シネマ日乗

入間アイポットのユナイテッド・シネマ入間で観た映画の感想が中心になります(多分)。 ネタバレになってしまう可能性も・・・・・・。 その辺、ご留意ください。
 
2015/09/23 0:19:48|映画 か行
キングスマン
 ちっとも笑えないコメディー。
 なんでR15+なんだろうと思ってたんですが、強烈な毒気で、まいりましたあ〜〜。

 まあ、予告編とは大分違います。前半はモタモタしてて、なーんだ、予告編に騙された、という空気が場内に漂ってましたが。自分も途中退席しようかなと思ったくらい。

 後半から、がぜん面白くなりました。

 サミュエル・L・ジャクソン。悪役としてのキレが抜群!!!さすが、名優だと思います。この手の映画、悪役は相当の悪でないとイカン、けど、あくが強すぎると主役を食っちゃう、その辺のさじ加減が難しいと思うんですが、絶妙な塩梅で、観てて楽しかったです。

 で、ちょっとキューブリック監督へのオマージュがありましたね。「博士の異常な愛情」。これ、戦争映画で唯一認めてる奴ですが、そっくりのシーンが出てきます。そうね、今は、別に核兵器なんか使わなくても人間をバッタバッタ片付ける方法なんかなんぼも出てきそうですもん、そういう意味でもこの映画は毒気たっぷりなんです。その辺を楽しめるかどうか、客を選びそうです。もしかすると、新しいタイプのスパイものとして定着するかも。ただ、この毒気を抜かれちゃうとどうでしょうか・・・・・。その辺が難しいかな。

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2015/08/29 23:43:00|その他
大丈夫、愛だ
 WOWOWでやってた韓国ドラマ。主人公のヘスちゃんが精神科医で、彼女の仕事に対する姿勢が凄く共感できたので、ついつい一生懸命見てしまった。
 今まで、韓国ドラマって、全話見たことがないんです。どうもね、やれ陰謀だあ、策略だあ、とか、どろどろ人間関係とかカネの話ばっかりで、あー面白くない、はっきりしろよ〜〜〜〜!!ってなっちゃって。このドラマはしかし全然違いました。誰もが自分の問題とがっぷり四つで向き合う感じが、気持ちいいです。で、それがコメディーだ、というのが凄い。

 このドラマ、コメディーであり、恋愛ものであり、病気ものでもあり、サスペンスもある。それをうまくミックスさせて作っている脚本が秀逸なんですが、特にびっくりしたのが、統合失調症等々の精神疾患を真正面から描いている点。日本のドラマに今までこういうのありましたっけ?このドラマ、NHKでやるべきですよ。

 統合失調症がありふれた病気だ、というのは、2013年6月の入間市報に出てた「国保の財政状況」に関する報告を読んでも理解できる。一番保険が使われている入院事案になってる疾患は、癌でもなく、糖尿病でもなく、実は統合失調症なんですよね。なのに全くその病気が表に出てこないのは、要するにその病気=やばい、かんべんしてよ、という周囲の空気のせいでしょうね。差別だ偏見だ、そういうのやめましょう、と言うのは簡単ですけど、実行なんぞされたためしなし、というのが日本の社会の現状でして。

 しかし統合失調症って、どういう病気なのさ?が理解しづらいなあ、と思っていたので、このドラマを見て、その一端がよく分かってよかったです。

 見ていて思ったのは。夏の定番の「幽霊を見た!!」って奴。それも一種の幻視の可能性が大いにあるだろうなあ、と。ただ、別段その人の生活が脅かされるレベルのものじゃないから、病気というカテゴリーに入ってこないだけ、じゃないかな。その位その辺にこの疾患は転がってるんじゃないか、と。

 もう一つ。このドラマの通奏低音はDVなんですが、この手の暴力は、韓国でもかなり深刻なんだなと。韓国の場合、儒教の影響で「親は敬うもんだ」というのが子供世代に対して相当な重圧になっているのも感じ取れて、あーお互い大変だよね、と思っちゃいました。日本の場合は、そういう圧力は「世間様」なんだけどさ。世間様という人間はいないよ。と思うのに。

 ドラマの中で、「大丈夫」という言葉が繰り返し出てきます。勿論韓国語で話されてるんですけど、お互いを思いやる言葉で語られる韓国語の響きはとても柔らかくて、美しいものだ、と思いました。

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2013年6月1日広報いるま
 







2015/08/25 0:05:17|映画 ま行
ミッションインポッシブル ローグネイション
 面白い〜〜んだけど、大忙しです。登場人物が絞られてるから何とかついていけましたが・・・・・。

 トム・クルーズというか、イーサン・ハントさん、このシリーズでは何回も死んでるのに、うまいこと生き返るんですなあ。今回もご多分に漏れず。今回はCIAに追われてるくせに、いつの間にかスパイグッズをあれこれかき集めてるし。どうやって?とか、そういう細かいことは気にする暇もなくお話が突っ走ります!!話がどんどんデカくなるのもなかなか・・・・・・。

 このシリーズはなんだかんだで全部観てるかもしれないんですが(よく覚えていない)スパイグッズというか何とかしなくちゃいけないものがどんどん変化するんですね。今回はデジタルデータで、その手のデータの特徴が生かされてるあたりが面白かったです。

 映画に出てくるオペラは「トゥーランドット」。「誰も寝てはならぬ」は超有名曲ですね〜〜。この旋律がアレンジされて、映画の中にちょこちょこ出てきます。オペラの舞台装置やら、曲の進行やらが重要アイテムで、しゃれてるなあ、と感心しました。

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「誰も寝てはならぬ」







2015/08/17 18:32:00|映画 な行
日本のいちばん長い日
 壮大なギャグ。にしか見えなかった。何回も失笑したり、呆れてため息をついたり。


 分からんよ。目の前の風景が焼野原だってのに、それでも勝てるとか、本土決戦だあ!とか。どこに目がついてるのか?目の代わりに銀紙でも貼ってあったのか?

 ということで、鈴木総理大臣のタヌキおやじぶりがなかなか良かったです。鈴木さんって、しかし、肝が据わってらっしゃる、その理由は226事件の生き残りだからでしょう。この人を総理大臣に据えたのは昭和天皇ということに映画ではなっていて、もし本当にそうなら、天皇陛下の判断力は相当なものだったのだな、と思う。鈴木さん以外の人では収拾つかなかったでしょうから。

 それにしても、男というかオヤジというか、どうやっても「変化」と「責任」が嫌いなんですなあ。判断の場に、一切女がいないのが印象的だった。これじゃーまともな判断なんぞできるわけなし。現実を正確に見る目がないんだから。

 で、陸軍大臣にも呆れる。自分の部下がクーデターまがいのことやってるのに、気付くこともできずに酒を煽って自決ですかあ。自己憐憫の固まりにしか見えなくて。

 映画としては、なんだかよく分からなかった。皆が同じ顔に見えるし、制服も同じに見えるしで。5時間くらいの長尺ならもう少し分かりやすく描けたんじゃないかと思うんだけど。ドキュメントか、ストーリーなのか、どっちつかずの演出だし・・・・・。「24」シリーズみたいな手法を使えば、色々整理して描けたかもしれませんが。結局わかったのは、天皇陛下とタヌキおやじと何考えてるのかさっぱり分からん陸軍大臣と生意気な青年将校くらい。クーデター軍団なんぞは誰が誰やら・・・・。ので、あらかじめ予習していった方がいいかもしれません。

 にしても、ホント、日本のおじさんたちの本質って変わりませんなあ〜〜。国立競技場問題なんかその典型ですけども。安保法案、いやなのは、実際何か起こそうって時に、誰が責任取るのか、まーただーれも責任取らないという、訳わからん状況になるのでは、という懸念。

 で、一方思うのは。クーデター連中もそうだけど、あの手のテロリストに「話せば分かる」は無茶です。ISなんか、思いっきりそうでしょ。だから、戦争ハンターイって言ってる人たちの話って全く説得性がない。なんかね、戦争反対です、悲惨だからです、ってすごく馬鹿らしい理由だと思います。ISに支配されたら平和ですか?悲惨の固まりみたいじゃん。そういうのについてはどう考えるのか、知りたいもんですよ。

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P.S  昭和天皇のドキュメントTVを大昔に見たのだけど、まだ覚えているシーン。何かの記者会見で、「天皇陛下は戦争責任をどうお考えになりますか?」という質問が出て、それに対して陛下が「そういう文学的な質問にはお答えしかねる」と返答されてた。文学的・・・・・・・かあ・・・・・、と思って。けど、玉音放送の内容等々を見ると、天皇陛下は一番その件について痛切に考えておられたんじゃないかと思うんですよ。







2015/08/12 23:26:00|映画 は行
バケモノの子
 この監督さんの映画、ぜひ観たかったんです。で、まーた痛いとこついてくるなあ、と。

 主人公とバケモノさんの熊鉄との関係、かなり意表をついてきます。こういう関係性になるとは、驚きました。で、かなり腑に落ちる。師匠と弟子、というよりも、どっちかというと友情チックか?で、そういう関係の方が「愛情」なんかより強い、とも思えるし、いや、こういうのが愛情かも、とか。色々考えさせられます。

 主人公は一人ぼっちだった筈なんだけど、いつの間にか色々な関係性が生まれてきて、変化が起きて、という過程が納得させられるんです。子供はそういうのが強いね。大人とその辺が違うんですよ。

 痛いとこついてくるなあ、というのは、主人公じゃなくて、楓ちゃん。彼女の語る話は、自分の事とかなりかぶってくるので。あー同じ事考えてたな〜〜。というか、自分の場合はもっとしたたかだ。親から金を搾り取ってやる、と思ってましたね。親の期待通りにやってやってるんだから、金もらって当然だってね。そういう取引に落とし込まないとやってられなかった。それでも、色々清算するのに随分時間もロスしましたね。全く・・・・・。そういうの、自分一人で解決するのはほぼ無理、やっぱり仲間が必要なんです。自分の場合は自助グループもそうだし、数少ない友人もそうだったか。

 まあね、結局自分の人生は自分で責任取らなくちゃならないんですけども。

 そういう事を語っている映画です。必見かと思います。

公式サイト

P.S この映画が渋谷を舞台にしているのは、秀逸ではないでしょうか。渋谷って、人はウジャウジャいるけど、関係性はものすごく希薄な感じがして、大嫌いな街です。以前、誰かと劇かなんか見て、帰りがけにカフェ的な所に立ち寄った時、そこのウエイターの慇懃無礼さに唖然。今もよく憶えている。渋谷を大嫌いになったきっかけがそれ。で、ちょっと裏通りに入るといきなりヤな雰囲気になるし。

P.S2 この映画、色々な映画に対するオマージュがあります。「酔拳」とか。あと、ジブリ映画のムードもあるんです。あーこれ、わざとやってるなあ、と。面白いと思います。

P.S3 この映画の中に出てくる本。極めて示唆的ですね。メルヴィルの「白鯨」と中島敦の「悟浄出世」。「白鯨」は読みかけて挫折したんですが、「悟浄出世」は何度も読んでいる。映画の中での本の立ち位置は「白鯨」の方が大きいんですが、「悟浄出世」が出てきたのは、西遊記&中島敦好きの自分としては嬉しかったです。