シネマ日乗

入間アイポットのユナイテッド・シネマ入間で観た映画の感想が中心になります(多分)。 ネタバレになってしまう可能性も・・・・・・。 その辺、ご留意ください。
 
2020/07/08 21:44:02|映画 は行
はちどり
 絶対に観たほうがいい映画だと思います。

 ティーンの気持ちや揺れを描いている映画といえば、観た事あるのは「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」とか「海街ダイアリー」とか。「天気の子」もそうか。基本的にはあまり観たくない。いやなとこを突かれるので。今回もすごく嫌でした。でも、「マイライフ」は二度と観たくないと思ったのに、今回はそうでもない。主人公の女の子の小さい世界の波立ちが色々自分とリンクするのになあ。全然懐かしくもなんともないんですけどね。

 この映画、最初に1994年の話です、と断りが入ります。これを見て、自分は「オウムの地下鉄事件はまだ起きていない時か」と思ったんですが、韓国の方は、全然違う事を思いつく、んですね。それが映画の中で明かされます。社会の大きな事件と、彼女の小さな世界が交錯するのが非常にうまいです。

 それにしても、韓国も日本も同じだな〜〜、親の態度がさ。清水ちなみさんという、OL委員会なるものを作っていた方が出した本に「お父さんには言えない事」というのがあります。その本には、この映画と同じ頃、あるいはやや前頃に子供の立場にあった人達が父親からやられた「虐待全集」みたいになっている(その位、当時の大人は腹いせに自分の子供を殴ったり蹴ったりしてたってこと)んですが、清水さんご自身の話として、清水さんが大怪我をしたとき、彼女の父親は全く彼女を心配せず、彼女の乗ってた自転車のことばかり言ってたそうなんです。で、彼女がやっとこさ退院してきたとき、ほっぺたをひくひくひくつかせながら「いや〜〜今回はどうなることかと思ったよ」とだけ言ったんだって。清水さんはそれを見て、あー成程、この人って、「心配だ」とか「大丈夫か」とか、そういう言葉を言いたくても、言えない人なんだな、と理解して腑に落ちたと。そっくり同じような話が映画の中で出てきます。この言葉の不自由、どうなってるんでしょうね?いまだにそういう人って多そうだけど。
 
 自分は仕事をし始めてから、そういう、「言葉が栓されたみたいに出てこない」という経験があって、それは誰かを「褒める」事でした。なぜなのか、凄ーく考えて思い至ったのは「自分は褒められたことがない」だったんだよね。ショックでしたよ、あれは。下の世代をこういう目に遭わせたくはない。

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2020/07/01 13:59:04|映画 ま行
三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実
 アイポットでこの手の映画をかけるというのは、やっぱコロナのせいでしょうかね?とすればある意味ありがたいことです。

 10代の頃、東大全共闘崩れの奴に振り回されてえらい目に遭った。全共闘崩れの連中が予備校の講師とか塾の教師とかやってた時代で(笑っちゃいますよね、大学改革とかなんとか言ってたくせにさ、その大学に学生を押し込む方法を学生に教えるってね。どーいう矛盾だ?)、そいつらは決まって教室や塾という小さい世界で「俺様王国」をこしらえてて、子供にわけ分んない議論を吹っかけて論破して、嬉しがってたような。そいつの奥様が早死にしてしまってね。亡くなる前にうちに来てくださったのはよかった〜、けど、あの男、絶対許さん。あんたなんかより、奥様の方がよほど価値ある人間だったよ。

 という事で、三島さんが東大で「頭の切れるバカ」がうじゃうじゃいるとこに単身乗り込んでいって、訳の分からない話し合いをする、というドキュメンタリーです。別に三島が好きってわけでもないんですけどね。読んだのは「鏡子の家」って話くらい。この話にはやたらボディービルの話が(筋肉仲間って出てくる)出てきて変なの〜〜と思ってたら、三島さん自身がボディービルにはまってたそうで。

 とにかく、何を話し合ってるのか、さっぱり分からんかった。結局学生どもは、なんとかして三島さんにマウンティングしたかっただけなんでしょ。あの態度の悪さ、トーダイに通ってる程度でえばるな!と思うんだけど、その後あんなんで社会で通用したのかどうか?
 あと、ものの見事に「男子校」だった。臭かっただろーなー。ああいう小難しい屁理屈をのたまう奴って実践では使い物にならない(あーいう態度の悪い奴なんか誰も相手にしない)、のにそんな奴らがあの騒ぎの後、何事もなかったかのように社会でのうのうと暮らして、パワハラをしまくってたんだろ、と考えると、虫唾が走るのね。日本をダメにしたのはあんたらだ、と心底思ってんだけどね。

 全共闘とオウム、構造はすごく似てるんですよ。取り合えずオツムの良さげなネームバリューのある大学に通ってた連中が国家転覆を企んでどうこう、その結果常軌を逸した行動に出てってね。映画の中で、歴史学者の方がおっしゃってたのが一番理解しやすかったんだけども、当時、テレビが出てきて、世界で起きている事を簡単に中継で観れるようになった、日本の場合もね。それで騒動が大きくなったこと、あと、東大というネームバリュー、例えば今でいうFラン大学で何が起きても「あすこのバカ学生」で片づけられたでしょう(今のコロナ騒動なんか、まさにそうですよね。あまり知られてない大学の学生がしでかしたことについて、大学に避難ごうごうというね)、それが東大ってだけで「なんか凄そう」とハッタリをかませるってわけだ。親の金で大学行ってて何やっとんじゃ、という常識的(と自分は思うが)な発言はなかった、のかなあ??

 「楯の会」の人にもインタビューしているのだが、その方が「全共闘の人達、結局あの活動について、今ならどう総括されるんでしょうか、話をぜひ聞きたい」とおっしゃってて、そーだそーだ、と思ってしまった。

 とりあえず、あいつらに国家転覆なんぞされなくて本当に良かったと思う。もし、そんなことが起きてたら、今頃ポルポトどころじゃない事態になってた恐れが高いから。ホント、ジョーダンじゃないですよ。全共闘世代には、さっさと死んでもらいたい。

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2020/06/28 18:41:04|映画 た行
ドクター・ドリトル
 動物ものは基本観ないようにしてるんですが・・・、なんとなく観てしまった。
そうねえ、成程ねえ・・・・。

 「ドリトル先生」シリーズは、日本ではなんといっても、井伏鱒二さんの翻訳版で超有名になってますね。他に翻訳してる人っているのかなあ?井伏さんの訳が素晴らしすぎて、どうも入り込む余地なしって感じなんですが・・・・。あと、著者のロフティングの柔らかい雰囲気の挿絵ですね。プクッと太ったドリトル先生のイメージは挿絵によるものです。

このお話を映画化した奴のうち観た事があるのは、エディ・マーフィーの版ですね。なんかワチャワチャしたお話でしたが。舞台も現代になってたし。原作の魅力って、「危なっかしい船で大航海」というのが大きいように思っていて、それが全く欠落してて「動物と話せる能力」だけ取り出してもねえ。。。

 今回の映画は、その「ぼろい帆船で航海」シーンがあるから、という理由だけで観たかもしれない。原作では、ドリトル先生のビンボーぶりがやたらリアルで、そういう所を妙に覚えているんですが。あと、猫肉屋なる職業をやってるマシュー・マグさんとか。今読み返したらどんな印象になるのか・・・。自分に影響があったとすれば、ドリトル先生が「スタビンズ君」多分、原作では「Mr.スタビンズ」と子供を呼んで、きちんと大人扱いしていた所でしょう。
 
 この映画は、割と原作に寄せた内容っぽい部分もあるのだけど、やっぱりうまくいっていない印象。ドリトル先生に奥さんがいたとか、その人が遭難しちゃって云々という前日譚ってねえ、その辺で興ざめなんだよなあ。というか、ロフティングの挿絵チックな人が主人公にならないのはなぜだ?納得いかん。あと、動物をぜーんぶCGで描くってどうなんでしょう?そりゃ、そうすれば思ったように動いてくれるんだろうけど。
 あとねえ、話のテーマが、ほぼ全部「自己卑下が強い奴がそれを乗り越えてどうこう」なんですよ。いささか食傷気味。この映画は子供向けなのかな?となると、世の中の子供ってこういう「自己卑下」する子が多いってこと?そこんとこに大問題あり、と思ってしまった。

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2020/06/21 18:15:01|映画 さ行
シェフ 三ツ星フードトラック始めました
 アイポットが再開です。バンザーイびっくり幸せ
で、今は旧作がガンガン上映されてますが、この映画は見逃してたので。邦題で内容がほぼ分かっちゃう風ですが、実はそうでもない。
 ロスの一流レストランの看板シェフにのし上がったおじさんがいて、だけど料理評論ブロガーにコテンパンに書かれてしまう。そのブロガーにはとっておきの新作料理を食べさせる予定だったのに、レストランオーナーの横やりが入ったせいで不本意なメニューだった、から、というのもあるんだけど。ブロガーの記事がツイッターにどんどんリツイートされちゃうもんで、ツイッターの仕組みもよく分からない状況で言い返しちゃって大炎上。ついでに動画まで投稿されて〜〜、というあたりが、今も繰り返されてるネットリンチ風の話なんですが。
 で、レストランも首になって仕事も見つからず、どーしよーって時に、なんだかんだでマイアミでぼろいフードトラックを手に入れて、そこから仕事を新規巻き直しでがんばるぞ〜〜、という事なんだけど、この話にはもうひとひねりあります。別れた奥さんと暮らしている息子さんの世話を押し付けられるのね。で、彼と一緒にフードトラックで仕事しつつ、奥さんの待つロスまで旅するという、「親子ロードムービー」物なんです。
 親子ロードムービーといいえば、「ペーパームーン」とか「パリ・テキサス」とか。この映画では内容がお父さんの仕事に傾いてるので、むしろ息子さんの成長物語だなあと思いながら観てました。大人の男が2人(お父さんと助手のお兄さん)集まると、まあ、しょーもない話が出てくるわけで、だからPG12なんです。それを小耳にはさみつつ、というのも、一種の成長ですよね。その辺が意外と繊細に描かれていて、楽しかったです。
 あと、音楽。一流のミュージシャンの方が実際に演奏してて、それもよかったなあ〜〜。マイアミ、懐かしいわあ。なんかパッと明るくて、変わってないなあと。また行けたらいいのだけど。
 にしても、アメリカの食事ってやっぱりボリュームがあり過ぎだなあ・・・・・・。あれじゃあ、太って当然だわい。

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2020/05/07 19:41:00|映画 た行
椿三十郎
 鬱々した連休、あまり休まりませんでしたが。本来ならアイポットで映画三昧となるところ、映画館は休館、このまま潰れないでくださいよ〜〜。

 ということで、うち映画。といっても、後味悪い奴や、色々考えさせられるような奴等々、絶対観たくない!!とにかくドンパチでもいい、バッサバッサでもいい、そういうどーでもいい系の映画で観たことない奴、という事でチョイス。「用心棒」とほぼ同じキャラを同じ三船さんが演じております。

 いや〜〜、めっちゃオモロイわあ〜〜!「用心棒」もそうだけど、ポンポン話が進むので、うわ〜これからどーなるの??って感じでハラハラします。内容はまあ、単純ですわね。藩の不正(こういうテーマって好かれるけど、実際のところはどうだったんでしょうね?ありえヘンって気がするんだけど・・・)をどうにかしようとしてる若侍というか、バカ侍の集団がいて、そいつらがあまりにアホたれなので、呆れて加勢するのが三船さん。で、すったもんだ、という話。城代家老の奥方を演じている入江たか子さんが面白いです。どこか浮世離れしてるんだよねえ、自分の亭主は拉致られるし、自分も娘も危なかったはずなのに、なーんか呑気なんですよ。奥方さんに「あなたの名前は?」と聞かれて、思い付きで名乗るのが「椿三十郎」ってわけ。
 で、バカ侍の軍団に加山雄三だの田中邦衛だの、というなかなかな人達が混ざっています。田中さんが結構重要な役柄ですね。

 とまあ、話はシンプル&バッサバッサ剣劇アクションいう奴で、ミフネのチャンバラ映画が世界を席巻したの、分かります。どこもってっても通じる話だもの。そりゃあ受けるわなあ。黒澤さんには、こういう映画をもっと作ってほしかったです。映画なんか、原則娯楽なんだから。