半世紀以上前の子供の頃、父親に連れられエノケン、ロッパ、金語楼という当時の3大喜劇俳優・落語家が出演している映画を浅草で見た記憶がある。父親は、ラジオを前にして浪曲、落語、漫才を熱心に聴いていることが多かった。聞くともなく聞いているうちに、古今亭志ん生、柳家小さん、古今亭志ん朝、立川談志、三遊亭円楽、三遊亭圓歌、橘家円蔵、桂文治、桂歌丸など落語家の名前をいつの間にか覚え、話術の面白さが子供ながら少しずつ分かってきた。
ラジオからテレビの時代に移り、落語家や漫才師の語りと演技が目で見られるようになると落語・漫才がますます好きになった。といって特定芸人を好きになり落語・漫才の演目、内容に詳しいということではない。ラジオで落語・漫才を聞き、テレビで面白くて可笑しい芸を鑑賞するのは楽しく大好きである。その落語・演芸の本物が見られるのが演芸場である。都内には国立演芸場、浅草演芸ホール、鈴本演芸場、新宿末広亭、池袋演芸場などいくつか演芸場がある。我々LSC(ロングステェイクラブ)会員が演芸を楽しむ場所は、主に国立演芸場である。
なぜ国立演芸場かというと、この演芸場は東京地下鉄永田駅近くにあり、交通の便が良いからである。さらに、他の演芸場に比べて通常2,200円(出演者・演目により若干異なります)と安い。その上、有りがたいことに65歳以上のシニアには割引があって、大人1人2,200円のところを1,400円で入場出来るのである。ただし、チケット購入時に本人の年齢が証明できる運転免許証、マイナンバー、パスポートなどによる厳しい身分証明が必要である。この安い値段で3時間もの長い間、思いっきり笑ってくつろげる楽しい場が国立演芸場の寄席である。 LSCの会員は、旅行好きな人がほとんどかと思う。その旅行以外でもいろんな経験を持ち、各種の趣味を持つ会員が大勢いる。たとえば、映画、演劇、落語・漫才に興味を持っている方もいる。本来なら海外でロングステェイを楽しむためのクラブであるが、一年中ロングステェイで暮らすわけにもいかない。その合間で「お値打ちランチを食べる会」、「麻雀同好会」、「ダーツ同好会」、「観劇同好会【落語鑑賞】」などいろいろ同好会があるので、好きな同好会に参加し人生をエンジョイしている。
ここでは、観劇同好会【落語鑑賞】について述べる。我々夫婦は、令和元年5月、6月、7月、8月の観劇同好会【落語鑑賞】に参加し、中席の落語・演芸を楽しんだ。国立演芸場のチケットは、世話役がまとめて確保して頂けるが、個人で日程を合わせて電話で直接予約してもよい。電話予約は、予約番号を知らせてもらえるので、その番号を当日国立演芸場へ行った時に、予約番号を伝え身分証明書を提示すると1,400円のシニア割引チケットをその場で発行してくれる。このとき空席があれば、演芸場受付にあるコンピュータ画面に表示される座席一覧から好きな席を確保できる。 最近落語を鑑賞した月は5月(真打ち:三遊亭圓歌)、6月(真打ち:古今亭寿輔)、7月(真打ち:柳亭市馬)、8月(真打ち:三遊亭円楽)である。「落語家・三遊亭円楽(69)の脳に腫瘍が見つかったため、8月上旬まで療養すると19日、所属事務所が発表した」というニュースが流れた。そのため、8月18日の落語鑑賞で円楽の落語を聴くのはひょっとすると無理かと思われた。しかし、18日直前に高座にのぼっていたので、8月の真打ち三遊亭円楽の落語を聞くことができた。TVの笑点で観る円楽と国立演芸場の高座にのぼった円楽の違いをみることができた。 昔の寄席の高座には、照明用に蝋燭が立っていて、寄席が終わると最後の出演者が蝋燭の芯を打つ(切って消すこと)ことをしたために「芯打ち」といわれたそうだ。縁起を担いで、字を「芯」から「真」に換え、「真打ち」となったといわれている。真打ち、つまり5月〜8月までの最後の出演者の落語を聴いた。いずれも、面白く、お腹を抱えて笑える話しを楽しんだ。真打ちの話は、本当に面白い。 最近は、鑑賞し終えた日の帰りがけに、翌月の落語鑑賞をLSC会員の参加者同士が話し合いその場で日程を決め、チケットを購入して帰るようになった。それは、当日鑑賞した寄席が面白く、また、聴きにきたくなる気持ちになるので、良い席を早めに確保して帰ろうという機運が高まったからである。9月の寄席が楽しみだ。【2019年8月18日】
写真上左:国立演芸場正面入り口 写真上右:国立演芸場内の緞帳 写真中左:歴代の落語名人の写真 写真中右:ものまねの江戸家子猫 写真下左:さだまさしからの回復祝いの花 写真下右:病気回復し高座に出演した三遊亭円楽
平成31年8月24日(土) 自宅にて記す |