| 6)月亮山 6)月亮山はただ遠望しただけであった(写真1)。石灰質の山で、侵食されやすく、山の中腹少し上に大きな円が貫通した様に出来ている。そして、その山(月亮山)のすぐ向こう隣にある山の尾根の稜線が、その貫通円を横切る様に位置し、稜線下方は陰になり、上方は明るい空になり、結果として明るい部分が下弦の月の様に見えるのである。ただそれだけである。
月 亮山という意味は月の光がさす山、月亮門儿(ユエリャンメンル)というのは、中国風の庭園内の塀に満月の様にくり抜いた門のことであり、中国寺院を見学するたびに見てきたことのある円形の門で,今回初めてその名を知った。
月亮門儿は日本には少ない。中国旅行をして、目にする門や窓は円形が多い。ガイドさんには、「日本では四角い窓を“迷いの窓”、丸い窓を“悟りの窓”と呼んだりすることがある。最近の中国の急速な経済発展はまさしく丸窓文化に基づいているようですね。」と言って煙にまくことがある。その月亮山を背景に二枚ほど写真を撮っただけの観光であった。
7)カジュマルの大樹 7)カジュマルの大樹は、それに比べ、直近で、その大榕樹を目にし、樹の周りを一周すると、観光した気にはなり、「中国人はなんでも観光の名所、名物にしてしまう。」と思いかけた気持ちを少し後戻りさせることが出来た。
入門(写真2a)すると、正面に横広がりのこんもりとした樹木が目に入った。殆どが中国人だが、観光客はまあまあ目につく(写真2b)。 樹の幹は曲がりくねり地上に今にも接するようにのた打ち回り、複雑に絡まっているようである。 そののた打ち回っているかのような太い幹をつっかえ棒が支えている(写真2b)。また不意に地中から突き出したような幹もある。同じ樹木の根から生え出た支幹とのことである。
大樹には霊力が宿り、その霊力に願を掛け、何かを祈るのだろう、その印の赤い布札がいくつもとりつけられていた(写真2c)。 日本のおみくじと似たようなものであるが、この赤い布札はお墓など中国国内のいたるところでみかける。
沖縄県ではガジュマルの大木にはキジムナーと言う妖精のようなものが住んでいると伝えられているそうなので、霊力を感じるのは中国人に限ったことではないようである。 ガジュマルというのは沖縄の地方名で、漢名が榕樹である。また沖縄では、門のところに建てて、中があけ広げにならないようにするものという意味で、もともと魔よけとして使われていたそうである。
葉は槐(えんじゅ)や楷(かい)に似ていて、双子葉植物に属するが、葉の色は、槐や楷よりも濃い緑で、硬い感じがするが、いずれも霊力を持つという点では似ている。
少し目を遠くに遣ると、池、又は川があり、その向こうに石舞台の様な佇まいが見えた(写真3a)。 風食されて自然に出来たものか、人工的に造られたものかよく分からないが、造形美を感じさせるところである(写真3b)。
人が見上げているところを見ると、そこも観光ポイントなのかも知れない(写真3c)。そう思いながら、大榕樹を後にして、その川沿いにしばし歩くと、その川の向こうに、まるで長髪の文士が左方向に向かい、多少こちらに背を向けて正座したような岩像が目に入った(写真4a)。そして橋に差し掛かった。橋の袂にはピンク色の花をつけた樹が妙にアクセントじみていて目を楽しませてくれた(写真4b)。
そして川面にはたくさんの筏が浮かんでいた(写真4c)。高田という地名の郷(又は鎮)であるが、ここでも多くの石灰地形が見られ、その景観(写真4d)にしばし、見とれてしまった。
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