シネマ日乗

入間アイポットのユナイテッド・シネマ入間で観た映画の感想が中心になります(多分)。 ネタバレになってしまう可能性も・・・・・・。 その辺、ご留意ください。
 
2022/07/29 23:31:28|映画 か行
キングダム2 遥かなる大地へ
 副題の意味がよく分からないんですが・・・・。ともあれ、「キングダム」の続編。前回のようなバケモノ風の人はほとんど出ず、いわゆる「戦」を色々な視点から観察するようなつくりになっています。

 相変わらず、剣劇のアクションシーンは凄い。で、今回は、それを高原での合戦の中で描いているから、臨場感が半端ないんですね。

 自分的には、馬が凄いなあと。林の中を馬で駆けるって、かなりの上級者の人馬でないと事故りますから。

 しかし、戦いの構図は広々してるんだけど、肝心の人はあまり多くない。前回の登場人物がほとんど出てこないし、出てきても特に活躍もしないもんで、なんでかなあと思ったら、どうやらこの映画は「キングダム3」の前振りみたいな立ち位置のようです。ということで、3に期待大、となりますなあ。

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2022/07/13 12:09:03|映画 やらわ行
ラストサマーウォーズ
 題名があざといんだよねえ、もっと別の名前にしてもよいのではないか、と思いましたが。入間市民としては、とりあえず観ないとなあ、ということで。

 行った回、妙に席が埋まってるなアと思ったら、小学生の軍団が。どうやら、授業の一環なのか、見に来てたようです。映画館の雰囲気って一種独特なので、子供の頃からちょっと知っといた方が、後々映画観る癖をつけるのにいいかもなあと、映画好きとしては思うのでした。皆さん集中して観てたようです。映画にそこそこ力がある証拠じゃないかと。

 お話は、ありがちなベタベタ話です。でも、今どきの子供って、確かにこういう子いそう、という変なリアルがありました。今はもう、スマホでだってそこそこの画質の画は撮れる時代だから、子供が映画製作って不可能じゃないし。

 つまり、実はこの映画、「映画製作レクチャー映画」なんですよ。そういう切り口が面白かったです。映画を語る映画って山ほどあるけど、意外とこういうのはないから。

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2022/07/09 21:55:59|映画 は行
ベイビー・ブローカー
 久しぶりの映画。巷では「トップガン」がおおはやりのようですけど、自分的にはこっち。カンヌの評価が気になってまして。

 筋を語るのは難しいんですが、一種のロードムービーと言えると思う。違法な養子斡旋をやってる奴らがいて、赤んぼ連れてあっち行ったりこっちに行ったり。韓国の(おそらく)代表的な都市や街を回ってるんですが、是枝監督さん、どうやってロケハンしたの?と不思議でしょうがなかった。「ブラック・レイン」を観た時、外国の監督さんが日本を見るとこう切り取るんかあ、と面白かったんですが、この映画については、韓国の方の感想をぜひ知りたいと思っちゃいました。
「万引き家族」でも思ったけど、脚本が秀逸。最初はなんか、設定等々よく分からないんです。それがちょっとずつ明らかになる、のに時間がかかるから、途中まではモヤモヤしてますね。そのモヤモヤ感が映画を引っ張ります。

 「パラサイト」のソン・ガンホさんが一応主演なんですけど、一種の群像劇でもある、役者さん達が凄いんですが、どうやって演出したのか?役者さん達の実力がものすごいのか・・・・。

 でね、「パラサイト」を観た時、ある重大な弱点(と自分は思った)に気づいたんですが、この作品は、それに対する一種の回答かなあと感じました。子供のために何をどうするのか?最終的には、全員がそれを基準に動くようになる。それに至る経緯がじっくり描かれています。それが、成程、という着地点に至る。納得できましたね。

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2022/04/06 19:10:00|映画 た行
ドライブ・マイ・カー
 この映画、観たかったので、アイポットでやってくれてるのは本当にうれしいです。観てよかったなあ〜〜、という余韻に浸れる映画をまた一つ見つけることができました。邦画というのがいいわあ。

 ただ、この映画は間口が狭いんですよ。重要なプロットが演劇なんだけど、それも近現代の大傑作であるところの、ベケット作「ゴドーを待ちながら」&チェーホフ作「ワーニャ叔父さん」の2作が出てきます。そもそもお話自体が、「ワーニャ叔父さん」を稽古して上演する、話なので、チェーホフのこの作品中のセリフがあちこちに出てきて強い意味を示唆する、仕組みになっています。映画越しに「ワーニャ叔父さん」を見せられている、と言ってもいい。しかし、ベケットだのチェーホフだの、知っている人がいるのかどうか?

 自分は知っている。ベケット作品は読んでる。チェーホフも知っている。「ワーニャ叔父さん」は読んでいないが、「かもめ」は読みました。どっちの作品も、読んだときはピンとこなかったんですけどね。知っているかどうかは、この映画の印象をかなり変える可能性が高い。
 この辺は、いかにも村上春樹原作作品だな〜〜〜、と思わされる。中で流れるベートーヴェンの弦楽四重奏3番だって、知ってる人は知ってるけど、知らん人は興味すらないでしょ。な〜んか、インテリ知識をひけらかしている感じがして、鼻につくんですよ。だもんで、村上春樹ってあまり好きじゃないんですよねえ。
 
 ただ、こういう映画を観ると、そうした知識ってやはり重要なものだな、とも思うんです。間口の狭さを突破できる知識情報を持っててよかったな。で、劇中劇とはいえ、この傑作を上演した役者さん達はやはり凄いと。

 劇は重要なんですが、結局この映画のテーマは「時間」なんです。自分はそう読んだ。人が色んなことと折り合いをつけるって、3日じゃ無理でしょ、それなりの時間とタイミングと運が多分必要なんですよね。そういう話です。だから長尺になるし、予告編は非常につくりにくい。予告編ではチェーホフなんかかけらも出てこないし。

 似たテーマの映画といえば、「モンタナの風に抱かれて」もそうだし(これはテーマが馬だったから、やっぱり間口が狭い)、「バードマン」もそうですね。「バードマン」も演劇がプロットだったし。どれも傑作と思ってますけど、「時間」がテーマの作品て日本では少ないと思うので、大事に考えたいなと。

 あとねえ、以前から、男の人ってのはどうしてこう、自分の抱えてる問題からつるりぬるりと逃げるんかね?と不思議だったんだけど、あーこういう事か、と若干理解できたような。となると、この映画、男ウケは悪いでしょうなあ。

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P.S「ゴドーを待ちながら」は、かつて緒形拳さんが日本中で上演してたことがありました。難しい作品なんだけど、揺さぶられる人が多いらしくて不思議なことだ、とおっしゃっていたのを覚えています。







2022/02/16 12:16:00|映画 か行
Coda コーダ あいのうた
 フランス映画「エール!」のリメイク作品です。「エール!」はねえ、観たかったんだけども、当時もう咳がひどくって映画館に行けず、結局観損ねた。ので、どうしてもこれは観たかったんです。期待に違わぬ、いい作品でした。めっちゃ楽しかった〜〜〜〜。

 主人公の家族は、漁船に乗ってて、タラ漁をやってる。健聴者は彼女だけで、残りは全員耳が聴こえないもんで、彼女が常時通訳みたいな立場に置かれてるわけ。一方、彼女が入学した高校で、歌の才能を見出されて〜〜〜、というのがメインのお話ですけど、同時並行で漁業者と仲買人のトラブルや、学校内でのトラブル等々があれこれ進みます。話が一つじゃないので、日本だとこういう設定にありがちな「努力してどうこう」にならない。一種の青春ものでもあって、「ギルバート・グレイプ」や「フラッシュダンス」を思い出しました。

 ジョニ・ミッチェルの名曲が使われてます。知らなかったんですけど、こういう歌を歌ってた人なのか〜〜。あと、彼女が選択する授業での選択科目の「音楽」なんですが、NHKの「グリー!」に出てくるようなもので、我々日本人が思い起こす、いわゆる「音楽」の授業とはぜーんぜん違ってて、これも面白かった。成程ねえ、やっぱ日本人って、ちょっとマジメすぎるんじゃないですかね。

 日本でリメイクするとしたら、どうかなあ?先生役は竹中直人さんで決まり!って感じでしたけど。やってみてほしくなりました。

 マーリー・マトリンがお母さん役で出演しています。彼女が主演した「愛は静けさの中に」は名作で、すごく好きなんですが、久しぶりに見た彼女はめっちゃ魅力的な人になってました。あと、お父さん役の方もナイス!!いい夫婦ぶりで、よかったわあ。

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