この監督さんの「メッセージ」を見逃したのはつくづく残念〜〜。観たかったんですけど、当時咳がひどくて映画館で観る、のはヤバそう、という判断になっちゃって。
こないだも咳が出てしょうがなかったんですけど、龍角散を飲んだら治った。前回もとっとと龍角散を飲んでりゃよかった・・・。
さて、「ブレードランナー」という映画がありまして、その続編になります。「ブレードランナー」は1回だけ観た。この映画は公開された時は鳴かず飛ばずで、その後ビデオ化されてからものすごく評価が上がったという不思議な作品なんですよね。思い出してみると、えーとやっぱり映画館だったかなあ。。。復活上映&ファイナルカット版的なものだったような。。。
当時、この映画の感想は「やたら雨が降るなあ」というもの。SF設定を借りたハードボイルドサスペンスと解釈した気がする。もっとも、SFというか、未来社会の設定がぶっ飛んでるし、「2つで十分ですよ」というおじさんが妙に印象強くて。。。
今、渋谷を歩いたりすると、ビルに引っ付いてるスクリーンなんかが、まんま「ブレードランナー」だなと。映画のシーンが頭にこびりついたままになってるのだから、相当なもんです。
で、この映画。前を知ったうえで観たほうが、多分分かると思う。「ブレードランナー」ってなんなのさ、なんですが、危険な場所に人の代わりに行くような任務に就かせる、一種のヒューマノイド型アンドロイドを「レプリンカント」という、そのレプリカントは人と同じ姿をしていて、人より優れた能力も持ってる、が、寿命は4年(だったっけ?)。このレプリカントが人に紛れ込んで逃げたり、反乱を起こしたりするから、それを狩り出す人間が「ブレードランナー」と呼ばれる賞金稼ぎ、というわけ。デッカードというブレードランナーが主人公で、これが前作。今作は、レプリカントを狩り出すのは警察官で、かつその警官自身もレプリカントなんですね。このレプリカントは寿命制限がかかっていない、が、作るのに手間暇かかるから、製造会社側は「繁殖」するタイプを製造したがっている。この辺がもう、歪んでますわね。
ことの発端は、「繁殖」したらしいレプリカントが見つかった所から。その子供はどこにいるのか?という話がどんどん転がっていく、のですね。映像も凄いんですが(どこで撮影したんだ?)音がね、とにかく不快なんですよね。
ところで、「ブレードランナー」の原作は、フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」。原作で語られている近未来の地球は超ド級の格差社会になってるんです。ボロボロで住めないから、ほぼ月にみんな移住しちゃってて、地球にいるのは「あえて地球に残っていられる」超セレブと「地球から出ることもできない」ド貧乏、となってる。超セレブは動物を飼うのがステータスなんです(動物もほぼ絶滅しちゃってるから)。貧乏人は自分も超セレブを気取りたい(地球なんかいつでも出ていけるけど、あえてそうしてないんだよ〜と見せたい)もんだから、動物を飼いたい、しかーし、飼えるわけないから、やむなく電気動物を飼うんです。電気動物は一見ホントの動物そっくりなんだけど、やっぱ時々故障する、それを直す修理屋が「獣医」として、「獣医の往診カー」そっくりの車に乗って現場に行くのだ。
この映画に「生きてる馬いらんか?」って出てきたり、ミツバチや犬を見て「本物なのか?」といぶかしむ、あるいは、孤児院の惨状なんかは原作の裏設定が前提なんです。
ということで、この映画もやたら雨が降るんですが・・・・・。原作の設定を踏襲して、かつ前作をしっかり受け継いだ正統派の続編だと思います。結局、主人公は大きな話には乗らず、小さな事に命を懸ける。そこはいいなあ、と。しかし、好き嫌いは分かれるだろうな〜〜。自分的には、サスペンスは前作に及ばない感じがするんですよ。どうなんでしょうか?
あと、更に続編を作るのは、カンベンしてください。ただのアクション映画になり下がる可能性大だもの。
公式サイト前日譚 「ブレードランナー2022 ブラックアウト」PS.この映画のストーリーなんですが、どこかデジャヴ感がありまして。なんだったっけ?やっと思い出したのが、萩尾望都さんの「マージナル」。率直に言って、「マージナル」の方が同じテーマのお話としては上です。「マージナル」を映画化できないものか?
上だと思う根拠。この映画は、結局ケンカして決着付けようぜ、みたいな話に落ちちゃってるんですよ。アメリカ映画の限界かなあ?「マージナル」はそうではない。未来を語る時、ケンカ抜きで先が開かれてる感じが上だと思うんです。