シネマ日乗

最近映画熱がやや復活。旧シネマ日乗から、こちらに乗り変えます。 原則として、アイポットのユナイテッド・シネマ入間で観た映画の感想が中心になります(多分)。ネタバレになってしまう可能性も・・・・・・。その辺、ご留意ください。
 
2024/01/03 20:28:11|映画 ま行
メッセージ
 原題は「arrival」。この方が、テーマを伝えているような気もするんだけど・・・・。ずっと前に録画してて、正月休みってことでやっと観れた。かなり歯ごたえのある映画なので、観る時間がちゃんとある時に観て良かったと思います。

 言語コミュニケーションがテーマの一つ、でしょう。地球のあちこちに(日本の北海道にも!!)正体不明の楕円形した巨大物体が突然現れて宙にぽかっと浮かんで静止する。中には異星人らしき連中がいるらしくて、定期的に物体に入口が開くもんで、どうしたものか、コミュニケーションをとってみるかどうか?と悩んだアメリカ軍の関係者が、言語学者のルイーズさんと物理学者のイアン氏にその任務を発注する(結構有無を言わせない感じなんですけどね)。彼らは、墨をぱっと散らした円形の文字(?:墨で描いた丸に近いですね)を操るわけだけど、まさに手探りで、それでも二人はちょっとずつ彼らの言葉に近づいていく、その過程はかなりスリリングです。
 しかし、何しろ12個も同じのが地球のあちこちに散らばって、しかも違う国(仲良くない国にも)にもいるもんで、国ごとに対応が違う、で、段々彼らの言葉がみえてくると「武器」だのなんだの、という物騒な言葉が出てきて、これはもうやっつけなくちゃ、と世論が傾いていくんです。それを食い止められるのか?という話なんですが・・・・・・。

 観つつ、清水善範さんの「映画でボクが勉強したこと」なるエッセイに出てきた話を思い出しました。「太平洋の地獄」という映画。出演者が日本人(三船敏郎氏が演じてるそう)とアメリカ人の軍人二人だけで、二人で戦争してるんだけど、なんか変な具合に友人ちっくになってしまって、というのが大まかな筋らしい。未見ですが、要は日本語と英語、二人ともそれしか話さないから、意思の疎通がうまくいかない、という奴。清水さんは「話が通じないから戦争してるんじゃないか?という気にさせられる」と書いておられますけど・・・。
 しかし、一見それを主テーマに見せかけて、それだけじゃなさそうなんです。

 もう一つ思い出した映画が「リトル・ブッダ」。主人公の男の子は、仏教なんか全然無縁だったのに、「あなたが生まれ変わりだ」と言われる。で、チベットに行く途中、どこかの市場で「無常」を教わるんです。「ここにいる大勢の人達が、たった100年後にはもう、誰も残っていない。それを無常と言います」、これはね、観てた自分も衝撃を受けたセリフなんですが。この映画も、それが大きいテーマに見える。主人公は、別の切り口でそれを知ることになるんですが。

 と、かなり哲学というか、仏教的な視点を感じるんですが、それはなぜか、最先端の物理学からも同じ事が導き出されつつあるような、という事らしくて。

 ラストは色々な捉え方ができると思うけど、自分としては、希望を感じた。だって、主人公が視るビジョンは、違う時間軸だと思うもの。時間軸が変われば、未来も変化する、筈だものね。







2023/12/31 20:42:05|その他
今年のまとめ
 邦画はなんといっても「ゴジラ-1.0」じゃないでしょうか?「PERFECT DAYS」が続きます。なーんだ、年末映画じゃん、と言うなかれ、「ゴジラ-1.0」は既に3回観てるし、年明けから始まるモノクロ版も観る予定だし。なんか、観るほど色々考えさせられるんですよ。怪獣映画でこうなるとは。。。
「PERFECT DAYS」は、やっぱヴェンダース監督のファンだし、いい映画だと思います。

 他に何があったっけ?ああ、冬に「RRR]。これも面白かったですねえ。そうか、考えてみると、あまり洋画を観てない。ああ、「ザ・クリエイター」はかなり面白かった。

 最近は、YOUTUBEでタダの限定公開というのをちょくちょくやってますね。「犬神家の一族」はこれで観たわけですけど、古びてないんでビックリしたんだよなあ。

 という事で、来年は「ゴジラ-1.0」がアカデミー賞にどう絡むのか、楽しみです!







2023/12/31 9:44:34|映画 その他
PERFECT DAYS
 久しぶりのヴィム・ヴェンダース作品。しみじみといい映画。

 この映画の凄いところは、ほんの2分くらいのシーン・セリフで主人公の生い立ちや境遇がぱあっと明らかになる所。セリフったって、ほんの二言三言なんですが。しかも、主人公自身はしゃべらないし。これを海外の監督さんがつくったの??ビックリです。

 振り返って考えると、主人公が、シフトが一緒になる若い奴を「嫌いじゃないけど、話そうとしない」理由もはっきり分かる。

 ヴェンダース監督は「ベルリン・天使の詩」で、白黒とカラーの映像を巧みに使い分けて見せましたけど、今回も巧い。主人公は「スモーク」のタバコ屋店主みたいに昼休憩の時にちょこちょこ写真を撮ってます。それがフィルム写真で白黒。主人公の毎夜見る夢(多分悪夢)も白黒。そういうとこがね。渋谷が舞台だし、見慣れた・聞き慣れた風景の筈なんですけども。

 石川さゆりさんが出演されてます。歌声も披露されてて、なんか得したなあ。ヴェンダースの作品、以前はジミヘンが出てたこともあった。ヴェンダース作品には、必ずといっていいくらいグラムロック系の音楽が使われるんですけど、今回も、あーこういう使い方かあ、と驚くこと多し。主人公が古本屋で買う本もいい。よくご存じですよねえ、幸田文なんて。

 ところで、主人公の生活にかかるお金が気になって、ついつい映画を観つつ計算してしまって。どうなんだろう、実際生活可能かなあ?って。
起きて、缶コーヒー(多分¥100自販機)¥100
昼飯:サンドイッチ&牛乳(多分コンビニ)おおむね¥500
仕事終わって銭湯¥500
夕飯:駅ナカ大衆居酒屋っぽいとことで、いつも2千円+&置いてる風なので、高く見積もって¥2500
これが週6:¥21,600 4週で¥86,400
週1回コインランドリー:乾燥までやると大体¥1,000 4回で¥4,000
石川さゆり女将が一人で切り盛りしているスナックでは払うシーンはなかったけど、週1回として、スカイツリー近くだし、大体¥5,000、位かなあ。4回で¥20,000
写真現像代:¥2,000位。2週に一回として¥4,000
古本屋で古本¥100、読むのが遅そうだから、2週に1冊として¥200
あとガソリン代とか。これ、結構出てそうです。月当たり¥8,000位かなあ。
忘れちゃいけないのがアパート代、ボロくて風呂なしだけど、2階あるし、スカイツリー近くだから、まあ¥50,000位するかも。
月額いくら?¥172,600・・・・ぎゃあ〜〜〜〜。
 という事で、生きるって、これほどささやかでもカネがかかるわい。便所掃除のお仕事って月額20万くらいもらえるのかなあ?朝シフトだから、割増はつきそうですけど。交通費は補助位出るのかしら?高速使ってたし・・・。住居費が大きそうだ・・・・。もちっと安いかなあ。と、ついつい世知辛い事を考えてしまうのは、自分が自営始めた当初の貧乏生活が身に沁み込んでるからさ。当時は、食費月額1万円台にしてましたっけ・・・・・・。

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2023/11/30 10:07:30|映画 た行
翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜
 このくだらない映画の中心にいられるっていうのは、有難いというかなんというか。。。。。。。

 監督さんのやりたい事を詰めまくって煮込んだ、闇鍋みたいな映画でしたけども、役者さん達が超真剣に演じているので、茶化せないですよねえ・・・・。

 お話は、全て原作なしのオリジナル(前作で漫画の原作話は使い切ってます)なので、どうなるんかなあと思ってたんですけど、どんどん話がバカでかくなるし〜〜〜〜。突拍子なさすぎるのに、ありそうな話にも見えてくるのがコワイ・・・。

 前回は百美ちゃんが主人公でしたが、今回は麻実麗氏がメイン。ガクトさんは病み上がりだったと思うのに、凄いなあ・・・・・。

 という事で、邦画でここまで下らんことを大真面目にやってて外してない、以前ふざけんなと思った「大怪獣のあとしまつ」と何が違うのか、やっぱり最終的には「リスペクト」なんでしょうね。「大怪獣〜〜」は、そこが皆無でしたもん。

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2023/11/21 10:11:00|映画 あ行
犬神家の一族(1976年版)
 YOUTUBEの無料配信で。最近多いですね。こないだ、NHK版を見たばかり、それもかなり面白かったんですが。

 全然古びてないのに驚きました。撮影も、陰影や光を強調する市川崑氏の得意技が効果的で、ホラー風の味付けもナイス。かなり怖くて、ビビってしまった。このお話はもう何回も見てて、ストーリーも結末も大概分かってるはずなんですけども・・・・・。

 で、結構情報量が多いのにもビックリ。要は戦争が人に何を及ぼしたのか?が主テーマなんだと思うんですが、犬神佐兵衛って人が財を成した理由が「麻薬」。こりゃね、今なんかタブーっぽくなってますけど、自分が子供の頃は覚せい剤なんか「ヒロポン」なんて俗称があったくらいだもんね。麻薬を戦場に送りまくって金儲けしたということで(この辺は、漫画の「満州アヘンスクワッド」に詳細が描かれてて、ホントえぐい)、ヤクでも吸わなきゃやってられなかったんでしょうし、結局復員した人にヤク中患者は山ほどいたんだろうなあ、と思わされる。

 で、その一種小汚い大金を遺産として誰が引き継ぐのか、を決めた遺言書がキチガイじみた内容で、その後バタバタ殺人事件が起こる。誰も、「こんな金いらんわい」ってならないからなあ・・・・・。

 色んなトリックとか、推理小説としての仕掛けもかなりうまいので、引き込まれますが、総じて犬神佐兵衛って人のしょうもなさ、そんな奴に振り回される身内、という構図は、小レベルなら今だってごまんとある話。だから、古びないんでしょうね。

 あと、毎度思うんだけど、金田一耕助さんって、そんなに名探偵?だって、全部事が済んじゃってから謎解きしたって遅いじゃんか〜〜〜。