| 7月の終わり、さいたま市で盲導犬の「オスカー」がご主人の男性を仕事場まで送り届ける途中、何者かに刺される事件が発生しました。
入間市内には盲導犬と一緒に生活をしている方が3人いらっしゃいます。事件を受けて、その1人である福井恵子さんにインタビューしました。
入間市春日町にお住まいの福井恵子さんは、盲導犬と生活をして12年半になります。初代のパートナーは「カレン」。8年間を共に過ごしました。そして2代目「ネネ」との生活は、4年半。 多くの方に盲導犬と共に過ごす生活を知ってほしいと入間市・狭山市内の小学校などで講演をしているほか、商業施設でのイベントなどにも積極的に参加しています。
●「ネネ」との生活はいかがですか― 最近すごく良い関係になっていると自負しています。 それほど不安なく歩けるようになりましたし、体調も崩さないので日常生活にも手がかからない子です。
●事件を聞いてどのように感じましたか― 私はこれまで周囲の方の善意に支えられてきましたし、今も支えられているので信じがたい思いと、あまりにも悪質な事件なので愕然としました。
●ご自身も被害にあったらという思いはありますか― ないことを願います。事件を知った方から私とネネを心配して「ネネちゃんとの歩行気を付けてね」というメールが届きました。 今まで交通事故に対しては非常に緊張して気をつけてきましたが、心ない人に対しての対策は無防備だったので、信じられないことをする人がいるんだなということにも注意を払わなければならないのかという悲しい気持ちですね。
●今までいたずらをされるなどの経験はありますか― 受け入れ拒否などはありますが、それほど怖い思いをしたことはありません。 今から10年程前ですが、初代の「カレン」の頃は盲導犬に関する情報が少なかったので、市内のイベントに参加した時に「カレン」が蹴飛ばされたことはあります。 でもその時はまわりにボランティアさんがたくさんいたので「そんなことしちゃダメよ」という声で気がつきました。 また友人には、盲導犬に落書きをされた方がいます。非常に悲しんでいました。
●今回の事件もまわりの目があれば防げた気がしますが― 私の実感ですが、今から12年前は盲導犬の情報が少なく、盲導犬に対する対応がわからない方が多かった気がします。 私自身もわかっていただけるように努力しましたが、最近はマスコミに取り上げられることも増えてみなさんの関心も高まったように思います。 日常生活の中でもご親切に声をかけていただける方が増えてきたなと実感していた矢先の事件だったので、残念です。
●見えないことがわかっている上での卑劣な犯行ですよね― 私達は目撃者にはなれません。誰かがそばに来たことは気配ではわかりますが、自分の相棒が何をされているかは確認できないので、そういう意味では周囲の方の目がほしいですね。 盲導犬は何があっても声を出しません。また人間を嫌いになることもありません。 どんなに痛めつけられてもいつも通り仕事をしてくれます。そういう盲導犬に対してよくこんなひどいことができたなと思います。
●今回の事件を受けて外に出るのが怖くなりませんか― 私は平気ですが、被害にあわれた方は怖いと言っていました。 目が不自由になったけれど、盲導犬と出会ったことで行動範囲が広がって自由が手にできたわけですが、こういう事件で外にでられなくなってしまうということが残念です。 ようやく安全安心で快適な歩行が手に入れられたのに、それを心ない人にさえぎられるということが残念です。
●全国的に報道されて良かったことはありますか― 事件は非常に悲しいですが、盲導犬そのものの役割とか人と盲導犬の関係、盲導犬に対する対応などを改めて考え直していただく機会にしていただきたいと思います。 日本ではまだ頭数が少ないですが、いつ誰が目が見えなくなるかわからないので、盲導犬は国の共有財産だと思います。 あたたかい目で見ていただきたいし、支えていただくことで私達は安全な歩行ができるので、それを考えていただく機会になれば良いなと思います。
●まわりのみなさんに特に知っていただきたいことは― 講演の時などには4つのことをお願いしています。 1.盲導犬がハーネスをつけて使用者の方とスムースに歩行している時は声をかけない 2.むやみにさわらない 3. 食べ物をあたえない 4.アイコンタクトを取らない(犬は見つめられると遊んでくれると思ってしまうため) 人間が大好きな子達ですので、嬉しがっちゃうと指示を聞いてくれなくなってしまいます。
●盲導犬と出会ったことで感じたことは― 私は盲導犬と出会って本来の自分を取り戻すことができました。 目が見えなくなると生活もそうですが、いろんな面で気持ちが消極的になります。 でも「カレン」や「ネネ」が隣にいてくれたことで、その体温に励まされて一歩踏み出す勇気や自信を持つことができました。
●地域のみなさんへ― 「カレン」から「ネネ」に変わったときに、はじめは色々とうまくいかないことが多かったのですが、通りすがりの地域のみなさんにたくさん助けていただきました。 適切に対応してくださる方が増えて本当に嬉しく思っています。 目が見える見えないに関わらず、自分の周囲にちょっと目を向けて、声をかけたり手をさしのべたりすることが自然にできるようなあたたかい社会になるといいなと思います。 これからも色々な場所で多くの方と触れ合って、盲導犬について知っていただけたら嬉しいです。
どんな時もシッポを振って素直に支持に従ってくれる盲導犬と一緒にいることで、自分も心が優しくなったと話す福井さん。 一方で今回の事件では犯人が「器物損害罪」になることが信じられない、盲導犬は「物」ではなく、パートナーです とも強くおっしゃっていました。
入間市内のあと2人の盲導犬ユーザーのお話もまた後日掲載いたします。
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