シネマ日乗

入間アイポットのユナイテッド・シネマ入間で観た映画の感想が中心になります(多分)。 ネタバレになってしまう可能性も・・・・・・。 その辺、ご留意ください。
 
2018/01/19 17:03:00|その他
クレオパトラ
 芸術監督の熊川哲也さんが毎日芸術賞特別賞を受賞されたとの記事を毎日新聞で読んで、とりあえず観てみようと。最終上映でなんとか間に合いました。

 Kバレエカンパニーは、熊川さん肝いりの私設バレエ団。熊川さんのお眼鏡にかなった人材で成り立っているわけで、とんでもないダンサーが揃っている。見つつ、なんとなく熊川さんの脳内を覗いているような気分になりました。

 このバレエですごいのは、ダンスはもちろん熊川さん振付による新作なのだが、実は音楽も"それ”向けの作品では本来ない、ということ。バレエは音楽と舞踊がきっちり噛み合ってダンサーのテクニックを見せたり、情感を見せたり、ストーリーも展開しなくちゃならない、複雑極まるものなのだが、それをすーべーてーオリジナルでやってのけてる。聴きなじんでいない音楽を使ってオリジナル作品、大きな賭けだったと思う。毎日芸術賞も当然か・・・。

  ダンスについては。例えばストラヴィンスキーの「火の鳥」では、ヒロインの火の鳥だけが、バレエの文法で踊り、他は全部民族舞踊、という構成で、火の鳥を際立たせる演出になっている。この作品では、その方法をあまり使っていない。後半は特にバレエダンスに徹していて、なのに、新しい感じがするのが不思議でした。
 
 まあね、バレエは、なかなか残酷な芸術だと思うのね。ダンサーの皆さまを見ていると、訓練とか努力とは全く関連性のない部分で役柄が決まる。背が低い人は、絶対王子役にはなれないとか。ので、熊川さんはよくやられていると思います。ダンサー間のせめぎ合いが大変だと思うから。

 P.S やっぱりこれは書いておいたほうがいいかな、という事を。熊川さんは「クレオパトラの女性力」とおっしゃってたんだけど、見てて、え〜これがあ〜〜〜〜〜????という感じなんです。クレオパトラって人は王妃ではなくて、王でしょ。王たるもの、簡単に男とくっついたり、ピイピイ泣いたり、できないし、しないでしょ。男をメロメロにするのが「女性力」という風に見えて、やんなってました。要するに熊川さんの周りの女どもがそんな連中ばっかってこと?あーあ、やっぱり、日本の男が女について思いつくのってこんなもんか。と思ってさ、どうしても物語には入り込めなかった。そこがつまらんのです。熊川さん、もっとマトモな女を探して、そういう人を描いてくださいな。







2018/01/11 23:09:00|映画 さ行
スター・ウォーズ 最後のジェダイ
 「ダークサイド・バージョン」で観る。疲れました〜〜。その理由は4DXではなく、緊迫した会話劇のせいだ。宇宙が舞台なのに、演劇を間近で見ているみたいだった。

 話は考えてみるとシンプルなんです。抵抗する側は策を講じることもろくにできないまま撤退に次ぐ撤退。フォースを操るとされているジェダイの最後の一人である、ルークさんは全然やる気なし、というか、自分の人生に絶望していて、うちひしがれている。
 レイの介入で、じゃあそれが大きく変化するのかというと、全然そういうことはない。ますます混乱・混沌としてきちゃって。

 それにしても、ルーク・スカイウオーカーという人の人生は、なぜ、かくもつらいものになってしまったのだろうか?

 で、見ていると段々変な気分になってくるのだ。結局、正義とは何なのか?抵抗軍はどんどん減る、逃げ出そうとするやつも出てくる、「いい悪い」だけでは世の中測れないもんなあ・・・・・・。例えば北朝鮮と韓国。どっちが安定しているかというと、残念ながらどうやら北朝鮮らしいのだ。ああいう独裁型政治がいいか悪いか、ではなく、朝鮮民族、というタイプの人達については、そういう統治法の方が「向いている」ということなのだろうか?向き不向きや統治のしやすさ等々・・・・・。「自由」というのは、そもそも「統治」とは相性が極めて悪い。抵抗軍の人達が統治をまかなうとした時に、そのビジョンがどうも見えないのも気になる。それじゃあ、誰もついてはこれないもの。

 一つ、やや救われた気分になったのは。ルークさんが最後になした仕事は、意味は小さいかもしれないが、カイロ・レンにとっては極めて大きかったという事だ。親殺しを2回させてはならない、絶対に。彼の人生が、そのことだけでも報われた、といえればよかったの、かなあ。。。

 この映画の混沌ぶりは、なんとなくジブリの「もののけ姫」に似ています。結論を出せず、登場人物のすべてが暴走するさまがね。

 話については。どこか「かもめのジョナサン」の最終章を思わせる。初版出版から数十年ぶりに出た「かもめのジョナサン」の最終章は、極めてアイロニカルな結末になった、らしい。。。。読んではいないが、多分同じような感じなんじゃないかしら。う〜〜ん。。。。

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2018/01/01 1:38:57|その他
今年のまとめ 2017
 えーと来年になってますが。

 映画館で映画を観る、というのはどういう事なんだろう?というのがだんだんシビアになってきた感じ。 ネットフリックスとかが堂々と映画館で宣伝するからさ。

映画館のワクワク感って、でも、独特ですよね。ネット映画じゃあ、「本日封切りでっせ〜〜〜」というワクワク感はないでしょうなあ。

 ということで、映画館で観ることにこだわって頑張って観ましょう。

 







2017/12/29 20:29:00|映画 た行
探偵はBarにいる 3
 普通は熱量が下がっちゃうんですけどねえ、続々編となると。そうならない所がすごいです。その理由は、探偵の大泉洋さんと高田役の松田龍平君のバディー感もいいし、札幌のススキノという、ぱっとした胡散臭い場所が舞台ということもあるし、やっぱり脚本がいいって事でしょうか。

 今回のヒロインは北川景子さんという文句なしの美女で、なんとなく薄幸そうな感じが生きてますね。しかし、芯がきっちりある。このシリーズに出てくるヒロインは皆、ヤバい状況の中で生きているけど、芯が全くぶれない、という点でかっこいい人ばかりですが、今回もそう。こういう女、日本の男どもには評判悪いでしょうなあ。

 松田龍平君は「まほろ駅前狂騒曲」でも似た感じの人を演じてましたね。どっちもどこか抜けてる。こっちの映画ではやたら腕っぷしの強い人で、実は北大の農学部助手という設定が、なんとなく親しみがありまして。バディの相方をやらせるとうまいなあ、と。

 ということで、今回もやたら雪が降るハードボイルドサスペンスになってます。ススキノの悪はホントーに悪そうだ〜〜。で、降ってるのが雨じゃなくて雪だから、暗い話なんだけど、なんとなく雰囲気が明るいんですよ。この映画のシリーズ通しての特徴だと思う。

 そうそう、日本ハムファイターズの栗山監督さんと札幌市市長さんが特別出演してます。結構重要な役どころ、と言えないこともない。エキストラも多い多い。札幌市の人達がこの映画に協力しまくってるんですね。熱量の大きさが、そこからもうかがえます。

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2017/12/26 10:55:00|その他
陸王
 視聴率が高かっただけに、このドラマがはらんでいる(と感じた)問題点が全く無視されているのが心配です。以下、それを書こうかと。

 経営者をやっていると、昨今のプロダクト展開は本当に難しいと思う。ほぼ毎日のように新製品はできる、それを問屋さんが持ってきたり、チラシを置いていったり、技術資料を配ったり、時にはメーカーや零細だと社長さん自らが来て売り込む。で、自分がその中で採用する製品は、実は百分の1以下。当院については、自分より患者さんの目がキビシイ。効かなけりゃ売れない。
 でも、じゃあ、よい製品なら売れるのか?これが難しい。今までの慣習から脱却できないとか、規則に触れるとか。今、別企業で馬の「ハミを使わない頭絡」という奴を販売している。馬はハミなんか使わないほうが、全然落ち着くし、ちゃんと動いてくれるのだが、競技会の規則で「ハミを使うべし」なんて書いてあるだけで、もう売ることが難しくなってしまう。規則を変える?そりゃ結構ですが、国際競技会からの規則だからねえ。。。。バカらしいが。

 で、今回の「足袋型シューズ」ですが。製品のコンセプトもよし、履き心地とかもよし、競技会で結果も出る、競技規則に引っかかることもない、のに、売れないのはなぜ?宣伝がダメだから。ドラマを見ていると、宣伝があまりにも「昭和」なので愕然。今なら、茂木君があれだけの走りをして、その彼がヘンな靴を履いている、どこで騒ぎになるかというとツイッターです。目ざとい人たちがハッシュタグをつけて盛り上がる、そこにこはぜ屋さんがちょこっと「実は・・・」ってやって、アマゾンに誘導すれば、簡単に売れるし、知名度も上がる。評価だってガンガン書かれる、それを拾って製品改良もしやすい。販売数とかの資料も簡単に正確なのが出るから、それを資料にまとめて、運動靴屋を回ればいいじゃない。資料もない製品を置く奴なんかいませんよ。
 茂木君も、このクラスの競技者なら、当たり前にSNSアカウントは持ってるし、フォロワーも多いはず。そっちで宣伝すりゃいいじゃない。自分はプロテニスプレーヤーの添田君や内山君やらのファンで、フォローしてますけど、彼らがそこで「試合中これ食べてます」とか「ラケットはこのメーカーで」なーんてやってくれると、ついつい探してしまう。雑誌なんかより、今はこっちの方がはるかに影響力が強いのにさあ。こはぜ屋の社長はアタマ悪いなあ〜〜、とイライラしちゃって。ネットの影響力を無視している点で、このドラマはダメなんですよ。

 以前の「下町ロケット」との違いはその辺で、「下町ロケット」のプロダクトは極めて特殊だから、ネットを無視した話でよかったと思う。でも、「陸王」のような、一般向けの数千〜万円くらいの製品の話では、ネットを抜きにした話は成り立たないと思う。

 あとねえ、銀行とか融資について。銀行のモデルは「埼玉りそな銀行」かい?と思ってたんですが、銀行さんは、ああいう描かれ方をどう見るんでしょうか?銀行=悪役→金=悪役っていう刷り込みは危険です。
 こはぜ屋の社長はこの件でも頭が悪くて、銀行が貸さないなら、他を当たれよ、と思って。自分が病院をつくった時、銀行さんには相手にされなかったので、即国民金融公庫に頼みました。貸してくれましたよ。国金は、事業計画がしっかりしてれば大概貸してくれます。事業計画書も書式があって、これを埋められなけりゃ、起業なんかそもそも無理だろうなー、と思った位。今はさらに、国の補助金・助成金・特別融資制度、なんでもある。そういうのを調べなさいよ。その手の情報は、実は商工会にある。このドラマ、こうした情報の入手先が狭すぎ、お粗末すぎなんです。異業種とのコラボだって、商工会ルートでいくらでも探せるし。そういうのをどうしてドラマで紹介しないのか?

 業務提携の話もタマゲタ。フェリックスの契約内容は破格すぎ。あんた、慈善事業やってんの?と言いたくなったぞ。仕事に慈善は禁物です。

 悪役をやっつけてスカッというのはいいけど、それに至る内容がめちゃくちゃで、自営業者としてはなんら共感できず。残業や「とにかく頑張る」みたいなのを無条件に肯定しているのもおかしい。仕事にむやみに「頑張った」ってしょーがないんです。給料以上の仕事はするべきじゃない。

 他にも、例えば借金取りが暴力、即ケーサツ呼べよ、と。傷害事件でしょ。大体、まともな借金取りなら、暴力なんぞよりか金をちょっとでもむしり取れる方法を取るはず。なにやってんだか?シルクレイ製造機が火災、そりゃ設計ミスでしょ。そんな危険な機械、おっかなくて。その設計を抜本的に見直して、安くする見積もりをさせる、のが筋じゃない?五千万で造れると思ったんだけど。

 まあそんなこんなで、ドラマは盛り上がったと思うんですが(竹ノ内君をはじめとしたランナー役の方がたの頑張りはすごいと思いました。体をつくってましたもんね)、その内容は残念至極。あと、悪役を「悪人面」で揃えるのはどうかと思いますよ。「顔ハラ」にならないのか?とヒヤヒヤしてました。

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