社労士からのおたより

 
2011/03/29 11:22:49|ねづ通信
4月号(39)
被災地の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

★労働時間に該当するか否か
労働時間に該当するか否かは、会社の業務命令や上司の指示があり、拘束されている時間であるか否かの判断によります。
労働時間に該当するか否かの判断は、例えば事故が生じた場合に重要になります。労働時間中の事故と認定されれば、業務に関連した労災事故となり、労災補償が受けられます。一方、労働時間中の事故と認められなければ、労災補償が受けられないことになり、個人の費用負担が発生することになります。
 例えば、
  ・作業服や制服着用する時間 ・・・・ 仕事する上で必要不可欠であり、義務である場合は労働
   時間です。
  ・始業前の体操は? ・・・・それに参加しなければ勤務評価に響き、賃金に反映するようなもので
   あれば、労働時間となります。
  ・昼休みの電話当番は? ・・・・・・ 各自に当然当番を割り当てられたものである
   なら労働時間となります。
  ・仕事を自宅に持ち帰った場合は? ・・・・ 会社の上司が、その持ち帰り仕事を承認し、又は、
   黙認した場合には労働時間となります。上司に断らず、無断で仕事を持ち帰った場合は労働
   時間とは言えません。
 労働時間の管理は、労働者の健康確保を図る目的や法令遵守の面から、今後は重要な課題
 です。

★助成金統合のお知らせ
平成23年4月1日統合予定
 有期契約労働者の正社員転換制度などを導入(就業規則等により)
         ・・・ 中小企業雇用安定化奨励金 ・・・@
 パートタイマーを正社員への転換制度や健康診断制度などを導入 (就業規則等により)
         ・・・ 短時間労働者均等待遇推進等助成金 ・・・A

  ⇒ @+Aを統合し、「均等待遇・正社員化推進奨励金」を創設予定

 4月1日以降、支給要件を満たした事業所は、新しい奨励金が支給されることになります。
  ア)正社員転換制度・・・制度導入し、対象者1人以上転換させた事業主へ
                        ・・・ 40万円(1事業主へ)
  イ)   〃      ・・・転換促進(対象者2人〜10人まで) 
                        ・・・ 20万円(労働者1人につき)
  ウ)共通処遇制度 ・・・正社員と共通した処遇制度導入し、実際適用  
                        ・・・ 60万円(1事業主へ)
  エ)短時間正社員制度・・・制度導入し、対象者1人以上適用
                        ・・・ 40万円(1事業主へ)
  オ)   〃        ・・・定着促進(2人〜10人まで) 
                       ・・・ 20万円(労働者1人につき)
  カ)健康診断制度 ・・・・・・パートタイマーや有期契約労働者に制度導入し、実際適用
                       ・・・ 40万円(1事業主へ)
注意!!
  支給対象期間は、短時間正社員制度以外は制度導入から2年間です。対象期間が短いため、
  制度導入しても、該当者が出ない場合には、助成金は支給されません。
  また、この制度を利用する場合には、就業規則等に定める必要があります。
  支給申請時期は、制度導入・適用後6カ月経過後からとなります。⇒早くても H23.10.1以降に
  申請が可能となります。 ・・・・ 支給要件詳細については、都道府県労働局雇用均等・児童
  家庭局 短時間・在宅労働課







2011/02/23 11:20:54|ねづ通信
3月号(38)
労働時間等の適用がされない場合(例外)について
 原則 : 1日8時間、週40時間
 例外 : 労働基準法第41条 ・・・(労働時間、休憩、休日についての規定を適用しない)
     @管理監督者
     A監視又は断続的労働に従事する者で、監督署の許可を受けた者
     B農林(林業は除く)・水産業に従事する者・・・(農業・畜産・水産業従事者等)

会社内で、○○部長・○○次長・○○課長など名称で呼ばれ、若干の手当を支給することで、時間外労働や休日出勤等に対する賃金を支給しないで良いと思われている事業所が多いですが、実際、監督署が注目するのは「実態」です。日本マクドナルド事件で注目されたいわゆる「名ばかり管理職」では、職務内容、責任と権限、勤務態様、待遇を踏まえ実態によって客観的 に判断され、管理監督者に該当しないため時間外割増賃金支払い命令が出されました。
 その判断基準は、通達により示されています。
  1)経営者と一体的な立場で仕事をしている
  2)出社、退社や勤務時間について厳格な制限をうけていない・・・(出退勤時間の裁量が自分に
   ある)
  3)その地位にふさわしい待遇がされている・・・(一般社員に比べ、相当の待遇がされている)

 各事業所において、上記の判断基準を踏まえ、管理監督者であると主張するのが難しい場合には、役職手当に一定時間分の時間外手当等が含まれていることを明確にし(○○時間分の割増賃金含むなど)、それを超える時間外労働をした場合には別途支給する旨を賃金規程や労働条件通知書等で明確にする必要があるかと思います。
 労働時間、休憩、休日についての規定が適用されない管理監督者であっても、深夜労働時間(午後10時〜午前5時)については、割増賃金を支給しなければいけません。それは、深夜時間帯についての割増分という考えのためです。
 また、一般労働者同様、管理監督者にも年次有給休暇を付与する必要があります。
 
 監視に従事している労働者・・・門番、守衛、車両誘導を行う駐車場等の監視など
 断続的労働に従事している労働者・・・通常は業務閑散だが、事故に備え待機している者。
                         学校の用務員、寮母など


★平成23年度の年金について
国民年金保険料が平成23年4月から。毎月15,020円となります。平成22年度は15,100円でしたが、物価スライドにより、0.4%引き下げとなりましたので年金支給額も徴収する国民年金保険料も0.4%分ダウンしています。ただし、厚生年金加入されている被保険者の保険料は、平成29年まで毎年アップしていく予定です。
 
 国の発表によると・・・
  自営業者等   =国民年金受給額(満額)  平成22年度   792,100円 
                            ↓
                       平成23年度   788,900円/年

  サラリーマン等と妻 =厚生年金受給額(平均)  平成22年度  2,791,100円                    
                            ↓
                       平成23年度  2,779,800円/年

  (厚生年金は2人分含⇒ 夫:平均標準報酬額36万円、40年間勤務 + 妻:専業主婦  )
   







2011/01/31 12:41:07|ねづ通信
2月号(37)
★労働時間について
労働基準法で決められている労働時間は、週40時間、1日8時間です。(第32条)
その時間内での労働であれば法律違反とはなりませんが、週40時間を超えての労働、1日8時間を超える労働は法律違反となります。ただし、労働基準監督署に「時間外労働及び休日労働に関する協定書」(サブロク(36)協定・・・労基法第36条)を提出すれば、その届け出た労働時間の範囲内の残業や休日労働を認めるというものです。すなわち、36協定を出すことで残業させても法律違反とはなりません。この36協定は、自動更新とはならず毎年監督署への届出が必要となります。
法定労働時間(週40時間、1日8時間)を超えての労働時間に対しては、割増賃金を支払わなければいけません。これに関しても、労働基準法で一定の割増率が決められていますので、違反しないように気をつけなければいけません。

 
 所定労働時間 : 9時〜17時  → 就業規則等で決められた労働時間
 法定労働時間 : 9時〜18時  → 労基法で決められいる労働時間(8時間)
 実労働時間   : 9時〜23時  → 実際の労働時間


9時―――― 12時〜昼〜13時 ――――― 17時――― 18時―――― 22時 ―― 23時 

17時〜18時は、所定外労働時間100%支給しても125%支給してもOK(会社の裁量)
18時〜22時までは、通常の賃金に割増賃金25%増しで支給
22時〜23時は、更に深夜割増賃金25%増しで支給(25%+25%=50%)

1週40時間、1日8時間以内の労働時間及び休日勤務ない場合・・・・ 36協定の届出は不要
上記を超えた労働で、週15時間、1ヵ月45時間以内の時間外労働  ・・・・ 36協定の届出が必要
また、週15時間、1ヵ月45時間超えてのやむを得ない事情での時間外労働の場合・・・・ 特別条項付きの36協定届出が必要


★年金の税金について
支払われる年金が108万円(65歳以上は158万円)未満は、所得税が0となり課税されません。しかし、それ以上貰っている場合は・・・
 ・扶養親族等申告書を提出された場合 ・・・ 源泉徴収額=(年金支給額ー社会保険料−各種
  控除額)×5%
 ・申告書不提出の場合 ・・・・ 源泉徴収額=(年金支給額ー社会保険料)×7.5%
厚生年金基金の場合は、108万円(65歳以上は80万円)未満の場合は源泉徴収されません。
また、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金、適格年金等の年金は、扶養親族等申告書がないため、支払額の7.5%が源泉徴収されることになります。

 







2011/01/05 13:40:00|
HPのご案内







2011/01/05 13:28:36|ねづ通信
1月(36号)
★退職時の証明等
労働者から請求がある場合の手続きとして・・・
 @「退職時証明書」 ・・・・ 使用期間、業務の種類、地位、賃金または退職事由(退職事由が
  解雇の場合にあっては、その理由を含む)遅滞なく交付する  必要があります。これに違反する
  と30万円以下の罰金が科せられます。
  証明書には、労働者が請求しない事項を記載してはいけません。これも罰金が科せられます。

 A「解雇理由証明書」 ・・ 請求された場合 、解雇予告がされた日から遅滞なく交付する必要
  があります。解雇の事実のみについて証明書を請求された場合には、解雇の理由を記載しては
  ならず、解雇の事実のみを記載することになります。

 B金品の返還請求 ・・・  労働者の死亡、退職、解雇などにより、労働関係が終了した場合、
  権利者からの請求があった場合、請求日から7日以内に、未払賃金支払、積立金、貯蓄金など
  労働者の権利に属する金品を返還しなければなりません。権利者とは、労働者やその遺族
  のことです。
  退職手当は、就業規則等の定めがある支払期日でOKです。
  違反者には、30万円の罰金が科せられます。

 C必要な旅費支払 ・・・  労働条件が事実と相違する場合に、住居を変えた労働者が解除し、
  14日以内に帰郷するときに旅費を支払わなければなりません。違反は30万円の罰金。 

★営業秘密
最近、情報漏えいや顧客リストの持ち出しなどの記事をよく見かけます。顧客情報、商品の製造方法、設計図、販売マニュアル等の営業情報が「営業秘密」に該当します。「営業秘密」は、不正競争防止法により保護されており、知的財産の一種と考えられています。特許庁への登録はなくても保護される対象となっていますので、これに違反した場合又は違反するおそれがある場合には、不正競争防止法に基づく差止めや損害賠償を請求することができます。

 「営業秘密」として保護される要件として
   @秘密管理性 ・・・ 企業が秘密にしようとする意思が必要の上、誰でもアクセスできるのでは
    なく、アクセス者を特定しておくことが大事。「マル秘」、「持ち出し禁止」など明記。
   A事業活動に有用 ・・・ 営利活動に役立つこと
   B非公然性 ・・・ 公然と知られていないこと

平成22年1月から「営業秘密侵害罪」の要件が見直され、処罰対象が拡大されています。
  (以前)不正競争の目的による行為を処罰対象としていた
  (改正)「不正の利益を得る目的」又は「保有者に損害を与える目的」による行為を処罰の対象に。
       管理任務のある者が背いて営業秘密を横領する行為や無断コピーする行為等が処罰
       対象に。