なんか、感動した。
20年近く前の話だが。親が1室持ってるマンション。管理組合の集金を幹部が使い込みしたんじゃないか、という事件が起きて、当時ちょうど回り持ちの管理組合長かなんかになってた父親が弁護士さんと一緒に右往左往していたんだけど。その弁護士さんのお嬢さんがエジプトで起きたテロ事件の犠牲になった、と聞いてビックリした覚えがある。確かに連日新聞で報道はされていたが、それに巻き込まれた人が身近にいる、というのは何とも言えない感じがして。
その後、遺族の方々がエジプトに赴いて、その記念写真なるものが新聞に載った。同じ場所に同じ時間帯にたまたまいた、その結果、全く今まで知り合いでも何でもない人達が同じ問題に向き合うのはどんな感じがするものなのか、テロの現場でもあるピラミッドの前の「記念写真」に見入って考えてしまった。その写真は頭に刷り込まれてしまったようで、時々思い出してしまう。
そういう事件に向き合わなければならなくなった2つの家族の話です。映画の最初は、家族間の格差みたいな説教臭い話なのかな、と思ったんだけど、全然違いました。
観ながら考える。野々宮さんに凄く共感するんだ。そうだよね、そうそう!って。野々宮さんみたいな男の人って今でも多そうだよね。自分の父親みたいなこんな自堕落な奴になってたまるか!と思いつつ、物事に対する対応が結局同じ。クソまじめで気持ちのこわばりがほどけない。自分もそうだもの。このあたりは、現実にそういう事を経験していないと分かりにくいかもしれないが。
で、一方では、自分の仕事から断言できるのね。血縁なんか大したことじゃないって。動物って、血縁もくそもないけど、皆さん大切にしちゃう。子供だってそうさ、きっと。
この映画を観て、改めて、自分に子供はいないけど、それでよかった、と思う。なんか絶対に野々宮さんみたいになりそうだな、と思って。子供を直接育てるのに向いてないんですよ。その代わりと言ってはなんだが、子供を育ててる方の味方にはなれる。仕事を通じて、ささやかながらそれを続けているつもりなんですけどね。
野々宮さんのとても偉い点は、そうしたご自分の欠陥を不器用ながら埋めようとなさるところ。これが、この映画の題名でもあり、テーマでもあると思います。それを10年続けたら、ヘンなお父ちゃんになれるよ!!とエールを送りたい。つくづく思うんです、物事は慣れだって。自分は全く親から褒められたことがない、から、褒め言葉がいつも喉に詰まってた。けど、一日100回言うぞ!!と決めたら、簡単に口に出せるようになりました。結局慣れだな、と、その経験から断言できるんです。
この映画に出てくるピアノ曲。ブルグミュラーの曲は、ピアノをある程度まで習ったことのある人なら誰でも知っていると思う。こういう使われ方をするとは!!ゴルドベルク変奏曲も、グリーグの抒情小曲集もですが。使われ方が素晴らしいと思います。
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