シネマ日乗

入間アイポットのユナイテッド・シネマ入間で観た映画の感想が中心になります(多分)。 ネタバレになってしまう可能性も・・・・・・。 その辺、ご留意ください。
 
2020/10/21 21:31:00|映画 あ行
ヴァイオレット・エヴァーガーデン
 非常に繊細な物語。戦争が一方の大きなテーマで、その意味では「ミッドウエイ」よりもこちらの方がメッセージが強い。こういう話の方が、人に届くんじゃないかと思うんですよ。

 元々このお話は連続アニメとして放映されていたもので、そのお話の先をオリジナルの劇場版にしたとの事。ので、エピソードがやや速足で、特に戦争のシーンは、細かいことがよく分からない。恐らくその辺は連続アニメではきちんと説明されているのではないかと思うのだけど、そちらは観ていないので。ただ、あーなってこーなって、という話として語られていない分、かえって色々考えさせられる。何があったのか。。。。

 戦争が終わって、生き残った人はなんでもいいから生きてかなくちゃならない、それが実は大きいテーマで、戦争のせいで残った身体の傷も、わだかまりも、全部引き受けて生きるしかない。そこがとても繊細に描かれています。

 京都アニメーションの仕事を観るのは「聲の形」以来ですけど、とにかく絵が美しいので、凄いなと。事件が起きてから時間がたってますが、犯人の男の思い込みって何なんだろう?オトコはいらん、という結論になっちゃいますよ、男の皆さん、真剣にどうしたものか考えるべきなんじゃないかなあ?

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P.S この話では、一応日本語が話されてますが、書き言葉は日本語ではなく、なにかのアルファベット風に綴られる言語、ということになっています。主人公の職業が一種のキーパンチャーで、タイプライターで手紙を書き留めることができる、のがキモなので。日本語だと、タイプライターは全く使えないですもんね。そこら辺の翻案が丁寧で感心しました(アルファベットとも違う、専用の文字を創ったようです)。







2020/10/01 10:39:26|映画 ま行
ミッドウェイ
ローランド・エメリッヒ監督といえば「インディペンデンス・デイ」に代表される、なんか上手い事行き過ぎの大味&しかし映像は凄い、という映画を連想しちゃうんですが。そこからかけ離れた作品です。エメリッヒさんは、この作品を撮るために米国礼賛大味映画をつくってたんかなあ(で、ハリウッドの支持を得、お金も得た)と考えてしまった。

 エメリッヒ作品はしかし、以前から結構生き死にについては容赦ないところがあると感じていましたが、今回はそれを存分に見せつけられました。あと、彼が今まで培ってきた映像技術の粋が凝縮されています。戦争の実態、というより「戦闘」の実態を見せられました。

 にしてもなあ、そもそも戦闘機でもなんでも動かす動力燃料としての石油。これをアメリカに依存してたのに戦争を仕掛けるなんて、冷静に考えればうまくいくはずないじゃん、と思うのに。「戦闘」の実際、というのは、要は燃料をどうする、だの、爆撃機はいいけど、それを操縦する人材をどうするだの、その辺の瑣末なことが結構勝敗を分けるのね。日本は戦艦大和なんて、あんなバカでかい船をアメリカまで航海させるつもりだったんか?燃料は薪ですか?正気を疑っちゃうよ。

 しかし、アメリカ側の話を見ていると、いきなり真珠湾攻撃をくらって(ああいう描写ーおそらく実際こうだった、という映像でしょうーを観てて、自国の事ながら自分も腹たった。こんなやり口で攻勢をかけるなんて、ありえヘン)日本軍を狂犬集団のように捉えて怯えてしまう、というのは分かる。「リメンバー・パールハーバー」と、アメリカ人に実際に言われたこともあるのだが、この映像を見りゃ分かる。で、日本は原爆です。アメリカ側からすれば「仕返し」というわけで、それも分かる。結局お互い様、で、やられた事は忘れない、ということだよね。戦争のバカらしい後遺症はそこに尽きる気がする。

 あと、映像技術を駆使してこれでもか、と見せられた「戦闘」の実態。当時の「戦闘」はアバウトな海図を元にあれこれやってた、行ってみたら海しかない、相手がいないぞ、燃料をどうする、一方、それっと放った魚雷、当たったけど不発でした、とか。精度が低すぎ。けど今は冗談じゃないレベルで精度が上がっている。その技術でもって「戦闘」をやったら、まあ、人類全滅でしょうね。爆撃機のコックピットから見た風景もリアルで、怖かったです。

 で、いくら作戦を練っても、結局実行するのは末端の人達で、その人達が無駄に浪費されてゆくのもよく描かれています。アメリカ映画でそういうのの描写は初めて見たかもしれない。

 うーん、結局、日本はあの戦争でなにがしたかったんでしょうねえ?「大日本共栄圏」なんて勇ましいけど、現地の人を全然考えてる風じゃないし。のぼせあがってたのか。まあ、それはアメリカも同じですわね、日本をやっつけられたんだから、それ、ベトナムも、とやって大失敗。懲りずにイラクだあ、これも失敗。無駄過ぎる・・・。
 でも、その位戦争っていうのはとりわけ男どもにとっては魅惑的なんでしょうなあ。要注意です。

 この映画、「アルキメデスの大戦」を先に観ておくと、話が結構リンクするので分かりやすいと思います。ホントーに、当時の日本の男どもはバカだったんだなあ(まあ、今もそうだけどさ)ということがよく分かります。あーあ。

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P.S日本側の俳優陣、錚々たる人達です。

 







2020/07/08 21:44:02|映画 は行
はちどり
 絶対に観たほうがいい映画だと思います。

 ティーンの気持ちや揺れを描いている映画といえば、観た事あるのは「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」とか「海街ダイアリー」とか。「天気の子」もそうか。基本的にはあまり観たくない。いやなとこを突かれるので。今回もすごく嫌でした。でも、「マイライフ」は二度と観たくないと思ったのに、今回はそうでもない。主人公の女の子の小さい世界の波立ちが色々自分とリンクするのになあ。全然懐かしくもなんともないんですけどね。

 この映画、最初に1994年の話です、と断りが入ります。これを見て、自分は「オウムの地下鉄事件はまだ起きていない時か」と思ったんですが、韓国の方は、全然違う事を思いつく、んですね。それが映画の中で明かされます。社会の大きな事件と、彼女の小さな世界が交錯するのが非常にうまいです。

 それにしても、韓国も日本も同じだな〜〜、親の態度がさ。清水ちなみさんという、OL委員会なるものを作っていた方が出した本に「お父さんには言えない事」というのがあります。その本には、この映画と同じ頃、あるいはやや前頃に子供の立場にあった人達が父親からやられた「虐待全集」みたいになっている(その位、当時の大人は腹いせに自分の子供を殴ったり蹴ったりしてたってこと)んですが、清水さんご自身の話として、清水さんが大怪我をしたとき、彼女の父親は全く彼女を心配せず、彼女の乗ってた自転車のことばかり言ってたそうなんです。で、彼女がやっとこさ退院してきたとき、ほっぺたをひくひくひくつかせながら「いや〜〜今回はどうなることかと思ったよ」とだけ言ったんだって。清水さんはそれを見て、あー成程、この人って、「心配だ」とか「大丈夫か」とか、そういう言葉を言いたくても、言えない人なんだな、と理解して腑に落ちたと。そっくり同じような話が映画の中で出てきます。この言葉の不自由、どうなってるんでしょうね?いまだにそういう人って多そうだけど。
 
 自分は仕事をし始めてから、そういう、「言葉が栓されたみたいに出てこない」という経験があって、それは誰かを「褒める」事でした。なぜなのか、凄ーく考えて思い至ったのは「自分は褒められたことがない」だったんだよね。ショックでしたよ、あれは。下の世代をこういう目に遭わせたくはない。

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2020/07/01 13:59:04|映画 ま行
三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実
 アイポットでこの手の映画をかけるというのは、やっぱコロナのせいでしょうかね?とすればある意味ありがたいことです。

 10代の頃、東大全共闘崩れの奴に振り回されてえらい目に遭った。全共闘崩れの連中が予備校の講師とか塾の教師とかやってた時代で(笑っちゃいますよね、大学改革とかなんとか言ってたくせにさ、その大学に学生を押し込む方法を学生に教えるってね。どーいう矛盾だ?)、そいつらは決まって教室や塾という小さい世界で「俺様王国」をこしらえてて、子供にわけ分んない議論を吹っかけて論破して、嬉しがってたような。そいつの奥様が早死にしてしまってね。亡くなる前にうちに来てくださったのはよかった〜、けど、あの男、絶対許さん。あんたなんかより、奥様の方がよほど価値ある人間だったよ。

 という事で、三島さんが東大で「頭の切れるバカ」がうじゃうじゃいるとこに単身乗り込んでいって、訳の分からない話し合いをする、というドキュメンタリーです。別に三島が好きってわけでもないんですけどね。読んだのは「鏡子の家」って話くらい。この話にはやたらボディービルの話が(筋肉仲間って出てくる)出てきて変なの〜〜と思ってたら、三島さん自身がボディービルにはまってたそうで。

 とにかく、何を話し合ってるのか、さっぱり分からんかった。結局学生どもは、なんとかして三島さんにマウンティングしたかっただけなんでしょ。あの態度の悪さ、トーダイに通ってる程度でえばるな!と思うんだけど、その後あんなんで社会で通用したのかどうか?
 あと、ものの見事に「男子校」だった。臭かっただろーなー。ああいう小難しい屁理屈をのたまう奴って実践では使い物にならない(あーいう態度の悪い奴なんか誰も相手にしない)、のにそんな奴らがあの騒ぎの後、何事もなかったかのように社会でのうのうと暮らして、パワハラをしまくってたんだろ、と考えると、虫唾が走るのね。日本をダメにしたのはあんたらだ、と心底思ってんだけどね。

 全共闘とオウム、構造はすごく似てるんですよ。取り合えずオツムの良さげなネームバリューのある大学に通ってた連中が国家転覆を企んでどうこう、その結果常軌を逸した行動に出てってね。映画の中で、歴史学者の方がおっしゃってたのが一番理解しやすかったんだけども、当時、テレビが出てきて、世界で起きている事を簡単に中継で観れるようになった、日本の場合もね。それで騒動が大きくなったこと、あと、東大というネームバリュー、例えば今でいうFラン大学で何が起きても「あすこのバカ学生」で片づけられたでしょう(今のコロナ騒動なんか、まさにそうですよね。あまり知られてない大学の学生がしでかしたことについて、大学に避難ごうごうというね)、それが東大ってだけで「なんか凄そう」とハッタリをかませるってわけだ。親の金で大学行ってて何やっとんじゃ、という常識的(と自分は思うが)な発言はなかった、のかなあ??

 「楯の会」の人にもインタビューしているのだが、その方が「全共闘の人達、結局あの活動について、今ならどう総括されるんでしょうか、話をぜひ聞きたい」とおっしゃってて、そーだそーだ、と思ってしまった。

 とりあえず、あいつらに国家転覆なんぞされなくて本当に良かったと思う。もし、そんなことが起きてたら、今頃ポルポトどころじゃない事態になってた恐れが高いから。ホント、ジョーダンじゃないですよ。全共闘世代には、さっさと死んでもらいたい。

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2020/06/28 18:41:04|映画 た行
ドクター・ドリトル
 動物ものは基本観ないようにしてるんですが・・・、なんとなく観てしまった。
そうねえ、成程ねえ・・・・。

 「ドリトル先生」シリーズは、日本ではなんといっても、井伏鱒二さんの翻訳版で超有名になってますね。他に翻訳してる人っているのかなあ?井伏さんの訳が素晴らしすぎて、どうも入り込む余地なしって感じなんですが・・・・。あと、著者のロフティングの柔らかい雰囲気の挿絵ですね。プクッと太ったドリトル先生のイメージは挿絵によるものです。

このお話を映画化した奴のうち観た事があるのは、エディ・マーフィーの版ですね。なんかワチャワチャしたお話でしたが。舞台も現代になってたし。原作の魅力って、「危なっかしい船で大航海」というのが大きいように思っていて、それが全く欠落してて「動物と話せる能力」だけ取り出してもねえ。。。

 今回の映画は、その「ぼろい帆船で航海」シーンがあるから、という理由だけで観たかもしれない。原作では、ドリトル先生のビンボーぶりがやたらリアルで、そういう所を妙に覚えているんですが。あと、猫肉屋なる職業をやってるマシュー・マグさんとか。今読み返したらどんな印象になるのか・・・。自分に影響があったとすれば、ドリトル先生が「スタビンズ君」多分、原作では「Mr.スタビンズ」と子供を呼んで、きちんと大人扱いしていた所でしょう。
 
 この映画は、割と原作に寄せた内容っぽい部分もあるのだけど、やっぱりうまくいっていない印象。ドリトル先生に奥さんがいたとか、その人が遭難しちゃって云々という前日譚ってねえ、その辺で興ざめなんだよなあ。というか、ロフティングの挿絵チックな人が主人公にならないのはなぜだ?納得いかん。あと、動物をぜーんぶCGで描くってどうなんでしょう?そりゃ、そうすれば思ったように動いてくれるんだろうけど。
 あとねえ、話のテーマが、ほぼ全部「自己卑下が強い奴がそれを乗り越えてどうこう」なんですよ。いささか食傷気味。この映画は子供向けなのかな?となると、世の中の子供ってこういう「自己卑下」する子が多いってこと?そこんとこに大問題あり、と思ってしまった。

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