シネマ日乗

入間アイポットのユナイテッド・シネマ入間で観た映画の感想が中心になります(多分)。 ネタバレになってしまう可能性も・・・・・・。 その辺、ご留意ください。
 
2018/12/05 21:47:00|映画 さ行
推手 Pushing hands
 アン・リーの父親3部作、最初に観たのは「ウエディング・バンケット」、次が邦題は「恋人たちの食卓」なんだけど、自分は原題の「飲食男女」がすごくしっくりくる、で、この「推手」が最後で、これだけ映画館で観てない。最初はNHKBS、今回はGYAOの無料映画で、2回目。粗筋はそれなりに覚えてたつもりだったんですが・・・・。やっぱり、いい映画って、久しぶりに観ると様々追加で考えさせられる。

 今は自分が実際に太極拳をやっているから、推手とはなにか、が一応分かっている。太極拳は、1人でやるものは色んな型の連続で、これがラン・シャン演ずるお父さんが最初のシーンでやってる奴。「套路」と呼ばれてますけど。32式とか24式の意味は、型が32あったり24あったりするのを指す。そこらへんでやってる「太極拳」と呼ばれてるものは、基本的にこれ。対して推手とは、二人組で演ずる組手のようなもの。空手のような実戦的なものではない、のがミソで、この映画のテーマでもある。以前観たときは太極拳やってなかったので、この辺が実はちょっとピンときてなかったんですね。

 太極拳の達人のお父さんは中国に住んでたんだけど、いきなりアメリカで息子夫婦と同居し始めて、しかし息子は家にいないから、嫁さんと軋轢が起こる、登場人物は多くないので、じっくり話が進みます。父親3部作は、この映画と2作目の「ウエディング・バンケット」が父&息子、3作目の「飲食男女」が父&娘という組み合わせで、その周辺に起こる波風を描くのだけど、起こるもめ事にはそれなりに色々事情や裏話があって、今回は、その辺をしっかり理解して観れたのでよかったかな。

 で、今。こないだBSでやってた話。上海親子戦争。親が子供に全財産を巻き上げられる、という恐ろしいお話をやってました。上海は只今再開発中で、そのために昔の家を取り壊す、時に市が渡す立ち退き補償料が狙われるんだそうです。この映画のキモは、親は大事にするもんだ、という息子側の価値観が揺さぶられる点なのだけど、1991年製作のこの映画から、30年弱程度で中国でも親子関係はここまで変わっちゃったのね、という感慨があります。まあね、日本でも相続関係は、まことにえげつなくなってる昨今だからなあ。。。。

 改めて、ラン・シャンさん、いいです。亡くなられて久しいが・・・。