11.第5日(2015.11.3) 黄果樹大瀑布景勝区 その二 黄果樹大瀑布景勝区後半
そして、黄果樹大瀑布景勝区へ。その入り口に「黄果樹国家重点風景名勝区」と緑色に刻まれた石碑のある処(写真11.3-4-1)で、駱さんが、「入園チケットを買ってくるので、そこで待っていて下さい。」とのこと。待っている間、入り口にある園内案内図(写真11.3-4-2)と、観覧時の注意事項が書かれていた看板があり、注意事項は中国語の他、英語、日本語、ハングル文字でも書かれていた。
駱さんがチケットを買って戻ってきたところで、石碑の前で写真(写真11.3-4-3)を撮ってもらい入園した。いきなり瀑布が見える訳ではなく、先ずは植物園があった。そして最初に目に入ったのは赤いカンナの花(写真11.3-4-4)だった。更に進むと、南国の花ブーゲンビリアのピンクの花が咲いている。駱さんがポーズを取ってくれ被写体になってくれた(写真11.3-4-5)。
貴州省は雲南省に接し、緯度は沖縄と同程度の温暖地域である為、11月に入ったこの季節でもブーゲンビリアの花姿が見られるのであろう。その気になって、まわりの植物を見回すと、棕櫚などの、日本では沖縄で見ることの出来る植物が青々と茂っていた。竹はもともと南国の植物であり、この植物園のあちらこちらで見られた。写真(写真11.3-4-6)の竹は観音竹か。
そして、少し行くと木々の隙間から、やっと滝の姿が見えた(写真11.3-4-7)。不思議なことに滝が落下する角度が、少し眺める角度を変えただけで変化するのである(写真11.3-4-8)。見る位置が少し高くなると、滝が落ちる前の川の流れの部分が見える(写真11.3-4-9)。更に行くと、ポインセチアが群生しているところに出くわした。ポインセチアの赤が滝の光景を引き立てているように見えた(写真11.3-4-10)。
そして、川面に近い位置まで降りてきた。滝を見るための観覧台が少し突き出した様に配置しているので、滝と川をセットで良いアングルで撮ることができる(写真11.3-4-11)。その為か、多くの人が同じ方向にカメラを向けてシャッターを切っている(写真11.3-4 -12)。
一群となった観光客が居なくなってから駱さんも落ち着いてスマホで写真を撮っている(写真11.3-4-13)。川面を眺めると、川面はエメラルド色に染まり、その向こうに見える滝は水しぶきに煙っていた(写真11.3-4-14)。
今にも雨が降ってきそうな曇天だが、晴天であれば、この川と滝はどのような表情を見せるのだろうか。
滝にもっと接近するために、一時的に少し遠ざかり、橋を渡る必要があった。そこから写真を撮り(写真11.3-4-15、-4-16)、吊り橋(写真11.3-5-1)を渡り、滝がある側の岸に移動した。吊り橋からは滝は隠れてしまい、滝の姿は確認できず、近辺に漂う水煙のみが見えた(写真11.3-5-2、-5-3)。
そして、細い道を更に先に進むと、再び滝の雄姿が見えてきた。又、歩を止めて滝を観ている人が増えてきた。滝を背景に、写真を撮る人も増えてきた(写真11.3-5-4)。
更に滝に近づくと、滝は複数の滝筋からなり、岸壁の穴から滝糸が湧き出ているなど、遠くからは確認しきれない滝筋が見えた(写真11.3-5-5)。自分がその一人と化し、駱さんに写真を撮ってもらった(写真11.3-5-6)。そして、滝の裏側にある岩壁にすぐ傍まで近づいたところに「睡蓮洞」と朱書きされた石標(写真11.3-5-7)が目に入った。
「睡簾洞」とは、孫悟空が三蔵法師の弟子になる前の話に出てくる猿達の住処で、先ごろ悟空が海のお宝-如意金箍棒を持ち出した顛末を小猿達が面白おかしく再現してお祭り気分に浸っていた頃、天界では龍宮・地獄を大混乱にした悟空を罰して欲しいとの懇願に天の帝・玉帝は悟空討伐を計画する。
しかし、相手は下界の猿とは言えども仙人の元で修行して神通力を身につけた猿王-孫悟空。目の届く天界に呼んで手懐ける方が得策と、太白金星(李長庚)は悟空を迎えに降臨する。言葉巧みに天界へと誘われた悟空は、小猿たちに留守番を言いつけて觔斗雲に飛び乗り天へ昇る。
そこで「弼馬温(ひつばおん)」の役職に任命されて仙人の仲間入りとなった悟空は、意気揚々と御馬監(おうまや)にやってくる。天の荒馬さえも乗りこなし、役職に励む悟空だったが・・・。 自分が馬の世話番に過ぎないことを知り、怒り心頭に発して大暴れ、花果山に帰って行く。孫悟空が天界で那託に敗れ、戻り来たところが、花果山で猿たちの住む郷里への入り口が、滝の後ろ側にある「睡蓮洞」だった。
滝に接するほどの近さで、水しぶきがかかっても良いようにと駱さんが準備してくれた雨合羽を着込んだ(写真11.3-5-9)。そして、完全に滝の裏側に位置すると、滝筋の間から向こう側の景色が見えた(写真11.3-5-8)。
滝の裏側に、別世界へ通じる路の入り口があるというところは、世界の古今東西様々な話に出てきて、「裏見の滝」といわれ、日本各地にもある。熊本県阿蘇にある「鍋の滝」、茨城県久慈郡にある「月待の滝」、長野県高井郡にある「雷滝」、岡山県苫田郡にある「岩井滝」はその代表的例と言える。
滝ハイライトの見学を終え、帰途に就く。駐車場がある高さまで戻るのにエスカレータがあった(写真11.3-5-10)。そのエスカレータの前に、一人の品の良さそうな老齢の男性がいて、何やら駱さんに語りかけている。
何を話していたか後で聞いてみたら、「お父さんと娘さんのお連れですか?」と聞かれたとのこと息子3名の親である自分にとってはなんとも嬉しい話であるが、重慶に住む駱さんの実父に申し訳ない気もちが湧いた。
エスカレータを降りると、そこは乾いた別世界の様に感じた。退場門(写真11.3-5-11)を出て駱さんの写真を撮り(写真11.3-5-12)、次の目的地の貴陽市圓通寺に向かう。時刻は、北京時間で午後3時少し前であった。 本稿 完 つづく |