シネマ日乗

入間アイポットのユナイテッド・シネマ入間で観た映画の感想が中心になります(多分)。 ネタバレになってしまう可能性も・・・・・・。 その辺、ご留意ください。
 
2017/12/29 20:29:00|映画 た行
探偵はBarにいる 3
 普通は熱量が下がっちゃうんですけどねえ、続々編となると。そうならない所がすごいです。その理由は、探偵の大泉洋さんと高田役の松田龍平君のバディー感もいいし、札幌のススキノという、ぱっとした胡散臭い場所が舞台ということもあるし、やっぱり脚本がいいって事でしょうか。

 今回のヒロインは北川景子さんという文句なしの美女で、なんとなく薄幸そうな感じが生きてますね。しかし、芯がきっちりある。このシリーズに出てくるヒロインは皆、ヤバい状況の中で生きているけど、芯が全くぶれない、という点でかっこいい人ばかりですが、今回もそう。こういう女、日本の男どもには評判悪いでしょうなあ。

 松田龍平君は「まほろ駅前狂騒曲」でも似た感じの人を演じてましたね。どっちもどこか抜けてる。こっちの映画ではやたら腕っぷしの強い人で、実は北大の農学部助手という設定が、なんとなく親しみがありまして。バディの相方をやらせるとうまいなあ、と。

 ということで、今回もやたら雪が降るハードボイルドサスペンスになってます。ススキノの悪はホントーに悪そうだ〜〜。で、降ってるのが雨じゃなくて雪だから、暗い話なんだけど、なんとなく雰囲気が明るいんですよ。この映画のシリーズ通しての特徴だと思う。

 そうそう、日本ハムファイターズの栗山監督さんと札幌市市長さんが特別出演してます。結構重要な役どころ、と言えないこともない。エキストラも多い多い。札幌市の人達がこの映画に協力しまくってるんですね。熱量の大きさが、そこからもうかがえます。

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2017/12/26 10:55:00|その他
陸王
 視聴率が高かっただけに、このドラマがはらんでいる(と感じた)問題点が全く無視されているのが心配です。以下、それを書こうかと。

 経営者をやっていると、昨今のプロダクト展開は本当に難しいと思う。ほぼ毎日のように新製品はできる、それを問屋さんが持ってきたり、チラシを置いていったり、技術資料を配ったり、時にはメーカーや零細だと社長さん自らが来て売り込む。で、自分がその中で採用する製品は、実は百分の1以下。当院については、自分より患者さんの目がキビシイ。効かなけりゃ売れない。
 でも、じゃあ、よい製品なら売れるのか?これが難しい。今までの慣習から脱却できないとか、規則に触れるとか。今、別企業で馬の「ハミを使わない頭絡」という奴を販売している。馬はハミなんか使わないほうが、全然落ち着くし、ちゃんと動いてくれるのだが、競技会の規則で「ハミを使うべし」なんて書いてあるだけで、もう売ることが難しくなってしまう。規則を変える?そりゃ結構ですが、国際競技会からの規則だからねえ。。。。バカらしいが。

 で、今回の「足袋型シューズ」ですが。製品のコンセプトもよし、履き心地とかもよし、競技会で結果も出る、競技規則に引っかかることもない、のに、売れないのはなぜ?宣伝がダメだから。ドラマを見ていると、宣伝があまりにも「昭和」なので愕然。今なら、茂木君があれだけの走りをして、その彼がヘンな靴を履いている、どこで騒ぎになるかというとツイッターです。目ざとい人たちがハッシュタグをつけて盛り上がる、そこにこはぜ屋さんがちょこっと「実は・・・」ってやって、アマゾンに誘導すれば、簡単に売れるし、知名度も上がる。評価だってガンガン書かれる、それを拾って製品改良もしやすい。販売数とかの資料も簡単に正確なのが出るから、それを資料にまとめて、運動靴屋を回ればいいじゃない。資料もない製品を置く奴なんかいませんよ。
 茂木君も、このクラスの競技者なら、当たり前にSNSアカウントは持ってるし、フォロワーも多いはず。そっちで宣伝すりゃいいじゃない。自分はプロテニスプレーヤーの添田君や内山君やらのファンで、フォローしてますけど、彼らがそこで「試合中これ食べてます」とか「ラケットはこのメーカーで」なーんてやってくれると、ついつい探してしまう。雑誌なんかより、今はこっちの方がはるかに影響力が強いのにさあ。こはぜ屋の社長はアタマ悪いなあ〜〜、とイライラしちゃって。ネットの影響力を無視している点で、このドラマはダメなんですよ。

 以前の「下町ロケット」との違いはその辺で、「下町ロケット」のプロダクトは極めて特殊だから、ネットを無視した話でよかったと思う。でも、「陸王」のような、一般向けの数千〜万円くらいの製品の話では、ネットを抜きにした話は成り立たないと思う。

 あとねえ、銀行とか融資について。銀行のモデルは「埼玉りそな銀行」かい?と思ってたんですが、銀行さんは、ああいう描かれ方をどう見るんでしょうか?銀行=悪役→金=悪役っていう刷り込みは危険です。
 こはぜ屋の社長はこの件でも頭が悪くて、銀行が貸さないなら、他を当たれよ、と思って。自分が病院をつくった時、銀行さんには相手にされなかったので、即国民金融公庫に頼みました。貸してくれましたよ。国金は、事業計画がしっかりしてれば大概貸してくれます。事業計画書も書式があって、これを埋められなけりゃ、起業なんかそもそも無理だろうなー、と思った位。今はさらに、国の補助金・助成金・特別融資制度、なんでもある。そういうのを調べなさいよ。その手の情報は、実は商工会にある。このドラマ、こうした情報の入手先が狭すぎ、お粗末すぎなんです。異業種とのコラボだって、商工会ルートでいくらでも探せるし。そういうのをどうしてドラマで紹介しないのか?

 業務提携の話もタマゲタ。フェリックスの契約内容は破格すぎ。あんた、慈善事業やってんの?と言いたくなったぞ。仕事に慈善は禁物です。

 悪役をやっつけてスカッというのはいいけど、それに至る内容がめちゃくちゃで、自営業者としてはなんら共感できず。残業や「とにかく頑張る」みたいなのを無条件に肯定しているのもおかしい。仕事にむやみに「頑張った」ってしょーがないんです。給料以上の仕事はするべきじゃない。

 他にも、例えば借金取りが暴力、即ケーサツ呼べよ、と。傷害事件でしょ。大体、まともな借金取りなら、暴力なんぞよりか金をちょっとでもむしり取れる方法を取るはず。なにやってんだか?シルクレイ製造機が火災、そりゃ設計ミスでしょ。そんな危険な機械、おっかなくて。その設計を抜本的に見直して、安くする見積もりをさせる、のが筋じゃない?五千万で造れると思ったんだけど。

 まあそんなこんなで、ドラマは盛り上がったと思うんですが(竹ノ内君をはじめとしたランナー役の方がたの頑張りはすごいと思いました。体をつくってましたもんね)、その内容は残念至極。あと、悪役を「悪人面」で揃えるのはどうかと思いますよ。「顔ハラ」にならないのか?とヒヤヒヤしてました。

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2017/12/18 22:19:00|その他
おんな城主 直虎
 大傑作、じゃないかと思う。「平清盛」を超える作品になったかもしれない。

 主人公の井伊直虎という人は、NHKの「ヒストリア」で紹介されて、その時の反響が大きくて、じゃあ、思い切って大河ドラマにするか、ということなんだそう。この人を紹介した回は見ていたので覚えているが、確かに印象的なお話だった、が、領主になっていた時期はたったの3年だし、どのようにしてドラマ仕立てにするんだろう、と不安になりつつ観始めたんです。女性が主人公の大河ドラマは、途中でつまんなくなってやめちゃうことばかりだったし。

 なのになあ、ドはまりしちゃったわけだ。

 このお話のテーマは、自分の人生を責任もって生きるとこうなる、という事じゃないかと思っている。起こる事象に対して判断し、決断し、実行し、その結果を受け入れて、次に生かす。この繰り返し。実は、大概のお話は、このスパイラルのどこかが抜け落ちちゃうんですよ。女が主人公の場合、「判断」が抜けたり「行動」が抜けたり。誰かの判断に翻弄されてお終いとか。行動できずじまいとか。そうでなければ結果がいつも大甘で、次がない。男が主人公だと大体「実行」までで、その結果が出ておしまい、と。このドラマはそのスパイラルを延々と見せた。それが、自営業者の自分としては、極めてリアルに感じられたんです。これは脚本の力が大きい。毎回感服してました。

 このドラマでさらにすごいと思ったのは、ミスキャストがなかったこと。端役に至るまで、全員が、ああこの人だな、と分かる。脚本の力量はそこにも現れていて、短い出演でも、ああ、こういう人、と理解できるのだが、それを体現する役者さん達の理解が深いんです。純然たる悪役が現れなかったのにも驚いた。スターウォーズに「真実は多面的なものだ」なる台詞があるのだが、それを体現しているような。脚本を書いた森下さんは、登場人物を全員大切に思っていたんでしょうね。それが役者さんに伝わるから、全員が役を大切に演じたんだと思う。そういうのが「愛情」という奴でしょう。

 それ以外でも、この大河ドラマは従来のドラマに対するアンチテーゼがポンポン出てきて、とにかく痛快でした。やたら出てきた男性諸氏の褌カットやら半裸シーン。これはねえ、女性陣の目の保養目的なんでしょうけど、従来のドラマでは男性陣の目の保養シーンばかりだったもんねえ(水戸黄門の由美かおるさん入浴シーンとか)、大笑いでしたよ。三浦春馬さんは「スケコマシ」だし、政次さんは奸臣に見せかけてた人で、築山殿は悪女ってわけじゃない、という解釈のひっくり返しも見事。だから、見ている側は史実はこう、と分かっていてもドキドキしちゃうんですよ。

 このドラマを観ながら、あーこういう楽しみ方があるのか、と驚いたのがツイッター。今までツイッターって一体何のために使うの?と不思議でしょうがなかったんですが。ドラマの感想を次々書き込む場所だったんですね。で、それが実に的を得ている。えーここまで見ているの?と思うような指摘を読んで唸ること多し。それだけじゃない、「虎絵」と称して登場人物の絵とか、さらにはスピンオフストーリーを漫画で描いちゃったり。それもどうやら「いいね」が欲しくて描いているわけじゃなさそうなのだ。ドラマの受け手の反応の確かさ。これは、製作陣を大いに励ましたのではないかと思う。いやらしい批判や中傷を出させなくしちゃうような迫力があって。その為か、ドラマの各話が訴えかけるテーマも毎回厳しいものが増えましたね。で、それに見ている側ががっちりついてゆく。それがリアルタイムで分かる、本当に面白かったし、ある種感動してました。いいものを見させてもらった。

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P.S 昨日総集編がありまして。そういえばと思い出した事。このドラマは効果音や音楽の使い方が実にうまい。最初の頃は気付かなかったくらい。特に鳥の声。劇中、やたらカラスの声が聞こえて、なんだろこれ、と思ってたんですが、よく聞いてみると、実はこれが効果音として、登場人物の心情等々を表していたんです。音楽も、よくまあ、と思うような音を付けてくる。万千代君の登場と同時に出てきたエレキギターのテーマ曲、あれ、よかったわあ〜。音楽は下手をするとドラマや役者さんたちのお芝居の邪魔をしかねない時もあるので、それが一切なかったというのは凄い事です。 







2017/11/26 19:58:00|映画 やらわ行
ローガン・ラッキー
 悪事がテーマなのに映画を通じて銃が全く出てこない、のはアメリカ映画では珍しいかも。

 ローガン家はついてないことばっかり。「ローガンの呪い」とか何とか言ってしょぼくれてるんだけど、それを一発逆転しようじゃない!で、その手段としてF1レース会場から現金強奪しようじゃーん。仲間を募って、うまいことアリバイをつくって、現金盗んでもアシがつかないように・・・・。ってそううまくいくのかねえ?というお話。
 ローガン家の人達は、カネがなくて、車にはナビも付けられないし、ケータイも契約を切られちゃってる。それが面白い伏線になっています。

 面白いかというと、うーんどうだろう?話がガチャガチャ進むので、どの辺が計画通りでどの辺がラッキーなのか、今ひとつわからず。ダニエル・クレイグはいい味出してました。ホンット悪そうなんだよね〜〜。

 思いがけない役でヒラリー・スワンクが出てます。彼女がほっぺたをひくつかせるのが、なかなか〜。で、髪を下すと美人さんです、相変わらず。

 この映画はしかし、アメリカの現実をちょこっと見せてくれるんです。ローガン家の人達は、要するにアメリカ社会の最下層。お兄さんはちょっと足が悪い、だけで工員をクビになっちゃう。弟はイラクに従軍して片腕をなくしちゃう、それを小ばかにされる。そういうのはかつてはベトナムでしたけど、イラクに変わったわけね。アメリカと戦争というのは、いつまでも縁が切れないんだなあ。
 一方、F1レーサーのような最上層の人達は、食事だのヨガだの、「自分を整えて〜〜」みたいなことにカネを注ぎ込む余裕があるわけだ。その対比が、映画の中で光ります。

 劇中で「カントリーロード」という有名な歌が歌われます。このお話はバージニア州が舞台で、それが関係するのだけど、この曲自体は「耳をすませば」にも出てきましたね。「耳をすませば」から察せられる英語の1番目の歌詞は、故郷を懐かしんでるようだけど、なんと、この歌には2番があるのだ。実はこの歌は、故郷が懐かしい、という歌じゃないんですよ。1次産業従事者の悲哀を歌う歌なんです。驚きました。

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2017/11/05 19:37:00|映画 は行
ブレードランナー2049
 この監督さんの「メッセージ」を見逃したのはつくづく残念〜〜。観たかったんですけど、当時咳がひどくて映画館で観る、のはヤバそう、という判断になっちゃって。
 こないだも咳が出てしょうがなかったんですけど、龍角散を飲んだら治った。前回もとっとと龍角散を飲んでりゃよかった・・・。

 さて、「ブレードランナー」という映画がありまして、その続編になります。「ブレードランナー」は1回だけ観た。この映画は公開された時は鳴かず飛ばずで、その後ビデオ化されてからものすごく評価が上がったという不思議な作品なんですよね。思い出してみると、えーとやっぱり映画館だったかなあ。。。復活上映&ファイナルカット版的なものだったような。。。
 当時、この映画の感想は「やたら雨が降るなあ」というもの。SF設定を借りたハードボイルドサスペンスと解釈した気がする。もっとも、SFというか、未来社会の設定がぶっ飛んでるし、「2つで十分ですよ」というおじさんが妙に印象強くて。。。
 今、渋谷を歩いたりすると、ビルに引っ付いてるスクリーンなんかが、まんま「ブレードランナー」だなと。映画のシーンが頭にこびりついたままになってるのだから、相当なもんです。

 で、この映画。前を知ったうえで観たほうが、多分分かると思う。「ブレードランナー」ってなんなのさ、なんですが、危険な場所に人の代わりに行くような任務に就かせる、一種のヒューマノイド型アンドロイドを「レプリンカント」という、そのレプリカントは人と同じ姿をしていて、人より優れた能力も持ってる、が、寿命は4年(だったっけ?)。このレプリカントが人に紛れ込んで逃げたり、反乱を起こしたりするから、それを狩り出す人間が「ブレードランナー」と呼ばれる賞金稼ぎ、というわけ。デッカードというブレードランナーが主人公で、これが前作。今作は、レプリカントを狩り出すのは警察官で、かつその警官自身もレプリカントなんですね。このレプリカントは寿命制限がかかっていない、が、作るのに手間暇かかるから、製造会社側は「繁殖」するタイプを製造したがっている。この辺がもう、歪んでますわね。
 ことの発端は、「繁殖」したらしいレプリカントが見つかった所から。その子供はどこにいるのか?という話がどんどん転がっていく、のですね。映像も凄いんですが(どこで撮影したんだ?)音がね、とにかく不快なんですよね。

 ところで、「ブレードランナー」の原作は、フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」。原作で語られている近未来の地球は超ド級の格差社会になってるんです。ボロボロで住めないから、ほぼ月にみんな移住しちゃってて、地球にいるのは「あえて地球に残っていられる」超セレブと「地球から出ることもできない」ド貧乏、となってる。超セレブは動物を飼うのがステータスなんです(動物もほぼ絶滅しちゃってるから)。貧乏人は自分も超セレブを気取りたい(地球なんかいつでも出ていけるけど、あえてそうしてないんだよ〜と見せたい)もんだから、動物を飼いたい、しかーし、飼えるわけないから、やむなく電気動物を飼うんです。電気動物は一見ホントの動物そっくりなんだけど、やっぱ時々故障する、それを直す修理屋が「獣医」として、「獣医の往診カー」そっくりの車に乗って現場に行くのだ。
 この映画に「生きてる馬いらんか?」って出てきたり、ミツバチや犬を見て「本物なのか?」といぶかしむ、あるいは、孤児院の惨状なんかは原作の裏設定が前提なんです。

 ということで、この映画もやたら雨が降るんですが・・・・・。原作の設定を踏襲して、かつ前作をしっかり受け継いだ正統派の続編だと思います。結局、主人公は大きな話には乗らず、小さな事に命を懸ける。そこはいいなあ、と。しかし、好き嫌いは分かれるだろうな〜〜。自分的には、サスペンスは前作に及ばない感じがするんですよ。どうなんでしょうか?
 あと、更に続編を作るのは、カンベンしてください。ただのアクション映画になり下がる可能性大だもの。

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前日譚 「ブレードランナー2022 ブラックアウト」

PS.この映画のストーリーなんですが、どこかデジャヴ感がありまして。なんだったっけ?やっと思い出したのが、萩尾望都さんの「マージナル」。率直に言って、「マージナル」の方が同じテーマのお話としては上です。「マージナル」を映画化できないものか?
上だと思う根拠。この映画は、結局ケンカして決着付けようぜ、みたいな話に落ちちゃってるんですよ。アメリカ映画の限界かなあ?「マージナル」はそうではない。未来を語る時、ケンカ抜きで先が開かれてる感じが上だと思うんです。