70代、男のサイクリングの記録です。 日常の出来事や雑感も書いています。
 
CATEGORY:俳句

2012/02/21 0:53:57|俳句
風光る

今月の句会の兼題は「風光る」と「蕗の薹」。

「風光る」は俳句独特の季語で、日差しが鋭くなった情景を

視覚的に表現した言葉である。

「蕗の薹」はおなじみの植物。春の兆しを具体的に示す

代表的な早春の季語である。

今月は7句出句中、5句が互選となる。

  信号のなき輪道や風光る

「輪道」は造語。サイクリングロードの意味。

それを理解してくれた俳人がいた。「信号がなき」との措辞で

全力で自転車専用道を疾走している景を想像してくれた。

  やはらかき風にほころぶ蕗の薹

  蕗の薹日に日に空の広がりぬ


蕗の薹が地上に現れる様子を描写した句。

春の兆しを風や光で表現した句である。

  長き髪束ねて探す蕗の薹

  田畑打つ鍬にて採りし蕗の薹


蕗の薹を採取する人間の行動を描写した句で、

「田畑打つ鍬」の句は3点句となる。

有りそうでない盲点の句だとの評を得る。

現実の描写ではなく想像の句である。

現実は芽吹き始めた莟を手で摘み取るらしい。

鍬で採る情景を見た人はいないが、

ありえる情景と解釈したらしい。

事実、地上に姿を現した蕗の薹を

鍬で掘り返している農夫の記憶がある。

今回の句会は高得点の句が多々あり、

互選にならない句が多数を占め、

「せっかく作ってきたのに全て没で無念」

との声が多数あった。

参考のために今回の最高得点を得た句を記す。

  形よき僧の頭や風光る(7点)     Iさん

  見せにきし征服すがた風光る(6点)  Sさん

  一つ摘み一日満ちたり蕗の薹(5点)  Oさん


「僧の頭」はユーモアがある句で俳諧味があり、

絶賛された句である。着想に優れた個性が感じられる。






2011/12/17 1:11:20|俳句
句作のスリル

月一回の兼題による句会が迫ってきた。
出句は7句である。今月の兼題は「霜夜」「煮凝」である。

「霜夜」は暖房の進歩で、実感が乏しくなった。
火鉢や炬燵で暖を取っていた昔を追憶しながら、
または終電からの帰宅路などを思い出しながら作るしかない。

「煮凝」も今の若い主婦には縁のないことだろう。
昔の台所は寒かった。煮物の汁は一晩で固形化してしまった。
現代では寒天を入れて人工的に「煮凝」を作って売っている。
家庭料理としては絶滅の和食料理である。

このような兼題では空想で句作するしかない。
かと言って勝手気ままに作っても共鳴する人が居なければ、
ゴミ同然の俳句として捨てられてしまう。

俳句の基本は座の大衆文学である。
句会に参加した人々が表現された小宇宙に共鳴し、
連想でどれだけイメージを膨らませるかで勝負が決まる。
それを言語表現で競うお座敷遊びのようなものである。

新聞や雑誌などで公に発表で出来るようになり、
著名人のエッセイや文芸評論などで取り上げられて
多くの人の記憶に宿れば名句となって俳句史に残る。

私は一期一会の座の中で花火のように耀いて、
瞬時に消えていくのが俳句だと思っている。
だから、句会で何句選ばれるかが全てであり、
選ばれなかったら、どんなに努力して作った俳句でも
無価値の塵芥と同じである。
だからこそ逆にスリルがあり面白い。
生きていることを真に実感できる遊びの一つでもある。







2011/11/29 2:43:52|俳句
川柳4句

臍の緒が切れ舞台裏公開す

一命をかけ痛憤すKの乱

大阪や黒船橋の下くぐる

福島に福なくあはれ今年米


1,2句目、読売ジャイアンツのお家騒動。
メディアのコメンテーターは保身のためか、
暴走と弱者の清武氏を批判する。
野球は慈善事業ではない。
集客のためならどんな手でも打つと、
渡辺氏も本音を漏らす。
プロ野球の場外乱闘。
結果は見えている。権力者が勝つ。世の習いである。
弱者の身としては清武氏にエールを送りたい。

3句目、維新の会の橋下陣営圧勝する。
高い壁をどう乗り越えるか今後が見ものだ。
保守派が多い日本人の起爆剤となるか?
大阪が変われば、日本の市政にも改革の風が吹く。

4句目、放射能汚染で福島の米農家、出荷禁止。
その心痛に言葉なし。米がすべてではない。
自殺者が出ないことを祈るのみ。

★写真は昭和記念公園の紅葉(撮影:11/26)







2011/11/21 2:21:09|俳句

第3日曜は月1回の句会の日である。
我らの句会には兼題というのがあり、
その季題の句を作って出句し、互選し合評し合う。

言葉による写生を味わい観賞合う会合である。
写生の中には抽象的な心情句も含まれる。

1枚の落葉を臨場感たっぷりに表現するも良し。
喜怒哀楽を落葉に託して表現するも良し。
たった17文字に思いの丈を言葉に凝縮する
文芸的な詩的な遊びである。

何気ないことでも詩的な表現によって
人の心に新鮮な刺激をあたえ、
想像力を刺激し、心豊かな思いに引き込む。
知的な頭脳遊びの世界である。

今月は惨敗。
7句出句で互選は2句のみ。それも2点句と1点句。
たったの3選のみ、過去、最悪の成果だった。

句会前、想定外の風呂場での転倒で
脚を強打し、苦痛と戦いながらの句作には
言葉に魂を吹き込む余裕などない。
そのことが立証されたような句会となった。

兼題は「葱」と「しぐれ」。

黒々と焼く白葱の甘さかな

この1句のみが2点句となり、話題になっただけ。
選んでくれた人は実体験をした人だけ。

これは白葱農家の人が、葱の最高のうまさを教えてくれた
ドキメントTVで知り、実体験して得た句である。
この白葱の食感と甘さは食べた人にしか分からない。
白葱の究極の調理法である。ぜひ、1度試されたい。







2011/10/18 1:10:43|俳句
俳句という遊び

月1回(第三日曜日)の句会が終った。
句会では長時間集中し続ける。
普段の暮しではこんなことは先ずない。
だから、句会の翌日はホッとし、どっと疲れが出る。
精神的な疲れである。
無気力になり、1日、ぼんやりと過ごす。

今回の句会の成果はあまり良くなかった。
兼題[十三夜] [干柿]、7句出句7句選。
参加者10名。作者不明での選句と合評。

白萩の散りし小路に後の月

魚を焼く炉火あかあかと十三夜

ゆるむことなき干柿の吊るし糸


互選句は以上の3句のみ。後は全て没。

1句目は美しい情景が目に浮かぶとの評。
ただし「萩と月」との組合せには、芭蕉の有名な句、
ひとつ家に遊女もねたり萩と月>があり、
新鮮味に欠けるとの評もあり。

2句目は「あかあかと」が、十三夜にふさわしくない。
いや「炉火」に風情があると評価が分かれた句。
炉火をバーベキューの火と解した人もいた。

この句は、松本たかしと言う有名な俳人の句、
静かなる自在の揺れや十三夜>から、
連想して作った句である。
自在鍵の下に視点を移し、炉火に焦点を当てた。
だが「あかあかと」が季題の雰囲気を害したようである。

3句目は吊るし柿の糸に着眼したところがユニークと好評。
ただし、主題をずらした点が弱いとの辛口評もあった。
吊るす糸ゆるむことなく柿熟す
とすればいいのだが、兼題の[干柿]とはならず[熟柿]になる。
この辺が俳句の微妙なところであり、難しいところである。







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