シネマ日乗

入間アイポットのユナイテッド・シネマ入間で観た映画の感想が中心になります(多分)。 ネタバレになってしまう可能性も・・・・・・。 その辺、ご留意ください。
 
2018/04/01 22:29:00|映画 は行
ブラックパンサー
 アウンサンスーチーという人がいて。この人が自宅に軟禁されている間は、ミャンマーに対して非難ごうごうでしたっけ。しかーし、この人が社会に復帰して権力を持ったら。今度は彼女がやりたい放題やり始めて(としか思えないんだが)、それからこっち、この人、人相悪くなったな〜〜、と思うんですよ。権力を持つと、人間ろくなことにならない、という典型のような。
 ことほどさように、権力というのは取り扱いが難しい、らしい。
 こんな事を考えさせられる、というだけで、この映画はマーベルスタジオの映画群の中では1ランク上のような気がします。

 主人公は、最初は皇太子なんですよ。先代の王(つまり彼の父親)がテロに巻き込まれて死んじゃって、彼は近くにいたけど助けられなくて、けどメソメソしている暇はない、すぐ次期国王にならないと、というところから話がはじまります。なーんか頼りなさそうなお兄ちゃんだなあ、と思いつつ見てたんですが、色々事件が起こって、それなりに王様らしくなってゆく、という話。この王様が君臨するワカンダという国は、アフリカにあるんだけど、極めて高度な文化や科学技術を持っている、という設定になってます。ブラックパンサーというのは一種のパワードスーツなんですね。ワカンダの科学技術の賜物なわけ。

 もちろん、悪役がいなくちゃ話が進みません。この人は王族の血を引いてて、なんとかして王権を手に入れて、ワカンダの技術等々を使って世界征服チックなことができないかと考えている。で、すったもんだ、という。

 この映画は美術がいいです。ワカンダは本当にありそうなリアリティをもって描かれてまして、アフリカの美術品等々から得たデザインが隙なくちりばめられてて、それに圧倒されました。音楽も、アフリカの太鼓等々を使った、とても印象的なもの。その辺、アフリカの文化にきちんと敬意を払ってつくられているのが分かる、好感が持てます。主人公達がしゃべる言葉も、ワカンダ語がちゃんとあって、英語はなまってる。ディテールがちゃんとしているから、リアルなんですね。CGだらけの映画なんだけど、そうやってリアル感をつくっているのがいいなあと思いました。

 でね、観てて思ったんだけど、アフリカは実際にはヨーロッパの南蛮人の男どもにやりたい放題やられた挙句、勝手に国境まで決められちゃって、分割されちゃったでしょ。日本は実にラッキーだったんだなあと。マルコ・ポーロが「東方見聞録」でないことないこと書いてくれたおかげで、もし、太平洋&南米大陸がなかったら、日本は略奪の限りを尽くされた可能性が高い。アフリカも、搾取を受けなければワカンダみたいな国を作れてた可能性だって大いにあるわけで。ので、結局、こういう映画を観ても、なんか釈然としないというか、忌々しいのう、てなっちゃうんですよ。

 ブラックパンサーさん、お次は「アベンジャーズ・なんちゃら」とかいうのに出るらしいんですけど、どうやら「強い奴のインフレ」映画みたいなんだ〜。北斗の拳かよ〜〜。

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2018/03/31 23:21:04|映画 さ行
シェイプ オブ ウォーター
 今年のアカデミー作品賞は「スリー・ビルボード」じゃないかと予想してたんですが、この映画が選ばれました。観てみて、成程と。

 要するに「ウルトラセブン」みたいなお話です。1962年という時制設定で、そっかー、1900年代ってすでに「時代劇」なのかなあ、と。英語じゃない言語が出てきて、最初何語だろうと思ったらロシア語というわけで、この映画の背景には米ソ冷戦が絡んでいる。お互いに科学の面でも相手国を出し抜こうじゃないか、そこへ、南米の川で怪人らしき生物を捕まえた、さてどうするか?となる。異形は敵、という連中に対して、自らが異形とさせられてる人達が対抗する話、と言えばいえる。無意味な暴力に対抗する話でもある。暴力しか使えない男どもが大変情けなく見えてきます。

 主人公のイライザさんはろうあ者で、仕事仲間のゼルダさんは黒人、イライザさんが住んでるアパートの同居人の画家さんは(多分)同性愛者、1960年代ではもうはじかれまくる人達ばかり。怪人様の生物は、当然酷い扱いを受ける、のをイライザさんが何とか助け出そうとして、周囲の人達も巻き込んでいくわけですが、相手はろくでなしだが一筋縄じゃ行かない、頭もそこそこいい男。ので、ものすごくサスペンスがあります。どうなっちゃうんだ〜〜?とハラハラさせられる。

 こないだ観た「馬を放つ」でも、主人公の奥さんがろうあ者で、主人公とケンカするときに、手話がかなり迫力があったんですが、この映画でも、そんな感じです。どちらの映画でも、手話を自分の言葉として使っていらっしゃるので、そう感じるんですね。演じた方は相当訓練したと思います。

 敵役の男どもが、アメリカ人のくせしてナチスそっくりに見えて、なんだろうねこれは、と思うわけです。軍属なんて所詮そんなもんか。その男の家庭というのがまさに「奥様は魔女」風で、こんな家庭像に我々日本人は騙されたんだなあ、とムカついてました。

 思い出したのが、諸星ダンとアンヌ隊員。そのエピソードを膨らませたような話がアカデミー受賞かあ。ウルトラセブンの放映って1970年代そこそこ、当時の日本の子供番組の質の高さを考えてしまいました。ただね、当時の日本の大人の皆さん、子供相手に問題提起するくらいなら、ご自身で行動されるべきだったのではないですか?

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2018/03/28 20:39:00|映画 あ行
馬を放つ
岩波ホールで観る。キルギスという、あまり知られていない国の映画です。
 この映画の重要な登場人物(?)の一つが馬なんだけども、日馬連もJRAも後援等に立っておりません。そりゃそうだ、日馬連ともJRAとも袂を分かつような内容ですからねえ。

 お話は、題名の通り。村があって、どうやら幹線道路沿いらしいんだけど停まってく車は少ない、という田舎。そこで競走馬を飼ってて一山当てようという、金持ちのおじさんが購入した、飛びっきりの馬が盗まれて行方不明、になるとこから話が始まる。盗んだ奴が誰か、が実は最初から明らかになっているのだけど、話はそこでとどまらない。どんどん広がっていく。上映時間は1時間半程度だし、話のテンポもゆっくりなんだけど、考えさせられることが多くて、頭は大変でした。

 非常にびっくりしたのが、イスラム教をかなり手厳しく批判しているところ。イスラム教は、あまり批判を受け入れない(まあどの宗教も同じですがね)ように思うので、監督さんの身の安全について、一瞬不安になってしまったくらい。
 例えば、おばさんがあれこれ意見を述べると、イスラム教の偉いさんが「女は黙ってろ!」とやって、それに対して村人のおじさんが「キルギスでは、昔っから女が仕切ってたんだ。戦にだって行ってる、なんだその言い草は!!」と言い返すところ。あるいは、馬を持ってる金持ちのおじさんのとこにイスラム教の人たちが来て、メッカに巡礼する金をくれよ〜〜、とたかる。1人分出せば2人分、2人分出せば3人分(だったっけ?)って功徳があるんだそうな。もちろん、金持ちおじさんがハイハイと出すわけがない。こういうの、ありますよねえ、壺買ってよ、功徳があるよお、とかさ。

 で、馬はどうかというと、やはり非常に重要ですが、馬乗りでないと、ピンとこないかもしれない。こいつ、馬の乗り方が荒いなあ、という奴が結構重要人物なんですが、その男は馬も自分の連れ合いも鞭でぶん殴る(こういう暴力被害者の女の卑屈さ加減も、映画は描いていて、その辺容赦ない)。しかし一方、その男はほかの奴に殴られたりしている。そういう暴力連鎖をイスラムは全然止められてないじゃないですか、と映画は語っているのだ。それを一番隅っこで黙々と受け止めてしまっているのが馬で、それを解放したい、という男の話でもあるんです。こういう暴力連鎖、結局男もそれに縛られてるってわけでね。

 これはねえ、日本でも同じですよ。暴力の一番の被害者は子供&動物で特に馬は酷い。けど、それに気づく日本の馬乗りは何人いるんだ?多分いないでしょうよ。あーあ。

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P.S この映画、ちょいアクセントに「映画っていいですよね〜〜」というのが出てきます。主人公の昔の仕事が映写技師だった、というのが伏線。(多分)昔のキルギス映画がちらっと上映される、のがタマラン!!普段使っているのはキルギス語だけど、ロシア語が公用語で、というエピソードも。これは、キルギスがかつてソ連邦に吸収されていたから、でしょう。他にもあーこれ、となるシーンが意外とあるんですよ。キルギスの人は正座するのかあ〜とか。見どころが多い。キルギスにちょっと行ってみたくなる人も出てくるかもしれません。







2018/03/21 1:00:52|映画 か行
今夜、ロマンス劇場で
 これはいい映画です。最終回にやっとこさ観にいけました。最終回なのに人多し。いい作品の証拠といえよう。観にいってよかった〜〜。

 プロットは、いい映画になる鉄板、というもの。つまり「映画っていいよね」というのと、映画の主人公が現実社会に出てきちゃってさあ大変、というのと。映画の主人公が現実に出てきちゃって、というの、有名なのは「カイロの紫のバラ」ですよね。「ラスト・アクション・ヒーロー」もそうか。「映画っていいよね」の場合は、「アメリカの夜」や「ニュー・シネマ・パラダイス」とか。そんないろんな映画の好きなシーンが、観ていると、何となく頭に浮かぶのだ。しかし、この映画、結末が、こう来たかあ〜〜〜!というあたりが、いいです。相当考えて創ったんだと思う。昭和の映画の栄枯盛衰がさりげなく描き込まれているのもいい。

 綾瀬はるかさんが素敵です。昭和のレトロファッションが凄く似合ってて可愛らしい。で、いかにも映画の中の人風な、どこか現実離れしている感じも。相手を務める坂口健太郎君もいいです。一途な感じがいいなあ〜〜、と。
 で、びっくりしたのが加藤剛さん。うわっこの役かあ〜という、重要な役どころです。北村一輝さんもいい。要するにミスキャストがないんですね。

 この映画は衣装もそうだが、美術が優れている。大事な舞台の一つ「ロマンス劇場」なる小映画館が実に可愛らしくて。色付きのブロックガラスなんかしゃれててセンスがいいなあと。こういう映画館でデートなんか、いいですよね。そう、この映画はしっかりした恋愛映画です。究極の純愛もの、ともいえる。古めかしいお話だけど、映画だもの、別にドロドロ関係なんか見せる必要ないですよね。

 主人公の男の子がうっとり見ていた映画は白黒なので、それがカラーに変化するのが、とても劇的で見事。こういう演出は「ベルリン・天使の詩」にありましたが、より美しく感じる。ロケした場所もね、よくまあ見つけたなあ、というようなきれいな場所ばかりなんですよ。あしかがフラワーパークは、確かに絵になる場所ですが、ああいう風に撮られるといいです〜〜。

 観ながらふと、「ラスト・アクション・ヒーロー」の1シーンを思い出しちゃいました。主人公の男の子に連れられて、映画から出てきちゃったシュワちゃんが彼の家に行くのだが、その家はNYの低所得者ってこんなひどいとこに住んでるのか〜〜、という極狭アパート。シュワちゃんが椅子に座ると、空間がなくなっちゃうんですよ。そこでシュワちゃんは男の子のお母さんに会う。シングルマザーの彼女の唯一の贅沢が、朝、モーツアルトを聴きながらご飯を食べること。シュワちゃんはそれにぐらっと来るんですよね。でも、映画の中の人物は、結局は映画に帰らなくちゃならない。
 しかし、この映画ではどうなるでしょうか?教えませんよ〜〜。

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P.S この映画は入れ子構造になってて、劇中映画に本当の映画が出てきます。「カサブランカ」とか、タマラン!!脚本も実にしゃれてていいと思います。あと、オリジナルの映画もあるのだけどおそらく、「当時の技術」で撮影している。こういうの、意外と難しいはずです。細部に手抜きがない、のが凄いと思います。







2018/03/04 21:48:03|映画 か行
空海ーKUKAI−美しき王妃の謎
 お断りしておきますが、空海さんは、この映画の中で大したことはしません。白楽天もそう。阿倍仲麻呂さんも。これは中国での題名「妖猫伝」がドンピシャの題名なのではないでしょうか?つまり、猫のお話なんです。

 猫の復讐譚、といえばまあいえる。なぜ猫が?というのは、後半あたりで段々分かってきます。それまでは、セットは凄いがどうなんでしょ?という感じだったんだけども、そのあたりから引き込まれました。

 日本語の題名にさらにケチをつけたくなるんだけども、楊貴妃は、別に「王妃」ではないでしょ。彼女はそもそも側室以下の人で、なのに寵愛されたもんだからトラブルが起きる、というわけで。

 空海という人を中心に考えると、このお話は、大青龍寺という密教寺院に、ここは国外の輩なんぞ一切受け入れない寺だったんだけど、空海が初めて入るのを許された、その顛末を描いてます。白楽天を中心に考えると、白楽天が「長恨歌」を書くに至った経緯、阿倍仲麻呂を中心にすると、なぜ、この人が日本に帰国しなかったのか、が描かれている。つまり、お話のスケールが大きいんですね。で、それぞれの伏線もうまい事収拾してるし。その辺は、原作の力じゃないかと思うんだけど。

 それにしても、楊貴妃は悲惨な運命をたどった方で、どうしてこうなっちゃうかなあ、と。そりゃあ、復讐もしたくなる、というもの。その辺の遠慮のなさ加減は、やっぱり原作のものだと思います。夢枕獏って人は、「陰陽師」でも結構えげつない話を書いてるからなあ・・・・・。

 チェン・カイコーはねえ、この人の「覇王別姫」がどうしても好きになれない映画の一つで、いい印象がなくて。今回はどうでしょうか・・・・?うーん、カメラワークの角度がかなり振れるので、酔いそうになりました。セットは素晴らしいです。中国はお金持ちだ。。。。そんなに観たいとも思ってなかった映画だから。。。どうしてもピンときませんでした。やっぱ、しょーがなくて観る、というのはだめだ。今後はともかく一人で観ようと思います。

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