シネマ日乗

入間アイポットのユナイテッド・シネマ入間で観た映画の感想が中心になります(多分)。 ネタバレになってしまう可能性も・・・・・・。 その辺、ご留意ください。
 
2018/12/12 12:08:00|映画 な行
日々是好日
 樹木希林さんの遺作。そういえば、加藤剛さんの遺作が「今夜、ロマンス劇場で」でしたね・・・・・。

  お茶をなんとなく習い始めて、なんとなく続いて、あらら、20年以上たっちゃった、というお話です。もちろん、その間に色々あるわけですが。

 出てくる茶道は表千家の方。他の流派はまた、色々所作に違いもあるんだろうと思うんですが。お茶と言えば、入間市=お茶なので、入間市民は観たほうが得する映画のような感じがします。くそー、入間市の子供らは茶道を学校で習ってるんだよね。うらやましい・・・・。
 茶道は四季折々の景色を汲んだ作法が多そうなんだけど、その景色がほぼ、お茶の先生のおうちの庭に限定されている、けど、それが非常に美しく撮られています。日本庭園(というところまでつくり込まれている庭ではないけど)の良さがよく分かる。最近流行りのイングリッシュガーデンじゃあ、こういう雰囲気はなかなか出せないよね。NHKとかが、もちっと日本庭園についての情報だのつくり方だの出してくれればいいのに、とも思う。

 自分はヴァイオリンを大学生の時に始めて(オーケストラに入ったもんだから)、ずるずる〜〜、あれれ、30年たってまだ弾いてるわい、という人間なので(ブランク期間が20年くらいありますけど)こういう話は、分かる。続けたもん勝ちのところがあるんですよ。ブランクがあった理由は、最初に教わったヴァイオリンの先生というのがしょうもない奴で、今でいうパワハラにげんなりして、「わざわざ金払って怒鳴られに行くなんて、バカらしい」と思ってやめちゃった、というのと、それ以来、先生につくのが怖いし嫌だし、というのと、教わったことが、てんで間違ってたんじゃないか、という疑いと、まあ、そんなこんなで独りであれこれやってて、それにちょっと限界が来て、自分的にはかーなーりー思い切ってまた先生に習うことにして、ダメだと思ったら、即切ろう、とレッスンに行って、幸いそこから2年以上続いてて、弾けるわけないと思ってた曲に手が届きつつある。仕事じゃなくて、習い事として続けていると、無心でやってれば、それなりにどこかに到達するものなんじゃないかと思う。無心というのが難しいんですけどね。

 で、上達とは何か、が語られてますが、結局上達=無駄な動きがなくなること、らしい。これは多分、どんなものにも通じることじゃないかと。茶道は、そこんとこを究極突き詰めて、型を叩き込む、んでしょう。で、型が入ったところで、その人なりのなにかが醸し出されてくる、ということか。なにか、に生きてりゃ色々あるさあ、というのが影響する、そういうお話なんです。

 日本人は、型に当てはめて、そこから美を紡ぎだす、タイプの芸事に秀でる人が多いよねえ。ヴァイオリンみたいな楽器・バレエ・フィギュアスケートなんかもそうか。こういう映画を観るとなんとなく納得してしまう。

 映画の中で、フェリーニの「道」の話が出てきます。この映画、自分も最初に見たのは中学生だったか、主人公と似ているので、共感しちゃいました。もっとも、「道」については、改めて観直した時、あまり感心しなかったんだけど。そこが違うか。

公式サイト 

P.S 茶道といえば、お茶道具。「なんでも鑑定団」」でおなじみですけど、この映画を観てて、うわ〜〜、金かかりそう、とつまんないことを考えてしまった。着物でも道具でも、季節ごとに揃えてとなると、えらいことになりそうだ・・・・。これ、茶道を習うにあたって、かなりハードルを上げてると思います。







2018/12/05 21:47:00|映画 さ行
推手 Pushing hands
 アン・リーの父親3部作、最初に観たのは「ウエディング・バンケット」、次が邦題は「恋人たちの食卓」なんだけど、自分は原題の「飲食男女」がすごくしっくりくる、で、この「推手」が最後で、これだけ映画館で観てない。最初はNHKBS、今回はGYAOの無料映画で、2回目。粗筋はそれなりに覚えてたつもりだったんですが・・・・。やっぱり、いい映画って、久しぶりに観ると様々追加で考えさせられる。

 今は自分が実際に太極拳をやっているから、推手とはなにか、が一応分かっている。太極拳は、1人でやるものは色んな型の連続で、これがラン・シャン演ずるお父さんが最初のシーンでやってる奴。「套路」と呼ばれてますけど。32式とか24式の意味は、型が32あったり24あったりするのを指す。そこらへんでやってる「太極拳」と呼ばれてるものは、基本的にこれ。対して推手とは、二人組で演ずる組手のようなもの。空手のような実戦的なものではない、のがミソで、この映画のテーマでもある。以前観たときは太極拳やってなかったので、この辺が実はちょっとピンときてなかったんですね。

 太極拳の達人のお父さんは中国に住んでたんだけど、いきなりアメリカで息子夫婦と同居し始めて、しかし息子は家にいないから、嫁さんと軋轢が起こる、登場人物は多くないので、じっくり話が進みます。父親3部作は、この映画と2作目の「ウエディング・バンケット」が父&息子、3作目の「飲食男女」が父&娘という組み合わせで、その周辺に起こる波風を描くのだけど、起こるもめ事にはそれなりに色々事情や裏話があって、今回は、その辺をしっかり理解して観れたのでよかったかな。

 で、今。こないだBSでやってた話。上海親子戦争。親が子供に全財産を巻き上げられる、という恐ろしいお話をやってました。上海は只今再開発中で、そのために昔の家を取り壊す、時に市が渡す立ち退き補償料が狙われるんだそうです。この映画のキモは、親は大事にするもんだ、という息子側の価値観が揺さぶられる点なのだけど、1991年製作のこの映画から、30年弱程度で中国でも親子関係はここまで変わっちゃったのね、という感慨があります。まあね、日本でも相続関係は、まことにえげつなくなってる昨今だからなあ。。。。

 改めて、ラン・シャンさん、いいです。亡くなられて久しいが・・・。







2018/12/02 20:08:00|映画 か行
聲の形
 この映画はEテレで放映されたんですが、Eテレでアニメ映画を丸々1本上映、かつ、すぐに再放送、というのは尋常ではない、ということで、再放送を録画。なかなか観るきっかけがなくて、今日ようやく観れました。

 うーん、どうなんだろう。すごく嫌な場所をえぐられたなあ、と。こういう話を観ると、どうしても、自分の小中学生時代を思い出しちゃうわけです。全く同じような出来事やら事件やら起きて、で、はっきり言って、そんなの、自分の血肉になんかちっともなってない。あのどんよりとした日々は葬り去りたい。そういう意味で、この映画は「きれいごと」じゃないか、と思っちゃうんです。

 現実には、めちゃいじめる立場にあった奴って、そんな事実をけろっと忘れて今頃は社会の中核にいるんですよね。だから、企業でもいじめがはびこる。この映画の主人公の男の子みたいに真に受けて悩むなんてことはしていないはず、ですよ。

 で、そういう小学生〜中学生時代を何とかやり過ごした自分としては、こういう映画を見ると「あーガッコなんかもうオワコンじゃない」という結論になっちゃう。自分がガッコと関わらなくなって30年以上経過、で、相変わらず同じような問題が繰り返されてる、のか、というのをこの映画に教えられたわけですけども、その理由は、学校という組織というか、システムに抜本的な問題があるから。どういう問題かというと、要は、特に理由もなく同じ世代の子供を一か所に詰め込んで、毎日毎日ぎっちぎちで生活させる、その距離感がよくない。組織として無理筋なんですよ、そもそも。
 例えば、男って、バカで、アホたれなのに対して女の子は、すでにこまっしゃくれてる、言語能力が1年くらい違うんです。ので、男は女より1年遅れで小学校に入学させた方がいい。これは成長スピードの差という生物学的な話で、別に差別でも何でもないんだけど、こんなことを文科省に提案したら、役人が大爆発するでしょ。なぜ?共学にするなら、この位の配慮をしないと、この映画に出てくるような話はいついつまでも起きます。教師で、そういうことを理解したうえで指導してる人っているのか?

 なんというか、子供時代くらい、のびのび自由に、のんきに暮らさせてやっちゃダメなの?嫌いな奴、相性が悪い奴と折り合いをつける方法なんか、子供の時期に身に着けさせる必要があるの?そんなの、距離感が理解できるようになる15歳以降で十分じゃないですか。

 最近よく耳にする「8050問題」。50世代は自分の世代だからよく分かるのだが、我々の世代での、ガッコのいじめって本当に凄まじかったんですよ。人生の初めに人間に対する不信を植えつけたり、対人関係に自信を持てなくしちゃった、のは他ならぬ学校と親だ。今の50問題当事者は人生かけて、それに復讐しているといってもいい。そんなことにエネルギーを費やさせている「教育」の結果ってなんなんだ?責任者、出てこい!!

公式サイト







2018/10/31 15:06:01|映画 か行
カメラを止めるな!
 いや〜〜めっちゃくっちゃ面白ーい!!映画、まだまだ捨てたもんじゃないっすよ。

 カメラを回し続ける「ノンストップ」の技法は最近多いですね。「バードマン」は、それを究極突き詰めた映画でした。この映画もその技法をうまく使っています。ただねえ、手持ちカメラがやたらぶれるので。覚悟はしてたんだけど、やっぱり酔ってしまった。観に行く場合は、事前に酔い止めを飲んでいった方がいいかもです。

 役者さん達は、無名の人ばかりですが、相当な実力者じゃないかなあ。寸分たがわぬ演技を繰り返すってすごいなあ・・・・。

 でね、要するにこの映画って「映画っていいよね」というテーマなんです。「アメリカの夜」の変形、ともいえる。粗削りだけど、そういう「映画という表現に対する信頼感」を強く感じました。映画というのは、映像表現のスペシャリストが集合して作り上げるものでしょ。そこんとこがユーチューブに山ほどある「動画」とは全くレベルが違う。映画でないとできない、という映画、もっとあってほしいと思わされました。

公式サイト







2018/10/26 14:26:29|映画 さ行
スカイスクレイパー
 米国製香港映画!!という稀有な作品です。香港ハードアクションを久しぶりにガンガン見せていただきまして、大変楽しかった!!

 香港映画になっちゃう理由は単純で、舞台が香港だから。そこに今までのビルなんか吹っ飛ぶような超々高層ビルを香港の大金持ちが建てました。そのビルのセキュリティマネジメント責任者になったウィルさんは、ご家族といっしょにビル管理の仕事を始めようとした、矢先にあれこれ事件が起こります。そこからは怒涛のドンパチが続く続く〜〜〜!!悪い奴ら・ウィルさんとそのご家族・香港警察・報道陣・野次馬、とまあ、色んな人達がわらわらするんですけど、話は割とスッキリ明快になってるので、ついていきやすいです。香港警察がさあ、懐かし〜!!というか、ここはジャッキー・チェン様にご参加いただきたかった!!主人公はかつてFBIの人で、舞台のビルについては、セキュリティマネジメント担当という立場上、めちゃくちゃ詳しい、というのがミソになっています。

  雰囲気は香港ハードアクションのテイストが濃厚、だけじゃなく、この映画には、他の映画の名シーンがアレンジされて出てきます。結構笑っちゃったのは、「ミッション・インポッシブル」のトム・クルーズがドバイの高層ビルでやったアクションの変形。出てくるんじゃないかと思ってたけど、やっぱり〜。しかーし、それを衆人環視の中でやるもんだから、野次馬が下で大騒ぎする。面白いなあ〜〜。しかし、もっとたまげたのは、「燃えよドラゴン」の超有名なシーンをリメイクしたようなアクション。あの鏡のシーンはどこかの映画でリブートしてもらえないものかと常々思ってましたが、やっと見つけたぞ〜〜!!

 この映画、脚本が凄いと思ったんですが、あれこれちょっとした伏線があって、なんでもかんでもうまい具合に回収されるんです。ビルについても、ニュースという形で構造等をざっと紹介してて、分かりやすいし。で、わき役だけども、香港警察、いい味出してました。主人公がハンディキャッパーで黒人、というのもいい。今までのアメリカアクション映画ではなかった設定ですよね。障碍を持つことになった由来もちゃんと描かれてるし、それが奥さんとのなれそめでもある。巧いと思います。傑作じゃないでしょうか。

公式サイト

P.S 日本でこういうアクション、つくるならやっぱりスカイツリーか東京タワーかなあ。ぜひ、つくってもらいたいです。