シネマ日乗

入間アイポットのユナイテッド・シネマ入間で観た映画の感想が中心になります(多分)。 ネタバレになってしまう可能性も・・・・・・。 その辺、ご留意ください。
 
2020/02/29 23:46:00|映画 その他
AI崩壊
 「パラサイト」に押されちゃってちょっと気の毒だなあ、と。凄い力作です。本格アクション映画、というだけじゃなくて、色々考えさせられるところも。いつもなら、日本製カーアクションて「ふうん」で終わっちゃうんだけど、それどころじゃなかった〜〜〜。おまけに船上でも!!話はガンガン進むので、とにかくついていきましょう!という。

 医療AIについては、今現在も、すんばらしい技術だあなんてもてはやしてる風ですが、それが個人の医療情報を集積した挙句、こいつはいらんから殺!なんてデスノートみたいなことを始めてしまいそうになる、そんなプログラムを誰が入れ込んだのか、その張本人にされそうになった開発者の人が、必死に逃げつつ謎解きをして、更に色々タイムリミットがあって、というお話は、サスペンス映画の定番ともいえますが、ハラハラさせられる仕組みがしっかりしているので、ひゃあ〜〜〜〜!!となっちゃうんです。

 にしても、AI。実際今だって、その中身を理解できる人って相当限られてるでしょう。そういうのにあれこれまかせちゃたがってる人、多そうですけど本当に大丈夫なんですかね?そこら辺が非常にリアルでした。どう学習するのか、分からんでしょ。

 あと、今の状況を重ね合わせるとねえ。いったい全体どうなっちゃってるの?冷静さを失った人間て怖いな、と。トイレットペーパーやらマスクやらの買い占め程度(実に子供じみててバカみたい)で済んでるからいいけど。びくびくしてるんじゃないよ!!とは声を大にして言いたい。

 大画面向きです。映画館で観たほうが得な映画だと思います。

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2020/02/22 20:53:05|映画 か行
グッドバイ〜嘘からはじまる人生喜劇〜
 「パラサイト」の後味が悪すぎて、口直ししないとやってられん、ってことでこの映画。小池栄子さんのファンなので、結構楽しみにもしてました。

 昭和20〜30年代あたりの「洋装」って、すごく造形的ですよね。小池さんが着ると、つくづく美しい・・・・・・。「今夜、ロマンス劇場で」の綾瀬はるかさんもそうでしたけど。それだけで、この映画は観る価値あります。大泉さんはやっぱり「ダメ男」。こういう虚言癖のある男って多そうですけど。基本的にダメ男は大嫌いなんですが、大泉さんは、そこを絶妙なバランスでもって「あーしょうがない奴〜〜」程度に収めています。巧いです。

 ところで。このお話の原作のモチーフになっているのは太宰治の遺作ですよね。太宰の本を実は一つも読んだことがないのだ。「走れメロス」すら読んでいない。あの人の自己卑下文学って、世の中の若い奴にすごく悪影響を与えてると思ってて、ムカついてるんですよ。「走れメロス」は、多分小学校の国語の教科書に取り上げられていなかったんでしょう。幸運でございました!!
 太宰と松本清張って、実は同い年。松本清張の方が、全然格上だと思うんだ。太宰を過大評価するの、やめたらいいのに。

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2020/02/19 23:32:00|映画 は行
パラサイト 半地下の家族
 今年度アカデミー作品賞受賞作品。獲るだけことはある作品です。しかし、後味は極めて悪い・・・・。韓国版「万引き家族」ともいえるかもしれません。「パラサイト」というのは「寄生虫」の意味。寄生虫=回虫というイメージだからか、、映画題名の飾り文字が回虫っぽい。うう〜〜〜。

 テーマは要するに「貧すりゃ鈍する」なんです。他人を全く考えるゆとりがない人達が家族をつくってて、這い上がる気配もない。そこへ降ってわいたうまい話に乗っかって、美味しい汁をすする、んだけど、世の中、そうコロコロうまくいく筈がない、という。前半はちょっとしたシチュエーションコメディになりかかってます(しかし全然笑えないけど)、後半はホラーといってもいい、しかし、そのお話の成り立ちが、現在の韓国の立ち位置にまでシンクロするのでビックリしちゃうんです。
 あとね、キーになるのが「臭い」。分るよ。ビンボー人の生活臭。子供の頃、友達の家に行くと、大体臭い。どの家もそうだった。あれは嫌なもんでしたね。だから、映画ではあるけど、そのことは気になってて、そしたらやっぱり子供が気付く。だよなあ。

 「万引き家族」は、やっぱりお話のベクトルが内向きで、そこがいかにも日本だなあ、とこの映画を観て思いました。「万引き家族」の弱さはそこかもしれない。それに対して、やっぱり韓国の映画は「熱い」です。あと、登場人物が絞られているので舞台劇ちっくでもある。舞台劇に翻案できるかもしれません。

 それにしても、このお話、一番かわいそうなのは、二人の子供だよね。特に男の子。あの幼さで人生が壊れてしまった。後味悪い〜〜〜〜よ〜〜〜。

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2020/01/15 21:31:18|映画 さ行
スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け
 この偉大な作品が、今回でいよいよ「終了」となります。人生を並走してきた仲間のような気さえする​​​。。。。
 エピソード7〜9を支えてくれたのは、レイです。彼女が魅力あふれる人になっていて、主人公にふさわしい、だけでなく、周囲の人達の良さも引き出している。この映画は基本的には群像劇なんですが、魅力的なキャラがうんとこさ出ていて、映画がへたらないんですね。

 で、この映画の優れた特色だと思うのだけど、純然たるエンタメ映画で冒険活劇でありながら、なにか人を揺り動かすパワーがある。この映画に救われた、という人って多くて、自分もその一人なんだけども、「あー面白かった」だけにならない、なにか強いメッセージが内包されていて、テーマの間口が広い。この辺が、他のアクション系映画と全く違う点だと思います。

 で、今回は、まさに終わりにふさわしい内容だと思いました。ラストシーン、ああ、そうだった。と思うような。

 で、この作品を最後まで観ることができてよかったと思います。

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2020/01/12 22:42:00|映画 か行
家族を想うとき
 原題は「Sorry we missed you」。これ、実は宅配便の不在連絡票の文言なんです。先の見えないお話で、あーこりゃ現代の「自転車泥棒」だなあ、と思いつつ観てました。「自転車泥棒」が指摘した問題が、ちっとも解決できていないって、どういう事なんでしょうかねえ?

 かつて江戸時代「百姓は生かさず殺さず」なんて言ったとか言わなかったとか。今はさしずめ「平民は生かさず殺さず」ってなもんでしょうか。そういうアリ地獄にはまってしまった家族の話です。日本でいえばリーマンショックか。そいう事件があって家も金もなくしちゃった家族がいます。とにかく金を稼がないと、でも、そういう仕事は長時間労働で、実入りは結局少なく、自分の身の安全の保障もない、せめて仕事のポリシーは守りたい、でも、そうすると家族にしわ寄せがいっちゃう。

 よくあるパターンですが、仕事がゲロきつなのに、このうちの息子さんがあれこれトラブルを起こして、親を振り回します。根本にあるのは絶望。息子が父親に「大学出たからって、まともな仕事なんかないじゃないか」と言う、のは正しい、と思っちゃうんです。
 姪っ子が就職した、会社が1つはなんとかファイナンス、一つはなんとかリース、要は金や物を転がす仕事で、そんな仕事、大学出てまでやるもんかい?と思っちゃってねえ。金貸しなんざ、ヤクザだってできるわけで、別に学歴なんか不要でしょうが、と。就活なるものの話も聞いてぶったまげ。200社もエントリーしたって、どういうことなんだ?

 仕事って結局何なんだ?で、人にここまで金というプレッシャーをよこす「家族」という組織ってなんなんだ?この映画はテーマも広いんですが、お母さんがやってる「介護士」の仕事の対象になっている人達はちっとも楽しくなさそうで。先進国が手に入れた「長命」が拷問みたいになっている、この現実。なにか、色々とち狂ってる、としか思えない。

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