社労士からのおたより

 
2010/09/07 17:26:14|ねづ通信
9月号
★賃金支払いの5原則(労働基準法第24条)
労働基準法には、使用者がまもらなければならない最低基準を定めています。その基準に違反する場合
は、労働基準監督署より指導又は勧告処分がされます。今回は、賃金支払いについて、5つの原則がある
ので、ご紹介します。

通貨払い・・・通貨で支払うこと・・・・・・・(例外)同意があれば振込OK
直接払い・・・直接本人に支払うこと・・・(例外)単に使い(使者)であればOK
全額払い・・・全額支払うこと・・・・・・・・(例外)労使協定締結すれば、控除可能
毎月払い・・・隔月払いはできない・・・・・(例外)賞与や臨時支払いはOK
定期払い・・・毎月同じ日に支払うこと

 ここで、問題になるのが、全額払いの原則です。法的根拠のある控除(源泉所得税、社会保険料、雇用保険料)はできますが、その他立替、貸付分、クリーニング代などを給与から勝手に控除することはできません。控除を適性に行うためには、労働者の代表と「賃金控除に関する協定書」を締結しておく必要があります。ただし、締結しても労働基準監督署に提出する義務はありませんが、社内に保管しておく必要があります。

★継続再雇用は同日得喪扱い(H22.9.1〜)
現在、60歳を超え64歳までの定年退職後、1日の空白期間なく同じ会社に雇用される場合は、資格喪失と資格取得届を同日に行うことで、標準報酬月額が変更されることになります。
 現行では、60歳を超え64歳までの間に継続再雇用されている場合は、被保険者資格も継続している取り扱いになっているため、再雇用により給与が下がっても3カ月経過後の4ヶ月目から標準報酬月額が変更され、在職老齢年金が計算されていましたが、9月からは該当者は「同日得喪」により、その月から新しい標準報酬月額により、在職老齢年金の計算が改められることになりました。
 ・・・3カ月早く在職老齢年金が多めに貰えることになるということですね。

★雇用保険の基本手当の日額等引き下げH22.8.1〜)
平成21年度の平均給与額が前年度より約2.3%ダウンしたことに伴い、8月1日から下記のとおり基本手当日額の最低及び最高額が引き下げされました。
(年齢)      (最高限度額))
    〜29歳 ・・・ 6,145円←(6,290円)  
30歳〜44歳 ・・・ 6,825円←(6,990円)
45歳〜59歳 ・・・ 7,505円←(7,685円)
60歳〜64歳 ・・・ 6,543円←(6,700円)
最低 1,600円 ←(1,640円)
高年齢雇用継続給付 限度額 327,486円←(335,316円)







2010/07/30 8:37:00|ねづ通信
8月号
★育児・介護休業法改正について
 施 行 日 : 平成22年6月30日
 改正内容 :
      改正前 →                    改正後
          ・事業主が1つ選択(義務化)  →  3歳に満たない子を養育する労働者に短時間
                                 勤務制度及び所定外労働の免除が義務化 ※
          ・看護休暇、年5日         → 2人以上いる場合、年10日の看護休暇付与
                               → 男性の育児休業取得促進 
                                   @父母共に取得する場合の休業期間延長
                                   A出産後8週間以内の育児休業取得促進
                                   B労使協定で専業主婦(夫)除外規定廃止
                               → 介護休暇新設 ※
                               → 育児・介護休業申出に対し、書面等で通知

         ※の部分のみ、常時100人以下の労働者を雇用する事業所は、H24.6.30まで
         猶予されます。
         就業規則等の整備を早急になさるようにして下さい。※部分は、猶予期間だとしても、
         いずれは実施するべきものなので、お早めにご検討ください。

★父子家庭にも児童扶養手当支給(H22.8.1〜)
  支給要件・・・@〜Dのいずれかに該当し、父がその子どもを監護し、かつ生計同一である場合
     @父母が離婚した子ども       
     A母が死亡した子ども     
     B母が一定の障害の状態にある子ども
     C母の生死が不明な子ども     
     Dその他(母が1年以上遺棄している子ども、母が1年以上拘禁されている子ども、母が
      婚姻によらないで懐胎した子どもなど)

  児童扶養手当の額・・・子どもの数や受給資格者の所得等に応じて決定されます。
     児童1人の場合には、41,720円(全部支給)。41,710円〜9,850円(一部支給)
     児童2人以上は、2人目5000円、3人目以降1人につき3,000円加算

  申請等・・・市区町村で手続きをします。
     申請時期:H22年7月31日までに支給要件該当している場合
                  ⇒ 11月30日までに申請すれば8月分から支給
            H22年8月1日〜11月30日までに支給要件該当する場合
                  ⇒ 11月30日までに申請すれば、該当した日の翌月分から支給
 ※ 11月30日を過ぎて申請すると、申請の翌月分からとなります。手続きはお早めにして下さい。


☆ 一言メモ ☆
H24.3.31で廃止される適格退職年金が、H22.3末現在、まだ17,184件(64,031億円)が移行していない現状です。生保や信託銀行等は、既に移行先として受付をしていないところが増加しています。移行期間に1年以上を要するため、最終的に廃止せざるを得ないでしょう。







2010/06/15 14:15:24|ねづ通信
7月号(30号)
★国民年金の免除申請・・・「退職による特例免除」
 厚生年金加入の会社を退職(失業)した場合、国民年金に加入しなくてはいけません。H22年度の保険料は、15,100円/月です。退職すると毎月国民年金を支払うことは難しい場合があります。そこで、離職したことを証明する書類を持参し、市町村又は年金事務所の窓口で「国民年金の免除申請」をすることができます。
 免除できるか否かの判断は、前年の所得に応じて決定されるところですが、 退職の場合は本人の所得は除外され、配偶者及び世帯主の所得のみで判断されます。 
 健康保険の任意加入より、保険料がお安くなる場合もありますので、一度見積もっていただいた方が良いです。

 申請 →→ 市役所所得確認 →→ 日本年金機構
 
                          ↓              
                       却下 又は 承認
              
                   却下 →→ 全額納付
                   承認 →→ 全額免除
                           1/4免除
                           半額免除
                           3/4免除
 免除申請をしておくメリット ・・・・
  @国庫負担分として1/2は
   老齢基礎年金に反映される。
  A障害や死亡した場合、
   年金が受給できる場合がある。

★国民健康保険の軽減措置創設
 倒産・解雇・雇止めなどによる離職者を対象に国民健康保険の軽減措置が創設されました。(平成22年度)  離職理由が、特定受給資格者及び特定理由離職者が対象となります。国保は前年の所得を元に計算されますが、該当者が申請した場合には給与所得を30/100とみなし保険料を計算します。該当離職者の詳細については、市役所にご確認下さい。   
 ・離職日が、H21.3.31〜H22.3.30 ⇒ 22年度の保険料が軽減対象   
 ・離職日が、H22.3.31〜H23.3.30 ⇒ 22・23年度の保険料が軽減対象   
 《添付書類》国保被保険者証・雇用保険受給資格者証(原本)・印鑑

★傷病手当金受給中の退職者
傷病手当金は、業務外の傷病等で継続3日以上休業している場合、4日目から1年6カ月支給されるものです。
4日目以降に退職された場合にも支給されます。ただし、退職日に挨拶や残務整理にと思い、出勤していてはその後傷病手当金が不支給になりますので、ご注意ください。
 退職後、老齢厚生年金等受けられるようになる場合には傷病手当金が不支給になりますただし、傷病手当金の方が老齢厚生年金等より多い場合には差額分が支給されます。
 失業保険は、労務可能状態 ⇔ 傷病手当金は労務不能状態 ・・・ 目的が違います。

傷病手当金=標準報酬日額の2/3







2010/05/21 14:37:30|ねづ通信
6月号(29)
1.年度更新及び算定基礎の時期を迎えます(7月10日まで)
労働保険の年度更新の書類及び社会保険の算定基礎届等書類が、5月下旬〜6月にかけて、各事業所に届く予定です。なお、算定基礎届の方は、顧問同意書提出している場合には、直接社労士事務所宛てに送付されます。
 
 A(21/4/1〜22/3/31)-----------B(22/4/1〜23/3/31) ------------ C(23/4/1〜)  
  H20年度確定             H21年度確定A              H22年度確定B
  H21年度概算A            H22年度概算B              H23年度概算C

清算 ⇒ A確定保険料ーA概算保険料=不足分は、一括納付。  プラス一般拠出金
                         =還付分は、還付してもらうのか次年度充当するのかに
                          よるが、一般拠出金は支払う(充当できない)。
次年度(H22年度)B概算保険料 ⇒ 40万円以上なら下記のとおり延納(分割納付)できるが、40万円未満なら一括納付。(労災・雇用いずれか一方のみの成立なら、20万円以上の場合延納できる)
-----------------------------------------------------------------------------------------------
   納付期限は、 第1期分 (7/10迄)、  第2期分(10/31迄)、  第3期分(1/31迄)
----------------------------------------------------------------------------------------------

※ 期中で人員増加などによる賃金増加見込みが要件に該当する場合、「増加概算保険料申告書」
   を提出して下さい。提出せず、年度更新の時申告すると、確定保険料分は一括納付なので、
   大変な負担増になります。

2.社会保険の算定基礎
  4月・5月・6月に支払った給与(交通費込み)総額の平均月額に対して、新たな標準報酬月額
  の社会保険料が9月分(10月末納付)から変わることになります。
  この届出は、毎年、7月1日〜10日(又は指定日)に提出することになっています。
  届出対象者は、7月1日現在の被保険者全員です。もちろん、休業中の方も届出対象者です。
  ただし、6月1日以降に被保険者となった方は、対象外となります。
  70歳以上で、被保険者の方も在職老齢年金の対象であるため、そして健康保険は75歳になる
  まで加入できるので「算定基礎届」の提出が必要です。その場合、備考欄に「70歳以上健保
  のみ」と記載しておけば結構です。
  70歳の誕生日前日に厚生年金保険の方は、資格を喪失するので「喪失届」提出しておく必要
  があります。

★健康保険の被扶養者の確認   
5月下旬より、協会けんぽから健康保険の被扶養者であるか確認の書類が郵送されます。18歳以上の被扶養者の方が、二重に保険制度に加入していないか確認するためです。異動等がある場合には、異動届を提出する必要があります。 
  被扶養者リスト・調書兼異動届・返信用封筒 ・・・協会けんぽから
      ↓     ↓

     異動あれば(7月末提出)
      ↓     ↓

  被扶養者リスト・調書兼異動届・保険証 ・・・協会けんぽへ


  
   
 







2010/05/12 16:02:52|ねづ通信
5月号(28)
★雇用保険改正(H22.4.1〜)

 H22.4.1〜雇用保険制度が一部変更となっています。
1.非正規労働者の雇用保険適用範囲の拡大
   旧 6か月以上の雇用見込み  → 新 31日以上の雇用見込み
         +               +
    週所定労働時間20H以上   →   週所定労働時間20H以上

  ※ 雇用契約31日未満でも、適用される場合として・・・・
   @雇用契約に更新する規定があり、雇止めの明示がない場合
   A更新規定ないが、雇用契約により雇用された者が31日以上雇用された実績が有る場合

  ※4月1日以前は、雇用保険の適用不該当者の4月1日以降の取り扱い・・・・
   4月1日以前から引き続き雇用されている労働者は、4月1日以後に31日以上雇用の見込みが
   あるかどうかによって雇用保険の適用の判断がなされます。

2.雇用保険料率の変更
  旧  一般事業の場合 11/1000  → 新  一般事業の場合 15.5/1000

      労働者負担  4/1000    →   労働者負担  6/1000
      会社負担    7/1000   →   会社負担   9.5/1000

  3. 雇用保険未加入者の遡及適用期間について(3/31施行日から9カ月以内の政令で定める日
    から施行)
    未加入者の遡及は2年前まで可能   →  雇用保険料が天引きされていた事実が確認
    された方は、2年を超えて雇用保険の遡及適用が可能

★ 助成金の改正等
 助成金関係が、この4月から大幅に改正されています。支給金額や支給要件変更、廃止、新規創設されたりしています。そもそも、助成金等は雇用の創出や安定のためのサポート的なものです。経済環境、労働環境等がそれぞれ年々違ってくるとその時にサポートが必要とされる部分を重点的に助成していきます。そのため、毎年支給要件等が変わってきます。特に年度が変わる時期には要注意です。また、助成金も一定の予算の中で行っているため、予算を使い切った場合には不支給になる可能性があります。
 助成金により、受付窓口がハローワーク、(財)21世紀職業事業財団、労働局、(独)雇用・能力開発機構などに分かれており、初回は特に添付書類等も多く、大変手続きが面倒なのが難点です。
 「初めに助成金あり」という意識では、会社運営は大変難しいと思います。あくまでも事業を行っていて、おまけとして貰うという認識でいくことをお勧めします。
 詳細につきましてはハローワークなどでご確認下さい。

助成金一覧表 : 新潟労働局