シネマ日乗

入間アイポットのユナイテッド・シネマ入間で観た映画の感想が中心になります(多分)。 ネタバレになってしまう可能性も・・・・・・。 その辺、ご留意ください。
 
2018/03/21 1:00:52|映画 か行
今夜、ロマンス劇場で
 これはいい映画です。最終回にやっとこさ観にいけました。最終回なのに人多し。いい作品の証拠といえよう。観にいってよかった〜〜。

 プロットは、いい映画になる鉄板、というもの。つまり「映画っていいよね」というのと、映画の主人公が現実社会に出てきちゃってさあ大変、というのと。映画の主人公が現実に出てきちゃって、というの、有名なのは「カイロの紫のバラ」ですよね。「ラスト・アクション・ヒーロー」もそうか。「映画っていいよね」の場合は、「アメリカの夜」や「ニュー・シネマ・パラダイス」とか。そんないろんな映画の好きなシーンが、観ていると、何となく頭に浮かぶのだ。しかし、この映画、結末が、こう来たかあ〜〜〜!というあたりが、いいです。相当考えて創ったんだと思う。昭和の映画の栄枯盛衰がさりげなく描き込まれているのもいい。

 綾瀬はるかさんが素敵です。昭和のレトロファッションが凄く似合ってて可愛らしい。で、いかにも映画の中の人風な、どこか現実離れしている感じも。相手を務める坂口健太郎君もいいです。一途な感じがいいなあ〜〜、と。
 で、びっくりしたのが加藤剛さん。うわっこの役かあ〜という、重要な役どころです。北村一輝さんもいい。要するにミスキャストがないんですね。

 この映画は衣装もそうだが、美術が優れている。大事な舞台の一つ「ロマンス劇場」なる小映画館が実に可愛らしくて。色付きのブロックガラスなんかしゃれててセンスがいいなあと。こういう映画館でデートなんか、いいですよね。そう、この映画はしっかりした恋愛映画です。究極の純愛もの、ともいえる。古めかしいお話だけど、映画だもの、別にドロドロ関係なんか見せる必要ないですよね。

 主人公の男の子がうっとり見ていた映画は白黒なので、それがカラーに変化するのが、とても劇的で見事。こういう演出は「ベルリン・天使の詩」にありましたが、より美しく感じる。ロケした場所もね、よくまあ見つけたなあ、というようなきれいな場所ばかりなんですよ。あしかがフラワーパークは、確かに絵になる場所ですが、ああいう風に撮られるといいです〜〜。

 観ながらふと、「ラスト・アクション・ヒーロー」の1シーンを思い出しちゃいました。主人公の男の子に連れられて、映画から出てきちゃったシュワちゃんが彼の家に行くのだが、その家はNYの低所得者ってこんなひどいとこに住んでるのか〜〜、という極狭アパート。シュワちゃんが椅子に座ると、空間がなくなっちゃうんですよ。そこでシュワちゃんは男の子のお母さんに会う。シングルマザーの彼女の唯一の贅沢が、朝、モーツアルトを聴きながらご飯を食べること。シュワちゃんはそれにぐらっと来るんですよね。でも、映画の中の人物は、結局は映画に帰らなくちゃならない。
 しかし、この映画ではどうなるでしょうか?教えませんよ〜〜。

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P.S この映画は入れ子構造になってて、劇中映画に本当の映画が出てきます。「カサブランカ」とか、タマラン!!脚本も実にしゃれてていいと思います。あと、オリジナルの映画もあるのだけどおそらく、「当時の技術」で撮影している。こういうの、意外と難しいはずです。細部に手抜きがない、のが凄いと思います。







2018/03/04 21:48:03|映画 か行
空海ーKUKAI−美しき王妃の謎
 お断りしておきますが、空海さんは、この映画の中で大したことはしません。白楽天もそう。阿倍仲麻呂さんも。これは中国での題名「妖猫伝」がドンピシャの題名なのではないでしょうか?つまり、猫のお話なんです。

 猫の復讐譚、といえばまあいえる。なぜ猫が?というのは、後半あたりで段々分かってきます。それまでは、セットは凄いがどうなんでしょ?という感じだったんだけども、そのあたりから引き込まれました。

 日本語の題名にさらにケチをつけたくなるんだけども、楊貴妃は、別に「王妃」ではないでしょ。彼女はそもそも側室以下の人で、なのに寵愛されたもんだからトラブルが起きる、というわけで。

 空海という人を中心に考えると、このお話は、大青龍寺という密教寺院に、ここは国外の輩なんぞ一切受け入れない寺だったんだけど、空海が初めて入るのを許された、その顛末を描いてます。白楽天を中心に考えると、白楽天が「長恨歌」を書くに至った経緯、阿倍仲麻呂を中心にすると、なぜ、この人が日本に帰国しなかったのか、が描かれている。つまり、お話のスケールが大きいんですね。で、それぞれの伏線もうまい事収拾してるし。その辺は、原作の力じゃないかと思うんだけど。

 それにしても、楊貴妃は悲惨な運命をたどった方で、どうしてこうなっちゃうかなあ、と。そりゃあ、復讐もしたくなる、というもの。その辺の遠慮のなさ加減は、やっぱり原作のものだと思います。夢枕獏って人は、「陰陽師」でも結構えげつない話を書いてるからなあ・・・・・。

 チェン・カイコーはねえ、この人の「覇王別姫」がどうしても好きになれない映画の一つで、いい印象がなくて。今回はどうでしょうか・・・・?うーん、カメラワークの角度がかなり振れるので、酔いそうになりました。セットは素晴らしいです。中国はお金持ちだ。。。。そんなに観たいとも思ってなかった映画だから。。。どうしてもピンときませんでした。やっぱ、しょーがなくて観る、というのはだめだ。今後はともかく一人で観ようと思います。

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2018/02/12 22:13:00|映画 ま行
マンハント
 高倉健の傑作映画にして、中国で大ヒットの邦画「君よ憤怒の河を渉れ」のなんとリメイク作です。主演は福山雅治&チャン・ハンユー。監督はジョン・ウー。オール日本ロケ、うわ〜〜ここまでやるかあ〜〜〜〜!!!というアクションの連続で、たまらんかった〜〜!!日本でここまでのアクションを撮影できる、いや〜〜、変わりました〜〜。

 舞台は大阪。あー「ブラックレイン」も同じでしたね。うーん、海外の監督さんが撮ると、見慣れた「日本」的な光景がぜーんぜん違って見えてきちゃう、というの、本当に面白い。

 国際的な製薬会社があって、そこの顧問弁護士さんが主人公。この仕事、そろそろ降りようかなあ、という時に事件に巻き込まれて、ひたすら逃亡する羽目になる。大阪の警察が全力で追っかける、その一人が福山さん演ずる矢村聡という刑事さん。しかし、事件を探るうちに、なんか変だ、と気づく。そこからは怒涛の展開です。リメイクだけど、舞台の時制は今なので、その辺の翻案をかなりうまくやってます。とにかくハラハラする〜〜。

 まあね、法治国家(ということになってる)日本で、あれだけ派手なドンパチはないよ〜とか、細かいことは気にしちゃイケマセン、がんがんもっとやれ〜〜〜!!と興奮して観てました。話も、多分こうだろうなあ、というのがその通り、となるんだけど、もつれた糸のほぐれ方がかなり独特です。

 あと、ジョン・ウーといえば、白鳩。ちゃんと出てきます。なぜか、馬まで。あと、ジョン・ウーのお嬢さんが出演してたんだー。タマゲタ。そう、この映画に出演している俳優さんは、もちろん誰もが知ってる人もいるけれど、そうじゃない人も結構重要な役で出てきます。恐らくは、厳しいオーディション経由ではないか。演技をきちんとできる人達が集まった感じです。かっこいいのがハ・ジゥオン。「奇皇后」の主演をした方ですね。あと、坂口秀夫さん。思いがけないアクションのキレで、ただもんじゃないと思ったら、本当にそういう人でした。オファーした監督さんの目が冴えています!

 ということで、原作小説や、高倉健版もめっさ観たくなりました。どこかでリバイバルやってくれないかしら?

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2018/01/28 22:38:00|映画 か行
キングスマン ゴールデンサークル
 全く期待してなかったんですけどね。いやあオドロキ!!そうでもなかった、というか、相当面白いです。

 話はぶっ飛んでます。前作の登場人物の大半をお話のほぼ初っ端で吹っ飛ばしちゃって退場させちゃう、乱暴な・・・・。
 で、孤立無援になった主人公のお兄ちゃんがたどり着くのがアメリカのケンタッキー。そこのウイスキー醸造所が実は実は〜〜、となってるんですけど、そこでもまた話が二転三転します。その辺、前作より、全然テンポ感がいんですね。あっち行ったりこっち行ったり、なんか世界がやたら狭く感じるぞ。そのあたりは007に似てますね。

 悪い奴が麻薬組織なんだけど、その女ボスが売りさばいてる麻薬にちょっと仕掛けをして、あちこちで大騒動になる、それをどうやって食い止めるか、という話に一応なってはいるんですけどね・・・・・。

 なんとなく皮肉だなあと思うのは。麻薬って、アメリカでは撲滅を諦め始めてる。合法的に麻薬を使っていいですよ、とする州が増えてきちゃって。ぎゅうぎゅう締め付けても埒があかないから、発想を転換しつつあるわけ。この映画、キングスマンと同様の仕事をしてるアメリカの「ステイツマン」という組織は酒を売りさばいて資金源にしているらしい。となると、麻薬を撲滅できても、アル中は増えるじゃないか〜〜。納得いかないんですけど。

 なんかね、日本でも、マスコミは「酒造り」についての記事が甘いですよね。酒=アル中製造機なんだがな。一生懸命作って、という、なんだかクラフトマンシップ的なものを強調した記事づくりになってるでしょ。これ、おかしいよ。そういう食品はもっと他にもいっぱいあるのにさ、醤油だの味噌だのは取り上げないじゃない、なぜですかね?

 えーとこの映画のビックリ!について。なーんと、エルトン・ジョン御代がご本人役で出演されております!!だけじゃなく、熱唱&熱演、なんと、アクションまで披露しておりやす。結構大笑いです。この映画のコメディは前作よりうんと切れ味がいいです。ので、割と長めなんだけど、あまり長さを感じなかった。あと、まーた「カントリー・ロード」が出てきました。この歌は、アメリカ人にとって、日本の「故郷」みたいな歌なんでしょうか?

 で最後はお兄ちゃんがご結婚、めでたしめでたし、という、なんか昔話のラストみたいになりました。エルトン・ジョンさん、最後まで出てくるし。いかれぶりがこの映画のNo.1かも〜〜。あと、ハル・ベリー。なんで彼女、いつまでもお綺麗なの?分からん〜〜。

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2018/01/22 23:40:00|映画 やらわ行
レイン・オブ・アサシン
 大雪の暇つぶしに観たんだけど、かなり面白かった。こういう女がいいんですよ!!

 主役はミシェル・ヨー。「ポリスストーリー3」の捜査官とか、「グリーン・ディスティニー」の剣客を演じた方です。物凄く体が切れる人で、アクションも巧い。彼女が演じるのは剣の達人で、組織の暗殺者なんだけど、そこから逃げて、普通の人として生きることを選択した人。勿論、それが組織にばれて、斬った張ったのアクションが続きますが、色々とお話にひねりがあって、先が読みにくいんですね。

 彼女に惚れ込んで、一緒に生きようとする男が出てきます。ビンボーで甲斐性なし、という感じの人なんだけど、この人も実は色々ある。この男との馴れ初めのシーンが楽しくて、笑ってしまった。この手の映画でこういうシーンはあまり出てこないのではないかな。世話焼きオバサンが見合いを仕組むのも面白かったな。その店にいる男ども全員から金取って、見合いさせようなんてあたりが、さすがのしたたかさだよ〜〜。
 
 監督は、共同監督ではあるがジョン・ウー。この人の映画はあまり好きになれないんだけど、この話はよかったです。男と女がちょっとずつ近づいて、お互いの正体が分かった時に、それまで二人で培ってきた時間が生きてくる、感じがね。アクション映画なんだけど、その辺が雑になってないので、見ごたえがありました。

P.S 衣装をワダ エミさんが担当してます。なかなか衣装がいいなあと思ったらそうだった。ミシェル・ヨーの魅力が衣装でひき立っているんですね。