社労士からのおたより

 
2011/05/26 13:50:17|ねづ通信
6月号(41)
★法定3帳簿
労働監督署が調査する場合、必ず法定3帳簿をチェックします。また、労働基準法にも条文として記載されているほど重要な書類となっています。労基署の調査のみならず年金事務所の調査の場合にも必要となりますので、事業所に常に整備されていなければなりません。
  @労働者名簿
  A賃金台帳
  B出勤簿(タイムカードなど)
 
 上記記録の保存期間は、3年間です。雇用保険の資格取得及び喪失の場合には、退職後4年間となっています。また、社会保険の書類等は2年間保存しなくてはなりません。保存期間が、それぞれ違いますので煩わしいところですが、各事業所では管理しやすい方法で対応されていれば良いかと存じます。統一して5年間保存するという立場でも結構です。

 罰則  上記の作成義務に違反した場合、30万円以下の罰金が課せられます。

3帳簿は、調査のみならず、雇用保険得喪手続き、労災事故が発生したとき、休業したとき、傷病手当金申請などに必要になります。事務手続きをする上でもスムーズな対応ができることになりますし、助成金申請においても迅速に処理ができることに繋がります。この機会に是非事業所で整備しておかれることをお勧め致します。

★今後の行方
@自動車業界が夏場の節電で木曜日と金曜日休業の方針(5月12日)
 日本自動車工業会は、夏場の電力不足に備える節電対策として、電力消費量が多いとされる
 木曜日と金曜日の営業を7〜9月の間は全国の工場を休業とし、土曜日と日曜日に稼動させる
 方針を明らかにしました。
 それに伴って、多くの企業も土曜日・日曜日に稼働日を移す可能性が高まってきます。
 また、今年の夏季休暇は、例年の夏季休暇とは違う日程を設定してくる企業もでるでしょう。
 いずれにしても、今年の夏は企業も労働者にとっても過ごしにくい季節といえます。徹底した
 クールビズで夏を乗り切る工夫が求められます。

A介護保険料の納付対象者を40歳未満に拡大  厚労省検討(5月4日)
 厚生労働省は、政府の「税と社会保障の一体改革」において、介護保険料の納付対象者を40歳
 未満にも拡大する案を提示する方針を示しました。高齢化に伴う介護給付費の増加に対応する
 ためだそうです。
 負担が増える一方、不安定な労働環境の中でますます将来に対して希望を見出せない若年者が
 増えるのではないかと心配しますが、震災後、東北の若者の明るい笑顔に将来の望みをかけて
 みたくなります。

★商業・法人登記事務取扱の変更
6月6日から、標記の件について下記の通り変更します。ただし、登記事項証明書や印鑑証明書の交付に関しては、引き続き所沢支局でも取り扱うそうです。今後、面倒になりますね。
  法人登記業務は、所沢支局 ⇒ 本局(さいたま地方法務局法人登記部門・・・
                       最寄駅は与野本町駅)での取扱へ







2011/04/26 13:10:38|ねづ通信
5月号(40)
★変形労働時間制
労働基準法第32条 (労働時間)
 原則 :1日8時間、週40時間を超えて労働させていはいけない
  ↓
 しかし、デパート・小売・旅館業・サービス業など、特定の期間に繁忙期間が集中している場合、原則通りにいかないのが実情です。その場合、変形労働時間制を採用してみるのも一案かと思います。
 変形労働時間制には、1箇月単位・1年単位・1週間単位やフレックスタイム制などがあります。
例えば、月初と月末のみが忙しくていつも残業、・・・・原則通りだとその残業時間に対して、割増賃金が毎月発生し、会社にとっては経費の負担増となってしまいます。そこで、1箇月変形を採用し、1箇月平均して週40時間以内になれば、割増賃金の発生が抑制されることになります。忙しい時期は多く働き、暇なときはそれより短い時間で働き、トータルで1箇月間で平均して週40時間になればOKということです。
 4月・・・30日の場合、40h×30日/7日=171.4h  ⇒ 171.4時間の範囲内で
      週の時間を調整します。
    ex  第1週 労働時間合計50h  、 第4週 労働時間合計50h
        第2週 労働時間合計35h  、 第3週 労働時間合計35h
       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
       第1週目(月)10h、(火)10h、(水)10h、(木)10h、(金)10h  計50h
       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    ⇒ すなわち、1箇月171.4時間内に収まっているため、1週目に1日9時間労働しても
      割増賃金は不要となります。
      しかし、上記の第1週の労働時間が52時間になってしまったら、オーバーした2時間分の
      割増賃金の支払いは必要となります

★雇用調整助成金(震災)のお知らせ
 この度の東北地方大震災の影響で、日本各地において事業活動が縮小された企業が多いかと存じます。そのため、従来からの雇用調整助成金に加え、下記の事例等に該当する場合には、助成金の申請が可能になります。(厚生労働省のリーフレットより)

 事例 : @交通手段の途絶えにより従業員が出勤できない、来客がない・・・事業活動縮小
      A原材料の入手や製品の搬出ができない・・・・事業活動縮小
      B計画停電・・・・事業活動縮小
      C風評被害により観光客が減少したり、農作物の売上が減少
      D事業所、設備等が損壊し、修理業者の手配や部品の調達が困難なため早期の修復が
       不可能な場合など・・・生産量が減少
       ↓        ↓        ↓         ↓
 支給要件 @雇用保険の適用事業所である
        A生産量又は売上高など最近3カ月間の月平均値がその直前又は前期同期に比べ
         5%減少している
        B休業手当を支給している  
※ 詳細は、お近くのハローワークにお聞き下さい。


★継続雇用制度の基準について労使協定が必要(H23.4.1〜)
 H23.4月以降「継続雇用制度」の対象者の基準を、労使協定を締結せず、高年齢者が離職した場合には「事業主都合」による退職とみなされます。その場合、助成金を受けている事業所や受ける予定のある事業所は不支給となる可能性はありますので、ご注意下さい。







2011/03/29 11:22:49|ねづ通信
4月号(39)
被災地の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

★労働時間に該当するか否か
労働時間に該当するか否かは、会社の業務命令や上司の指示があり、拘束されている時間であるか否かの判断によります。
労働時間に該当するか否かの判断は、例えば事故が生じた場合に重要になります。労働時間中の事故と認定されれば、業務に関連した労災事故となり、労災補償が受けられます。一方、労働時間中の事故と認められなければ、労災補償が受けられないことになり、個人の費用負担が発生することになります。
 例えば、
  ・作業服や制服着用する時間 ・・・・ 仕事する上で必要不可欠であり、義務である場合は労働
   時間です。
  ・始業前の体操は? ・・・・それに参加しなければ勤務評価に響き、賃金に反映するようなもので
   あれば、労働時間となります。
  ・昼休みの電話当番は? ・・・・・・ 各自に当然当番を割り当てられたものである
   なら労働時間となります。
  ・仕事を自宅に持ち帰った場合は? ・・・・ 会社の上司が、その持ち帰り仕事を承認し、又は、
   黙認した場合には労働時間となります。上司に断らず、無断で仕事を持ち帰った場合は労働
   時間とは言えません。
 労働時間の管理は、労働者の健康確保を図る目的や法令遵守の面から、今後は重要な課題
 です。

★助成金統合のお知らせ
平成23年4月1日統合予定
 有期契約労働者の正社員転換制度などを導入(就業規則等により)
         ・・・ 中小企業雇用安定化奨励金 ・・・@
 パートタイマーを正社員への転換制度や健康診断制度などを導入 (就業規則等により)
         ・・・ 短時間労働者均等待遇推進等助成金 ・・・A

  ⇒ @+Aを統合し、「均等待遇・正社員化推進奨励金」を創設予定

 4月1日以降、支給要件を満たした事業所は、新しい奨励金が支給されることになります。
  ア)正社員転換制度・・・制度導入し、対象者1人以上転換させた事業主へ
                        ・・・ 40万円(1事業主へ)
  イ)   〃      ・・・転換促進(対象者2人〜10人まで) 
                        ・・・ 20万円(労働者1人につき)
  ウ)共通処遇制度 ・・・正社員と共通した処遇制度導入し、実際適用  
                        ・・・ 60万円(1事業主へ)
  エ)短時間正社員制度・・・制度導入し、対象者1人以上適用
                        ・・・ 40万円(1事業主へ)
  オ)   〃        ・・・定着促進(2人〜10人まで) 
                       ・・・ 20万円(労働者1人につき)
  カ)健康診断制度 ・・・・・・パートタイマーや有期契約労働者に制度導入し、実際適用
                       ・・・ 40万円(1事業主へ)
注意!!
  支給対象期間は、短時間正社員制度以外は制度導入から2年間です。対象期間が短いため、
  制度導入しても、該当者が出ない場合には、助成金は支給されません。
  また、この制度を利用する場合には、就業規則等に定める必要があります。
  支給申請時期は、制度導入・適用後6カ月経過後からとなります。⇒早くても H23.10.1以降に
  申請が可能となります。 ・・・・ 支給要件詳細については、都道府県労働局雇用均等・児童
  家庭局 短時間・在宅労働課







2011/02/23 11:20:54|ねづ通信
3月号(38)
労働時間等の適用がされない場合(例外)について
 原則 : 1日8時間、週40時間
 例外 : 労働基準法第41条 ・・・(労働時間、休憩、休日についての規定を適用しない)
     @管理監督者
     A監視又は断続的労働に従事する者で、監督署の許可を受けた者
     B農林(林業は除く)・水産業に従事する者・・・(農業・畜産・水産業従事者等)

会社内で、○○部長・○○次長・○○課長など名称で呼ばれ、若干の手当を支給することで、時間外労働や休日出勤等に対する賃金を支給しないで良いと思われている事業所が多いですが、実際、監督署が注目するのは「実態」です。日本マクドナルド事件で注目されたいわゆる「名ばかり管理職」では、職務内容、責任と権限、勤務態様、待遇を踏まえ実態によって客観的 に判断され、管理監督者に該当しないため時間外割増賃金支払い命令が出されました。
 その判断基準は、通達により示されています。
  1)経営者と一体的な立場で仕事をしている
  2)出社、退社や勤務時間について厳格な制限をうけていない・・・(出退勤時間の裁量が自分に
   ある)
  3)その地位にふさわしい待遇がされている・・・(一般社員に比べ、相当の待遇がされている)

 各事業所において、上記の判断基準を踏まえ、管理監督者であると主張するのが難しい場合には、役職手当に一定時間分の時間外手当等が含まれていることを明確にし(○○時間分の割増賃金含むなど)、それを超える時間外労働をした場合には別途支給する旨を賃金規程や労働条件通知書等で明確にする必要があるかと思います。
 労働時間、休憩、休日についての規定が適用されない管理監督者であっても、深夜労働時間(午後10時〜午前5時)については、割増賃金を支給しなければいけません。それは、深夜時間帯についての割増分という考えのためです。
 また、一般労働者同様、管理監督者にも年次有給休暇を付与する必要があります。
 
 監視に従事している労働者・・・門番、守衛、車両誘導を行う駐車場等の監視など
 断続的労働に従事している労働者・・・通常は業務閑散だが、事故に備え待機している者。
                         学校の用務員、寮母など


★平成23年度の年金について
国民年金保険料が平成23年4月から。毎月15,020円となります。平成22年度は15,100円でしたが、物価スライドにより、0.4%引き下げとなりましたので年金支給額も徴収する国民年金保険料も0.4%分ダウンしています。ただし、厚生年金加入されている被保険者の保険料は、平成29年まで毎年アップしていく予定です。
 
 国の発表によると・・・
  自営業者等   =国民年金受給額(満額)  平成22年度   792,100円 
                            ↓
                       平成23年度   788,900円/年

  サラリーマン等と妻 =厚生年金受給額(平均)  平成22年度  2,791,100円                    
                            ↓
                       平成23年度  2,779,800円/年

  (厚生年金は2人分含⇒ 夫:平均標準報酬額36万円、40年間勤務 + 妻:専業主婦  )
   







2011/01/31 12:41:07|ねづ通信
2月号(37)
★労働時間について
労働基準法で決められている労働時間は、週40時間、1日8時間です。(第32条)
その時間内での労働であれば法律違反とはなりませんが、週40時間を超えての労働、1日8時間を超える労働は法律違反となります。ただし、労働基準監督署に「時間外労働及び休日労働に関する協定書」(サブロク(36)協定・・・労基法第36条)を提出すれば、その届け出た労働時間の範囲内の残業や休日労働を認めるというものです。すなわち、36協定を出すことで残業させても法律違反とはなりません。この36協定は、自動更新とはならず毎年監督署への届出が必要となります。
法定労働時間(週40時間、1日8時間)を超えての労働時間に対しては、割増賃金を支払わなければいけません。これに関しても、労働基準法で一定の割増率が決められていますので、違反しないように気をつけなければいけません。

 
 所定労働時間 : 9時〜17時  → 就業規則等で決められた労働時間
 法定労働時間 : 9時〜18時  → 労基法で決められいる労働時間(8時間)
 実労働時間   : 9時〜23時  → 実際の労働時間


9時―――― 12時〜昼〜13時 ――――― 17時――― 18時―――― 22時 ―― 23時 

17時〜18時は、所定外労働時間100%支給しても125%支給してもOK(会社の裁量)
18時〜22時までは、通常の賃金に割増賃金25%増しで支給
22時〜23時は、更に深夜割増賃金25%増しで支給(25%+25%=50%)

1週40時間、1日8時間以内の労働時間及び休日勤務ない場合・・・・ 36協定の届出は不要
上記を超えた労働で、週15時間、1ヵ月45時間以内の時間外労働  ・・・・ 36協定の届出が必要
また、週15時間、1ヵ月45時間超えてのやむを得ない事情での時間外労働の場合・・・・ 特別条項付きの36協定届出が必要


★年金の税金について
支払われる年金が108万円(65歳以上は158万円)未満は、所得税が0となり課税されません。しかし、それ以上貰っている場合は・・・
 ・扶養親族等申告書を提出された場合 ・・・ 源泉徴収額=(年金支給額ー社会保険料−各種
  控除額)×5%
 ・申告書不提出の場合 ・・・・ 源泉徴収額=(年金支給額ー社会保険料)×7.5%
厚生年金基金の場合は、108万円(65歳以上は80万円)未満の場合は源泉徴収されません。
また、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金、適格年金等の年金は、扶養親族等申告書がないため、支払額の7.5%が源泉徴収されることになります。