セローのシフトパターンは他の多くの単車と共通で,左足動の1ダウン4アップ。1速と2足の間のハーフストロークの位置にニュートラルがある。『1-N-2ー3ー4ー5』のパターンだ。
現代の単車では一つの典型的なパターンだが,過去には数種が混在していた。いわゆるスポーツモデルは現在のセロー同様ながら,ちょっと変わったモデルもあった。
スズキT21は,シフトアップは現代車同様だが,シフトダウンで2速から1速にする際,一度ニュートラルに入る構造だった。つまり2速から1速にするには2回踏み込む必要があった。停止時にニュートラルを出しやすいようにだろうが,何ともヘンテコなパターンだった。
またカワサキA1等はボトムニュートラルだった。つまり踏み込んで行き着いたところがニュートラルだ。ニュートラルは出しやすいが,調子よくシフトダウンしていくと,最後に空ぶかしになってしまうことがある。
トーハツランペットは,リターンながら現代車とは操作方向が逆で,後方で1速,更に前方で2速,3速だった。これは当時のスーパーカブとパターン的には同じだった。ニュートラルがハーフストロークではなかったように記憶しているが,ちょっと曖昧だ。
カブは,昔はニュートラルから後方へ踏んで1速,前に踏んでニュートラル,更に前に踏んで2速,3速となっていた。ニュートラルがハーフストロークではないので,少々操作に時間がかかることから,2速発進する者も多かった。
実は私はシフトパターンが現代風に変わったことを知らず,カブの中古車を買った時,後方に踏んで発進しようとして『力がないナ〜』と思ったことがあった。パターンが変わったのではないかと思って逆操作したところ,元気に走り出した。
実用車ではメグロS3が右シフトのロータリーパターンだった。前に踏み込んで1,2,3,4となり,更に続けて前に踏むとニュートラル,1速となる。高速走行中,1速に入れてしまう可能性があり,要注意だった。
メグロに限らず,ホンダCD92やスズキのS10等,左シフトではあっても同じパターンのロータリーミッションは多く,実用車では当たり前だった。
トップからニュートラル,更には1速に入ってしまうことの危険性対策を考慮したのが,現代のスーパーカブだ。ロータリーパターンなのだが,トップからニュートラルへは,停止時のみシフト可となっている。
ラビットS301は,現代の単車同様,1速と2速の間にニュートラルがあった。ハーフニュートラルではなかったが,左グリップでのギア選択だったから,ハーフストロークでもフルストロークでも,操作上は同一だった。
ラビットのようなギア操作方式でもこのパターンだったというのは,当時は当り前のように思っていたが,いろいろなパターンが混在した中で何故そうしたのか,当時の開発者に聞いてみたい気がする。
2025.7.31(木) |