです。拡大上映されてアイポットに来てくれたのはラッキー!!

 この作品の命は映像&歌なんですが、映像はもうね、3Dで観るとその良さがよく分かる。ディズニーのアニメ作画の技術って凄い。特に氷の表現がね、なんかもうリアルで。主人公の女の子二人の表情がクルクル変わるのも楽しい。こないだWOWOWで「バンビ」や「シンデレラ」なんかやってましたけど、「バンビ」を見て感じた、動物の動きの生き生き感からの伝統なんでしょうね。

 で、この映画は吹き替えが完璧に成功している稀有な例じゃないかと思うんです。特にアナ役の神田沙也加ちゃんが素晴らしい。ただ吹き替えてるんじゃなくて、声も歌も生きてるんですよね。松たか子さんの歌が話題になってるけど(これも本当に素晴らしい)、セリフや歌の量はアナの方がうんと多いから、神田さんがきっちり演じてこその映画なんですけど、彼女はそれに十二分に応えています。ミュージカルでここまで凄い吹き替え映画は初めてじゃないだろうか?
 歌の訳詩が巧いんです。英語の元歌のエッセンスをうまく取り入れながら(話がちゃんと分からないと、ミュージカルとして成り立たないものね)、歌っている人の口の動きに合わせなくちゃならない、かつ、歌える歌詞にする、難題だったと思うんだけど。というのも、アニメーションなのに、人物の口の動き方が、ただ「口パク」っていうんじゃないんですよ。ちゃんと、英語のセリフに合わせてこういう母音で歌ってますって分かるんです。これも凄い話だと思うんだけど。それに合わせた歌やセリフを作って、音域なんか、かなり難しい曲だと思うけど、歌って命を吹き込む、本当の「吹き替え」になってました。

 じゃあ、物語はどうか、というと、これが結構シビアだなあ、と。基本的には、社会性が全然ない(その事情はそれぞれなんだけど)女の子が、それぞれの経験を経て、一人前になる、というお話なんだけど、裏テーマに思えたのが「口のうまい奴に気を付けろ」かなあ。うん、10代女子は観た方がいいですよ。ところが、今日の客層は、シニアのおばさんばかり。それと、おそらくはつき合わされたおじさん、というか、じいさん軍団。なんか、異様な客層・・・・・・。この人達、失礼ながら、この映画から何を感じたのかな?
 だってさ、今の日本のシニアおばさんたちって、自分じゃ何もしようとしないしできないし、人の世話ばっかり焼いてて、で、愚痴と文句と嫉妬が脳みその大半を占めてる、という感じなんですもん。この映画に描かれている「まっすぐ」感から一番遠いところにいる気がするんだ。だから、おばさんたちの感想をぜひ聞きたかったんですけどね、ついでにおじさん達の感想も。なーんか、3Dに酔った、なんて話が聞こえました。こちらは映画じゃなくて、客に酔ってしまった。この映画に共感しそうな客の皆さんと一緒に観たかったっす。

公式サイト

P.S 大騒ぎになっているPC遠隔操作事件の犯人、あの片山っていう頭のきれるバカ男を弁護している佐藤氏が、今日の記者会見の中でこの映画の感想を述べておられる。この映画から一番遠そうな人の感想を知ることができた。で、その内容に驚いている。エルサのキャラクターについて、どう捉えたらいいのか、と思ってたんですが、明確な回答を得られた気がします。この人も、とことんプロですね・・・・・。

記者会見

P.S2
 この映画について、別の評論が出ました。著者はコラムニストの中森明夫氏。この評論の面白いところは、中森氏が「中央公論」から依頼を受けて書いたのだが、なぜか掲載を拒否されてしまったということ。中森氏はその顛末を今日の毎日新聞夕刊に暴露したわけなんですけど。
 この映画は、とにかくいろんな人にものを考えさせる力を持つようだ。一人一人の感想が全然違う(しかし、いずれもこの映画の核心を突いている気がする)から、どの論評も面白くて、ついつい真剣に読んだり聞いたりしてしまう。この評論については、中森氏がなんだか熱く語っていて、それに中央公論が恐れをなした、という印象。なんだなんだ中央公論、しっかりしろっての!!
 この評論は完全ネタバレです。映画を観ていない方は読まないでください。

中森氏の評論