題名が付けにくい映画です。もうちょっといい題名がないか、思いつかない〜〜。で、前作もそうですが、アニメーションでないと全く表現が不可能な世界を描いています。
例えば、積乱雲は、簡単に10kmくらい膨らんで上昇するという。10kmって、エベレストより全然高いじゃないですか、そういう雲のダイナミックな表現とか、ひたすら雨が降る、その雨粒とか。アニメじゃないと描けない。しかし、それをアニメなら簡単に作れるかというと、作画であのレベルに持っていくのは至難の業じゃないでしょうか。アニメーションで雲を描くのは、難易度最大と聞いたこともある。
映画での雨って、一番ありがちなのがハードボイルドの味つけですよね。「ブレードランナー」も、SFジャンルではあるけど内容はハードボイルドで、だもんだから、やたら雨が降るのだ。そうじゃない存在としての雨というのは、多分初めて見ます。雨が降ってばかりの東京で、なんとか晴れないか、それを実現できる力を持った女の子と、どこかの離島から逃げ出してきた男の子が主人公。新海監督は、スマホ等々の今どきガジェットと神がかったファンタジーとを融合させるのが実にうまいです。
で、一方、このお話は、変形の「東京物語」ともいえます。「君の名は。」を観た時、ローアングルの絵とかが、あー小津的だなあと思ったんですが、今回は、物語がそれ。離島から(尾道じゃないかとつい思っちゃうんですよね)東京に出てきて、ひどい目に遭うというのがね、そっくり。違いは、若いもんには未来がある、のを新海さんは信じてる、というところでしょうか。私も信じたい。
ということで、この映画は男の子向けだと思いました。そういうお話です。
そうそう、彼はどうやら農工大に入ることになるらしい。後輩になるってわけかあ。いいけどねー。気候をいじるなら、やっぱりテクノロジーでどうにかした方がいいんじゃないかと思うから、頑張ってくれたまえ。
公式サイト P.S この映画にある、大きな柱の一つが「現実」です。未成年者、ティーンと社会との関係がとてもしんどい。で、それが現実。
そこを指摘した文章には、かなり共感しました。