岩合光昭さんの写真展を、今、狭山市博物館でやってます。それを観た後にこの映画。カメラマンが映画監督さんって、大丈夫かなあとやや不安もありましたが。あと、主演を務められた志の輔師匠。実は志の輔師匠を観たくて行ったようなもの、ではありました。
しかし、不安は杞憂でございましたね。そういえば、「世界猫歩き」も撮影されてるんだもの、動く映像を撮るのも隙がない。猫の魅力的な体の動きを捉えたシーンがあちこちに出てきて、よくまあ撮れたもんだと。人のドラマパートはどうかというと、どのシーンにも、なんとなく猫が映り込んでるんです。そこが面白い。猫0のシーンがほぼなかったんじゃないかな。
志の輔師匠は、普段は落語で複数の人物を上半身だけで演じ分ける、という神業チックなことをおやりになってるわけですが、この映画では当たり前だけど全身で一人を演じる、勝手が違ってたと思うんですが、さすがといえよう。周りの老人軍団は大俳優軍団でもありまして、大変だったと思うんですけども、そこは猫がうまい事緩衝材になってたかも。
実在の猫だらけの島(確か佐久島?)に暮らしている年寄りと猫の話。まあね、獣医としては、色々くちばしを挟みたくなるわけよ。猫を外に出して飼っちゃいけません、とか。ただねえ、日本の伝統的な田舎のおうちって引き戸だらけで、猫を家の中に押し込めておける構造になってないから。話はゆるゆる流れていきます(大体1年ね)が、勿論色々事件が起こる。なんというか「東京物語」の別バージョンととらえることもできなくもないなあと思いつつ観てました。
銀胡蝶さんと小林薫さんのエピソードがなかなかナイス。小林さんは巧いなあ・・・・・。あと、久しぶりに殿、じゃない、柴咲コウさんを拝見できてよかったです。やっぱ、殿はかっこいいなあ〜〜。
ということで、小品ではありますけど、質の高い、品のいい作品だと思います。ラストシーンが非常に美しい。日本ってこうだよねえと嬉しくなっちゃいました。
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