木曜午餐会には毎週参加し、講演を聴いた。12月22日(木)の木曜午餐会は、今回の滞在中に聴講できる最後のチャンスである。講師は西村ちえ先生(聖ルカクリニック)、先生はネバダ州立大学卒業、ハワイで修士終了し、カルフォル二アUCLAでナース・プラクティショナーの資格を取得した上級看護師で、専門は老年看護である。ナース・プラクティショナー(Nurse Practitioner, NP)とはあまり聞き慣れない職種であるが、主にアメリカ合衆国における上級看護職である。一定レベルの診断や治療などを行うことが許されており、臨床医と看護師の中間職と位置づけられる。その西村先生は研究者、調査だいすきな元気な女性で、その先生から「あなたと認知症 第二弾」という演題のお話しを聴くことができた。講演内容は我々夫婦に密接に関係するようになったので、ボイスレコーダーを胸の中に隠し入れ、熱心に聴講した。木曜午餐会では、まず講師の首にレイを木曜午餐会会長から掛けてもらう。講師紹介の後、パワーポイントを使った講演に入る。 講演内容はとても興味深かったので、少し長くなるが概要を以下に述べる。 歳をとると人は誰でも体力が衰える。同時に誰でも物忘れが多くなる。認知症になると、捜し物で一日が終わることもある。認知症になるとどのようになるかというと、ひどい物忘れが始まる。野菜の買い物に行って、玉ねぎを買い忘れた。このことは単なる物忘れである。しかし、買い物に出かけたことを忘れてしまうとなると認知症に一歩近づいたことになる。昨日の食事内容を忘れたのは物忘れ、たった今食事したことを忘れてしまうようになるとそれは認知症である。 勉強をしたとか料理をしたなどの体験情報は、それを記憶して理解し判断をすることができる。自動車を運転し信号機のある交差点に差しかかった時、運転手は信号が赤色か青色か黄色か、対向車あるいは横断歩道で待つ人の挙動などを見極めている。運転の対処方法は自然に覚えていて、瞬時に状況を判断し危険を避けて運転する。これが普通である。 計算がうまく出来なくなるとか、野菜の買い物に行って玉ねぎは幾らで、つり銭はいくらかの計算が出来なくなる。あるいは、タクシーに乗ったときのチップの計算などが遅くなるようなら少々問題が起こりつつある。これは、簡単な計算が出来なくなったからである。時間や場所あるいは他人や自分自身などに対する状況を認識する能力は見当識という。今日は何年何月何日とか、季節、年齢などの認識は時間の見当識、今いる場所は家か病院かといったことの認識は場所の見当識、自分や周囲の人が誰であるかの認識は人の見当識という。最近、高齢者が自動車免許更新するとき、車や動物の絵を見せられ、その後、話題を変えた話しをする。そして、改めて先に観た絵は何であったかを言いなさいという検査を必ず行う。このような検査は認知症の検査の一部である。 実行機能とは、段取りをつけて行動することで、これが出来なくなるとそれは実行機能障害があるという。例えば、料理をしている間に電話が入り、話しをして戻ると今何を料理していたかが分からなくなる。あるいは、洗濯中に宅配便が届いたのでそれに対応している間に洗濯はすっかり忘れてしまい、洗濯以外のことを行うなどがその例である。 運動や動作をうまく行えない障害は、運動機能障害という。これは例えばお葬式に参列し、おならをしてしまい笑い出すというように情動がコントロール出来なくなる障害である。情動が切れやすくなったり、怒りやすくなったりすることもある。物事に興味が薄れる、面倒くさくなる、以前のようにスムースに何ごとも出来なくなる。他人に依存しがちになる。すれ違いの人が挨拶していないのに、挨拶したという幻覚があるとか、「へそくり」が無くなっている、あの人だと特定する、お嫁さんがご飯を食べさせてくれないなどの妄想もある。昼夜が逆転したり、徘徊したりするという睡眠障害もある。今のことは覚えていなくて、昔のことは覚えている。怒りやすくなる。手足を大きく動かすことは出来るが、指先などの細かい動きはうまく出来なくなる。病状が進むと、場所が分からなくなる。日常動作に支障が出てくる。排泄、食事が出来なくなる。転びやすくなる。人の認識が出来無くなる。娘を他人と思う。運動機能の歩くことが出来なくなる。このようなことに気がついて、初めて認知症になったと気がつく。 まず始めに医療者は、どうしたか、物忘れがひどくなったか、どのようなことが周辺で起きているかなどの問診をする。次に検査に入る。その結果、認知機能が落ちたと分かると治療に入る。しかし認知症の治療に効く薬は今のところ無い。進行を抑える薬を出し、運動を推奨する。物忘れにも種類がある。認知症の物忘れは、問診によりたずねる。ボケ、認知症、アルツハイマーだと断定してはいけない。なぜ、どうしてかをよく聞いてやる。忘れ物の原因は加齢なのか認知症なのかを確認する必要がある。認知症の薬だといって飲んでいる薬の確認をする。薬は効くまで時間がかかるので注意が必要である。 きれいな着物を着て来診する患者の普段の生活レベルは分からないので、自宅訪問をする。するとゴミ屋敷のようで足の踏み処もないようなところに住んでいることが分かる。このことから、その患者は日常生活機能、洗濯、掃除、料理が出来ていないことが分かる。クリニックスを訪れるだけでは、患者の生活機能は分からないので、家族からの意見はとても重要である。同じことを何度も言う。物忘れがある。あれ、それ、これで思いだせばよい方だ。夕方なのに朝だという。いつの間に朝になったのかねえ、などというので家族が相談にくることもある。 薬が溜まっている、薬はないというが薬は沢山残っているというような薬の管理が出来なくなる。物事に興味がなくなり、薬はどこにおいてあるのか分からず鬱症状になる。朝起きて食べる、排泄、着替える、風呂、顔を洗う、歯を磨くなどの生活機能を強化する必要がある。脳卒中は、頭の中に血が溜まるので起こる病気である。トイレが近くなるので水を飲まないで脱水を起こす人が多い。脳障害系の予防には、水をよく飲むとよい。お茶とコーヒーを飲んでいるからといって水は飲まないというのは間違いである。体に水分がなくなったら血液は流れなくなる。血液は酸素を運ぶので血液循環はとても大切であることを知るべし。水分補強は大切で、一日に1.8リットル~2リットルの水を飲むとよい。お茶・コーヒーはカフェインがはいっているので利尿作用があるので要注意である。 栄養失調を起こさないために動物性タンパク質は必要である。ビタミン類、鉄分、ビタミンBが不足すると認知症状になりやすい。薬は病気を治してくれるが副作用があるのだという薬の作用を知るべきである。認知症の薬は、アレルギーの副作用を起こすことがあるので要注意だ。 鬱病は気の持ちよう、心の持ちようでは治らない。血を採って分かることは、脱水、電解質、塩水などのバランス状態である。認知症機能症状に関係するのは、尿検査、薬物検査である。脳卒中は頭の中の血管が切れるために起こる認知症である。アルコールによって起こることもある。認知症の検査は、「ここは何階ですか」、「計算を行う」、「物の絵を見せ、あとでその絵は何かを聞く」、「時計を描く」などの検査である。認知症と診断されると、薬を使うが、進行をおくらせるだけで認知症を直すことは出来ない。筋トレ、脳のリハビリで認知症はおくらせることはできる。自分の家で生活するための認知症のサポートがある。 時間が少々オーバーしたので、今日はこれで終了し、この続きは先生との交渉にもよるが、半年先にでもお願いしたいと木曜午餐会会長から講演のお礼とお願いがあった。次回は12月29日(木)の今年最終の木曜午餐会は、講師 上原進助牧師「木曜午餐会100年の歩み」であるとの連絡があった。これから分かるように木曜午餐会は、「一生青春、一生勉強」を信念とし、来年9月に100周年を迎える(1918年創立)。【2016年12月22日】 平成29年1月12日(木) 自宅にて記す |